LiSA 27巻12号 (2020年12月)

リアル症例カンファレンスin Osaka

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関西地方の麻酔科医たちが「症例カンファレンス」を実際に集まってやってみた。第3弾となる今回は,新たなメンバーも加わり,「抜管」をテーマに語っていただいた。

症例カンファレンス

予告編
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次号の症例カンファレンスの提示症例を,一足先に紹介する。自施設にこのような症例が来たら,どのような麻酔計画を立てるか,事前に考えておいてほしい。次回,各施設のPLANをお楽しみに!

徹底分析シリーズ がん緩和医療 最前線

巻頭言 堀江 里奈
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昨今の腫瘍学の進歩は目覚ましい。がん患者の生存率改善に伴って,がん患者の手術は今後も増加するであろう。これまでは,がん患者といえども呼吸循環や脳神経など,がん以外の合併症にもっぱら注力することが多かったが,今後はオピオイド長期内服やADL低下など,がんそのものに伴う麻酔リスクをもつ症例が増えることは想像に難くない。

 同時に,緩和医療に使用する薬剤や考え方も大きく変わってきている。ヒドロモルフォンは2017年に承認された新しいオピオイドである。また,がん患者が手術という大きな山にどのように登頂し,無事下山後はどのような日常を歩むのか,ACP(advance care planning)が重要になってくる。

 本徹底分析シリーズでは,最初にがん治療・緩和医療の最新知見,中盤にオピオイド使用患者の周術期管理,そして最後にACPについて解説した。オピオイド使用患者の周術期管理は,実際上も難しい問題であり,また,患者ごとに個別に対応することが最も重要である。今回は,2例の食道癌症例の麻酔・周術期管理について二つの施設に執筆いただいた。これを参考に各施設で,それぞれの症例に対する麻酔方法を考察してみてほしい。

 周術期管理のみに携わっている麻酔科医でも,日々のがん患者の麻酔や集中治療を行うにあたっては,最新の緩和医療の知識を習得しておくことが必須である。そして,いざがん患者の手術麻酔に臨む際には,麻酔科医としての本領を発揮していただきたい。

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がん治療は,現在飛躍的な進歩を遂げている。しかしながら,いまだがん患者は身体的苦痛,精神心理的苦痛,社会的苦痛,スピリチュアルな苦痛に悩まされており,早期からの包括的なアプローチが必要と考えられている。近年,がん医療における緩和ケアの提供について,世界的に議論が進み,「腫瘍学と緩和ケアの統合integration of oncology and palliative care(IOP)」という言葉をよく目にするようになった。

 本稿では,がん治療と緩和医療の現状について概説し,麻酔科医としてのかかわり方について述べる。

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劇的に進歩するがん治療の一部として,がん性疼痛治療はどの程度進歩して,普及したのだろうか? モルヒネすら満足に処方しなかった時代からは比較にならないほど変化したのは間違いない。しかし現在でも,内服できなくなればお手上げか,痛みは和らいでも眠くて仕方がないか,痛みが取れずに終末期鎮静か,という悲しい現状があることにも目を向けなければならない。より質の高いがん性疼痛治療が,より早期から求められている。

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日本で初めてオピオイドの徐放製剤が発売されたのが1988年のMSコンチン®錠である。それから長らく,内服薬はモルヒネの徐放製剤しかなかった。したがって,モルヒネの効果と副作用対策ががん疼痛治療の代名詞であり,近年になって効果が期待でき,副作用が少ない薬剤が発売されても,モルヒネがオピオイド全体の治療方法としてとらえられている。

 本稿では,多くの製剤が使用可能になった現代の緩和薬物療法を,臨床の視点で記載する。

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前稿で,がん患者への緩和療法として多様なオピオイドが使われるようになってきていることを述べてきた。では,実際にオピオイド使用患者の周術期管理をどのような投与計画で乗り越えていけばよいのか? 本稿ではその基本的な考え方と具体的なスイッチングの方法を示すとともに,日常でふと思い浮かぶ素朴な疑問に回答していきたい。

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日本で2017年に発売されたナルサス®,ナルラピド®は,がん性疼痛に対する新たなオピオイド製剤の一つである。手術患者の中にも,これらを内服している患者が増えてきている。本稿を読了したのち,そういった患者の麻酔を担当することになっても慌てずにいられるようになっていただければと願う。

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日本でも早期からの緩和ケア導入が普及し,がん性疼痛に対してオピオイドを長期間使用している患者が増えた。このような患者が提示症例のように原疾患との関連の有無にかかわらず骨折や腸管穿孔などを発症して手術となるケースも今後増加すると予想される。そのような患者の多くはオピオイドの耐性や身体依存が形成されており,周術期管理の際に配慮が必要となる。術前オピオイドの不用意な中断や減量は退薬症状のリスクとなる。またオピオイド耐性患者では,オピオイド非使用者に比べて術後鎮痛に要するオピオイドが3倍増加するとの報告があり1),疼痛管理が不十分になりやすい。しかしオピオイドの過量投与はオピオイド誘発性換気障害opioid-induced ventilatory impairment(OIVI)のリスクとなる2)

