連載 ふしぎの国のデイケア・5
治療者と患者—デイケアは笑う
東畑 開人
1,2
1十文字学園女子大学
2白金高輪カウンセリングルーム
pp.289-294
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200485
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金曜日は疲れている
金曜日は足取りが重い。僕は徒歩出勤だったから、テンションを上げるためにイヤホンでジャスティン・ビーバーを聴きながら歩く。ダンスミュージックに包まれながら、小禄の坂を上り、海軍壕トンネルを抜ける。そこまでくればクリニックまであと2分なのだけど、そのまま仕事に突入する気合いが出てこない。だから、高架下でタバコを吸って、ぼーっとする。ジャスティンの甘い歌声がうるさく感じられるくらいには、金曜日は疲れている。
そこに、同じく徒歩出勤のイケメン看護師シンイチさんがやってくる。
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