徹底分析シリーズ がん緩和医療 最前線
オピオイド耐性を考慮して多角的な術後疼痛管理を—オピオイド必要量には個人差あり個別的かつシームレスな疼痛管理を心掛ける
杉山 陽子
1
,
飯田 宏樹
2
Yoko SUGIYAMA
1
,
Hiroki IIDA
2
1岐阜大学大学院医学系研究科 周術期女性医師活躍支援講座
2岐阜大学大学院医学系研究科 麻酔・疼痛制御学
pp.1290-1294
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201852
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日本でも早期からの緩和ケア導入が普及し,がん性疼痛に対してオピオイドを長期間使用している患者が増えた。このような患者が提示症例のように原疾患との関連の有無にかかわらず骨折や腸管穿孔などを発症して手術となるケースも今後増加すると予想される。そのような患者の多くはオピオイドの耐性や身体依存が形成されており,周術期管理の際に配慮が必要となる。術前オピオイドの不用意な中断や減量は退薬症状のリスクとなる。またオピオイド耐性患者では,オピオイド非使用者に比べて術後鎮痛に要するオピオイドが3倍増加するとの報告があり1),疼痛管理が不十分になりやすい。しかしオピオイドの過量投与はオピオイド誘発性換気障害opioid-induced ventilatory impairment(OIVI)のリスクとなる2)。
本稿では,オピオイド使用患者の大腿骨骨幹部骨折手術を例として,具体的な麻酔・周術期疼痛管理計画の立案と,予測し得る有害事象への対応を検討してみたい。
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