 本稿では,オピオイド使用患者の大腿骨骨幹部骨折手術を例として,具体的な麻酔・周術期疼痛管理計画の立案と,予測し得る有害事象への対応を検討してみたい。

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ここ数年,国内外でアドバンス・ケア・プランニングadvance care planning(ACP)の実践が広く推進されるようになった。ACPはもともと患者の自律性を重視する欧米で生まれた概念である。本稿では,ACPの概念が生まれるに至ったこれまでの歴史や理由を概説する。また,がん治療医や緩和ケア医がどのように患者に接し何を大切にしているかについて紹介する。最後に,手術を含む侵襲的処置に際して終末期患者とどのようなコミュニケーションや意思決定支援を行えばよいのかについて検討する。

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はじめに

筆者は,約30年前に大阪府立大学に着任し,キイロショウジョウバエを用いて,特に遺伝子やタンパク質を中心に麻酔薬の作用機序の研究を行ってきた。しかし,遺伝子・タンパク質・組織学を中心とした研究は,費用がかかるし,変異ハエも恒温槽の何度もの故障で絶え,また自分の後継ぎも取れそうにないので,10年ほど前にやめ,ストレス,放射線の生物的影響といった研究にシフトした。ということで,若い麻酔科医や麻酔研究者に語るのはおこがましいことである。

 やはり麻酔学研究は,医学,歯科医学,獣医学などでの応用が主で,しかも局所麻酔薬では標的や特異的作用がはっきりしている場合もあるが,全身麻酔薬の機序の統一的な理解はまだまだである。あるいは,標的そのものがあるかもわかっていないのが現状である。したがって,タイトルを“ハエに麻酔をかけると何がわかるのか?”としたが,結局何もわからないじゃないかと取られても仕方がないが,少しお付き合いいただければ幸甚である。

連載 研修医・初心者のための〜Dr.DのおもしろTEE講座 第3回

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先天性心疾患でTEEを使いこなそう

みなさん,こんにちは。TEEしてますか。さて,TEEの試験範囲には,先天性心疾患が含まれます。しかし,小児心臓手術症例がない施設や,TEE初心者にとって,先天性心疾患の試験対策は大変です。特にビデオ問題対策に頭を悩ませているのではないでしょうか。かくいう私も,初めてのTEE試験の準備では勝手がわからず,やみくもに先天性心疾患のビデオを見ては,動画を脳裏に焼き付けて,試験に臨みました。

 試験にはなんとか合格したものの,このやり方はその場しのぎの対応で,診断能力がついたというにはほど遠い状態でした。「どうしよう…」と悩んでいたところ,本棚の片隅に発生学の本を見つけました。「以前読んだけど…すっかり頭の中から消えている」と思いつつも,「小児心臓外科医とディスカッションしてTEEを使いこなしたい」という一心で,少しずつ読んでいきました。そそられない気持ちをぐっとこらえて読み進めていくと…「あら,不思議?!」今までもやがかかっていたかのようにあいまいな理解であった先天性心疾患のTEE診断が,ベールを幾枚か取り去ったようになった自覚がありました。

連載

THE Editorials
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Anesthesia & Analgesia

Editorial:

Perry TE, Prielipp RC. Yes you can-cautiously-infuse norepinephrine intraoperatively through a peripheral intravenous catheter. Anesth Analg 2020;131:1057-9.

Article:

Pancaro C, Shah N, Pasma W, et al. Risk of major complications after perioperative norepinephrine infusion through peripheral intravenous lines in a multicenter study. Anesth Analg 2020;131:1060-5.

■末梢静脈ラインからのノルアドレナリン投与は危険という教え

ノルアドレナリン(Nor)やドパミンは,「血管外漏出すると強い血管収縮作用によって皮膚壊死や組織壊死を起こす可能性があるため,末梢静脈ラインから投与してはならない」という教えがある。全身に到達する時間を考えても,これらの薬物は中心静脈ラインからの投与が推奨されている。

 しかし,Norやドパミンを末梢静脈から投与した経験がある読者は多いのではないかと思う。筆者も,心機能が低下した大動脈弁狭窄症患者やその他の高度弁疾患患者の麻酔導入時に,予防的にNorやドパミンなどを末梢静脈ラインから持続静注をする場合がある。いつも,「本当は,これは末梢静脈ラインから投与してはいけないんだよ」という言い訳をしながら…。また,術中の低血圧治療で末梢から投与したこともある。これらの薬物の持続静注が必要な場合には,輸液速度も速く,また希釈した溶液をシリンジポンプで投与するため,薬物が血管に到達するときには,かなりの低濃度になっていることもリスクを低くしていると考えられる。

連載 判例ピックアップ 番外編

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●Summary

米国におけるオピオイドクライシスopioid crisisの始まりは,医療機関での非がん性慢性疼痛に対する医療用オピオイドの積極的な(時に異常な)処方にあった。しかしこの問題の本質は,オピオイド投与の是非ではない。製薬会社の暴走と,本来はそれを止めるべき医療・行政機関が機能不全に陥っていた社会的背景が複雑に絡み合って生じた1〜4)のである。したがって,米国におけるオピオイドクライシスで理解すべき点は,何がそのような状況を生み出したのかというその深層である。

こどものことをもっと知ろう 第20回

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麻酔科医:インフルエンザワクチンって,毎年感染対策チーム(ICT)から「打て! 打て!」と言われるけど,本当に必要なのですか?

