訪問看護と介護 23巻12号 (2018年12月)

特集 理学療法士等との連携、どうしていますか?—制度改定をチャンスに変える

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2018年度同時改定で、訪問看護ステーションからの理学療法士等による訪問に関する見直しが行なわれました。

報酬単価が下がるとともに、理学療法士等が主に訪問している利用者については、サービス開始時および定期的に訪問看護師が訪問してアセスメントを行なうこと、さらに、訪問看護師と理学療法士等とが連携して訪問看護計画書・報告書を一体的に作成することが義務づけられました。

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2018年度の診療報酬・介護報酬の改定で、看護職員と理学療法士等の連携を強化することが呼びかけられました。

「いや、すでにちゃんと連携できているよ」。

そうお思いの方もいるかもしれません。

しかし、実際にそのように思っていたという現場の方々も、これまでの連携のやり方を見直してみると、“余地”があると気づき、さらなる可能性を見つけています。

本座談会では、「訪問看護事業所における看護職員と理学療法士等のより良い連携のための手引き」の作成に携わった皆さんに、連携することの意義、得られる効果、そしてどんなケアが実現できそうなのかを伺いました。

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「連携の課題」の背景にあるもの

理学療法士等による訪問看護の増加

 訪問看護とは、利用者が要介護状態となった場合においても、「可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、その療養生活を支援し、心身の機能の維持回復及び生活機能の維持又は向上を目指すもの」(介護保険法第59条)であり、訪問看護を実施できる者(従事者)は、「保健師、看護師、准看護師(以下、看護職員等)と理学療法士、作業療法士、言語聴覚士」(以下、理学療法士等)とされている。喜ばしいことに、訪問看護の従事者数は全体的に増えているが、そのなかでも、近年、理学療法士等の占める割合が増加傾向である(p.853)*1

 理学療法士等による訪問看護は、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問できるという位置づけである(表1)。このことをふまえて、看護職員と理学療法士等が効果的に連携を図り、それぞれの専門性を発揮することができれば、利用者の能力を引き出し、社会活動への参加や生きがいにつながる質の高いケアが提供できると考えられる。

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 2018(平成30)年度に行なわれた報酬改正で、医療保険・介護保険ともに、訪問看護事業所の看護職員と理学療法士等の連携のあり方が明確にされました。

 訪問看護事業所からの理学療法士、作業療法士または言語聴覚士(以下、理学療法士等)による訪問看護は、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問するという位置づけのものです(p.866)。2017年に行なわれた実態調査で明らかになったように(p.866)*1、看護職員と理学療法士等の連携が十分でない場合や、まったく連携をしていない場合があることをふまえて、事業所内で職種間の連携を図ってほしいという趣旨で、評価の見直しがされました(表1)。

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 今春の診療・介護報酬改定を受けて、訪問看護ステーションのサービス提供において起こった変化のひとつは、看護職員と理学療法士等の連携のあり方です。

 しかしこの内容自体は新しいものではなく、介護保険においては、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等などで以前より示されているとおり、「理学療法士等の訪問看護は、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させる」という位置づけになっています(p.866)*1。今改定における変化は、訪問看護の利用者や家族が住み慣れた地域で安心して過ごせるよう、ステーションにおいて看護職員と理学療法士等のより良い連携を実現し、質の高いケアが求められていることが再確認されたといえるでしょう。

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 当ステーションは、東京都文京区の閑静な住宅街にあります。利用者数は135人前後で、看護師数16人(常勤換算10.6人)に対し、理学療法士は常勤換算0.6人です。そのため訪問看護師と理学療法士の両職種に介護支援専門員から訪問依頼があっても、ステーション内で対応できないことも多くあります。そのようなときは、訪問看護は当ステーションの看護師が行ない、リハビリテーションを他事業所の理学療法士等に依頼していただきます。

 他事業所の理学療法士等と連携して訪問している利用者数は、いまのところ11人です。介護保険であれば、その多くが、看護師も理学療法士等も週1回の訪問というプランです。難病などの医療保険対応であっても、看護師が週に3〜5日に対し理学療法士等は週に1〜2日という訪問プランがほとんどです。

