連載 栄養精神医学・2
鉄欠乏改善でレジリエンスの向上を!
奥平 智之
1
1医療法人山口病院・精神科
pp.264-271
発行日 2018年5月15日
Published Date 2018/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200481
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栄養精神医学におけるレジリエンス
精神医学とは、各種精神疾患に関する診断、予防、治療、研究を行う医学であるが、「栄養精神医学」は、精神症状・身体症状・向精神薬に対する食事・栄養・腸管による影響を考える精神医学の一分野である。
食事や栄養の影響で精神症状がより重症化していたり、腸管の状態が経口薬の血中濃度に影響を与えていたり、腸内環境の悪化が精神症状に影響していたりすることがある。精神疾患の患者の症状に対して、身体的な要因である栄養学的な影響を考慮する必要があるが、実際の精神科臨床ではあまり考慮されていない。その結果、症状が遷延または難治化していたり、ベンゾジアゼピン系をはじめとした向精神薬の多剤の一因にもなっていたりする可能性がある。そのため、必要な検査をきちんと行い、栄養学的な要因を考慮することで治療効果が高められると考えられる。食事や栄養面での改善を行っても、腸管の状態が悪かったり、食欲がなかったりすると、栄養学的な治療はうまくいかない。そのような場合は、腸管や食欲の回復につながる薬膳や漢方生薬の活用も積極的に考慮されるとよい。
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