感染症内科医:打て! 打て! 打て! ですよ。医療従事者は重症のインフルエンザにかかりやすい高リスクの患者と接触する機会が多いので,「コクーン戦略」が必要なのです。

麻酔科医:コクーン戦略?

感染症内科医:蛹を守るコクーン(繭)になるということです。

バランスト・スコアカー道 マネジメントをめぐる冒険

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前回までのあらすじ

マネジメント・ツールである,バランスト・スコアカード(BSC)。病院での有効性を探る「バランスト・スコアカー道」は遠くシンガポール,KK Women's and Children's Hospital(KKH)に到達するが,そこにはBSCを必要とするグローバルな競争環境が存在した。日本でも,BSCが根付く要因を見つけることができるだろうか。

時短・簡単・驚嘆レシピ 夕ご飯 何にする?

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クリスマスが近づくこの季節,家族や友人とクリスマス・パーティなど,予定のある方も多いのではないでしょうか? おもたせとして最適なスイーツや,ちょっぴり贅沢なごちそうで,クリスマスを彩りましょう。

Tomochen風独記【最終回】

71 連載を終えるに当たり 山本 知裕
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2014年1月号から延べ6年にわたって連載してきた「Tomochen風独記」も,今回が最終回です。2012年の3月,日本の麻酔科専門医資格を取得し大学院博士課程も修了したタイミングでドイツに渡り,2018年3月までドイツの麻酔科専門医として臨床の現場で経験したあんなことやこんなことについて紹介してきました。日本に帰国して早いもので2年半以上が経過した現在,ドイツ時代とはまったく比較にならないほど時間がない(ドイツでは8時間労働がきっちりと守られています)毎日で,当時の自分がドイツで感じていたことを思い出しにくくなってきており,そろそろ潮時と考えた次第です。

 最終回は,ドイツ生活の最初と最後のお話をします。

—髙橋トレーナーが解決!—オペ室でのびのびストレッチ【最終回】

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【登場人物】

髙橋 勇気:麻酔科医特有のカラダの悩みをストレッチで解決する名トレーナー

宮坂 清之:麻酔科10年目。静かに温かく見守る麻酔科リーダー

(※登場人物のプロフィールは実際の状況とは異なります)

diary

三重県伊勢市 倉田 正士
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伊勢市は三重県の中東部に位置します。伊勢志摩国立公園の玄関口にあたり歴史と文化に富んだ名所・旧跡が多く存在します。中でも伊勢神宮は古くから「お伊勢さん」と呼ばれ親しまれてきました。

 当院は市街地から5分ほどのところにある病床数300床の総合病院です。内科,外科,整形外科など20の科があり,急性期を中心に回復期・地域包括ケア・ホスピス病棟があります。高齢の患者が多く,転院せずに急性期から慢性期までの治療ができる点は強みです。また将来発生が予想される南海トラフ巨大地震の際は災害拠点病院として活躍が期待されています。麻酔科は常勤2人と非常勤1人で年間800例の全身麻酔を管理しています。県内でも数少ない「手の外科」の専門治療が可能であり,手の切断の患者が県内各地から運ばれてきます。腹腔鏡下手術の割合が高く,腹部手術の6〜7割は腹腔鏡下です。硬膜外麻酔に慣れた世代の麻酔科医ばかりなので可能なかぎり硬膜外麻酔を併用した麻酔管理を行っています。術後の血栓予防にはエノキサパリンナトリウムを使用し,必要がなくなった時点で硬膜外カテーテルを抜去しています。神経ブロックを行うのは高リスク患者で,硬膜外麻酔ができない場合です。最近取り組んでいるのはpoint-of-care超音波で,麻酔の補助に活用しようと勉強中です。

新説 浮世鑑

鳥居数 争ふ古狐 石黒 達昌
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毎回のように,本連載の担当さんに「遅れて申し訳ありません」から始まる添付メールで原稿をお送りしているのですが,今回の遅れは米国大統領選の行方をぎりぎりまで見定めていたという事情がありました。とはいえ,投票3日前の今日現在に至ってもまったく予断を許さない状況での予測は危険だという諦念から,何が起こっても変わらない話題とすることにしました。

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基本情報

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LiSA
27巻12号 (2020年12月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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