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 2018年度の同時改定で、利用者の全体像をふまえた効果的な訪問看護の提供を推進するために、訪問看護ステーションにおける理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(以下、理学療法士等)によって提供される訪問看護は、看護職員との連携が不可欠であることが明確化されました*1

 具体的には、訪問看護計画書と訪問看護報告書(以下、計画書・報告書)は看護職員と理学療法士等が一緒に作成し、作成に携わった職員と職種名を計画書・報告書に記名すること。リハビリテーション(以下、リハ)が中心となる利用者に対しても、利用者の状態把握や変化等に合わせて、少なくとも初回と概ね3か月を目安として定期的に看護職員が訪問し評価することが求められています*1

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高齢障害者の問題とは

 訪問看護・介護に携わられている読者の皆さんは「高齢障害者」と聞くと、どのような方々を想像するだろうか。元々若年であった障害者が歳を重ね高齢者となった方、あるいは、高齢者が後天的な障害を持たれた場合とが混在している状況にあるだろう。いぜれにせよ、これらの方々は、医療の進歩に伴って着実に増加してきている。近年、障害者福祉の世界では、この「障害者の高齢化」が大きな問題として顕在化してきている。

 1つは、障害者が高齢化することにより、できていたことが(当然の老化現象として)できなくなるという問題。また、引きこもり状態の知的障害者や精神障害者を親が抱え込んでいて(そうせざるを得なかった状況もあって)、親が介護できない状況になって初めて「発見」されるという問題——いわゆる「80・50問題」もある。

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「死の質」が問われる時代のニーズ

 国民の多くが、住み慣れた自宅で最期を迎えることを希望している。後期高齢者が急増し、限られた医療資源の中での看取りの場の確保が課題となっており、どこでどのような最期を迎えるか、その死の質(Qualty of death;QOD)が問われる時代となった。

 そうした世論の後押しを受け、2018(平成30)年度老人保健健康増進等事業「高齢者向け住まいにおける看取り等の推進のための研修に関する調査研究事業」(以下、本事業)が進行中である。検討委員会およびワーキンググループのメンバーを表1に示す。筆者は本事業の中核的立場にあり、実際に高齢者向け住まいでの看取りを推進している現場代表として多くのミッションを担っている。その根底には、医療職より高齢者に関わる時間が桁違いに多い介護職こそ、アドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)により深く関わることができるという筆者の想いがある。本稿では本事業の概要と背景について、在宅ケアの現場におられる読者に紹介したい。

連載 こちら現場からお届けします!・第2回

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 35年あまり外来・病棟専門医だった私が、千葉で神経難病・障害者(児)専門の訪問診療を始めて1年半ほど経った。クリニックの母体である社会福祉法人が、慢性期病院から右記の方々を地域に帰す活動を以前から行なっており*1、慢性疾患を持つ人々をささえる医療の提案*2をかねて進めていた私が招聘された格好である。「何でもあり」の在宅医療の場で当初は驚き、当惑することばかりであった。しかし最近は患者本人・家族、さらには看護・介護の現場スタッフとの協働のおもしろさを感じ始めている。

連載 在宅ケア もっとやさしく、もっと自由に!・111

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 人生100年時代。定年退職後も長い時間が残されている、さりとて頼りになる年金は先細り、つましく暮らしながらも、趣味や旅行などのさまざまな活動をするシニア層。こうした行動特性をもつ人々は「アクティブシニア」と名付けられています。ことに2007年以降に定年を迎えた、団塊の世代を指す言葉のようです。この年代の女性は地域でも積極的に活動をしていることが多く、地域のボランティアリーダーとして、婦人会や社会福祉協議会の協力会員などに積極的に参加しているといった特徴もあるのだとか。

 そんなアクティブシニアですが、一方でこんな面もあります。巧妙な手口で忍び寄る悪質商法の被害を受けた相談が消費生活センターに寄せられますが、その被害者に注目すると、意外にもアクティブシニアの女性もひっかかっているというのです。「短期記憶が少し落ち始めた高齢者が被害に遭う」というイメージがありましたが、決してそういうわけではないようです。

連載 認知症の人とその家族から学んだこと—「……かもしれない」という、かかわりの歳月のなかで・第20回

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認知症の人とコンタクトを紡ぐまで

 意識が清明でなく、自分の身体を操作できない人とも、何らかのコンタクトの回路はある。この考えはすでにさまざまな分野で論じられているが、特に看護分野においては、言語によらずともその人の意思自体を紡ぎつつ、コンタクトの可能性を開いてきたレポートが多い。

 しかし、こと認知症に関しては、ケアする者のときめきのようなものを感じさせてくれるレポートにはなかなか出会えない。親しい看護師長から、「実のところ、重症期の認知症の人とのコミュニケーションは面倒だ」と聴かされたことがある。コミュニケーションしようにも、関係のリズムが崩れ始めると修正がどんどん難しくなり、収拾がつかなくなるというのだ。

連載 どう読む!? 在宅医療・看護・介護政策・第36回

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 厚生労働省は、根本匠大臣を本部長とする「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」を設置し、10月22日に初会合を開いた。団塊ジュニア世代が高齢者になる2040年を見据え、国民誰もが、より長く、元気に活躍できる社会をめざし、部局横断的に検討を進める考えだ。

 2040年の社会保障を考えると、最大の課題は担い手である現役世代の減少である。このため、多様な就業・社会参加の環境を整えるとともに、健康寿命を延ばして年齢に関わりなく社会で活躍できる基盤をつくることにより、社会の支え手を増やすことを考える。また、医療・福祉サービスの改革による生産性の向上を図りつつ、給付と負担の見直しを通じて社会保障の持続可能性の確保に取り組むこととしている。

連載 シンソツきらきら・第24回

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 全国新卒訪問看護師の会では、今年度より「フレッシュ・リーダーズ・セミナー」という研修講座を開始しました。リーダーシップやマネジメントスキルについて、ケースメソッドやディスカッションを通して学んでいくプログラムで、看護師の若手リーダーを育てていくことを目的としています。開講のきっかけは、新卒や若手の訪問看護師は後輩の育成や看護展開以外の組織などでのマネジメントを学ぶ機会が非常に少なく、長期的な人材育成の視点において課題を感じたことです。今後、着実に新卒や若手の訪問看護師が増えていきます。それらの看護師が、一訪問看護師として育つとともに、看護界のリーダーとして活躍していけるよう、キャリアと人材育成のあり方を考えて続けていきたいと思います。(小瀬)

連載 ふんばる患者が楽になる まいにちの手帖・第3回

いとこが夢見た自転車 たむらあやこ
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私には姉のようないとこがいた

彼女は生まれつき脳の血管がもろく 小さいころから脳出血を繰り返しだんだん障害が重くなっていった

訪問ほっとらいん

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 一般社団法人日本訪問歯科協会では、訪問診療対応可能な歯科医院を検索するサイト「訪問歯科ネット」を立ち上げました。在宅医療・介護に関わる方にも活用していただきたいと考えています。

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目次

今月の5冊

Information 学会・研究会情報

バックナンバーのご案内

次号予告・編集後記 小池 , 青木 , 栗原
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今回は看護師と理学療法士等との連携に関する特集でした。「3か月に1回行なう、アセスメントのための看護師の訪問」については、必ずしも算定することは求められていません。しかし本来、看護師のアセスメントってとっても専門性の高いスキルですよね。それを無料でOKとなってしまうのもちょっとどうかなあって思っているのですが、現場の皆さん的にはどうなのでしょう。今度こっそり教えてください。…小池

特別記事の寄稿者-高木さんは、臨床20年を経て、PTとして初の厚労省専門官を務められ、現在の大学教官に転じられた方です。下河原さんは、米国放浪を契機に建築業から身を起こされ、今に至る社会起業家に。斯界を牽引される2人それぞれの履歴に、長い学びと学び直しの過程があったこと、今なお新しい挑戦を続けられていることを、蛇足ながら付記します。…青木

基本情報

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訪問看護と介護
23巻12号 (2018年12月)
電子版ISSN:1882-143X 印刷版ISSN:1341-7045 医学書院

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