LiSA 26巻6号 (2019年6月)

異職交流インタビュー

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日本中を熱狂させた2002年サッカーワールドカップ日韓大会。赤いモヒカン頭と激しい守備で日本代表の中盤に君臨したのが戸田和幸だ。その彼は現在,むしろ冷静で理論的なサッカー解説者,そして指導者として知られるようになった。そのスタイルの変貌の背景は何なのか。そしてプロフェッショナルとして変わらず持ち続ける情熱の行方を,あえて正面から問うてみた。

症例カンファレンス

予告編
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次号の症例カンファレンスの提示症例を,一足先に紹介する。

自施設にこのような症例が来たら,どのような麻酔計画を立てるか,事前に考えておいてほしい。

次回,各施設のPLANをお楽しみに!

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重症の慢性呼吸不全のために在宅酸素療法home oxygen therapy(HOT)を導入された患者が増えている。そんな患者の手術の麻酔を担当することは,珍しくなくなった。これらの患者は,呼吸機能に予備能が乏しいどころか,平常時でも呼吸機能は低下している。開胸手術や上腹部の手術は呼吸への影響が大きいことが知られているが,では,乳腺手術の際にはどのように考えればよいのだろうか。麻酔も,全身麻酔であれ脊髄幹麻酔であれ,呼吸への影響が大きい。呼吸管理は,麻酔の本質の一つである。なぜなら,鎮痛や鎮静は必ず呼吸抑制を伴うからである。つまり麻酔とは「息をさせ続けること」とも言える。ただでさえ呼吸機能の低下した患者をうまく麻酔する,つまり息をさせ続けるには,どのような配慮が必要だろうか。

 これは難題である。何らかのガイドラインやマニュアルやフローチャートどおりというわけにはいかない。準備段階はもちろん,手術室入室後も,その時々の患者や術者からのわずかな情報を鋭敏に感知し,解剖学や生理学や薬理学の知見を動員し,自分で考えながら,戦略を立てていかなければならない。なかなか言葉では表現しづらい細かな気遣いを積み重ね,丁寧に丁寧に慎重に事を進めなければならず,まさに職人技が求められる。誌上でその職人魂までお伝えすることは難しいが,いずれのPLANにもそんな麻酔のプロらしい思考が詰まっている。

徹底分析シリーズ PCI

巻頭言 坪川 恒久
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わたしたち麻酔科医は,経皮的冠動脈インターベンションpercutaneous coronary intervention(PCI)を受けた患者に日常的に接している。そうした患者の術前診察では,二つの大きなチェックポイントがある。一つは,どの部位に対して治療を受け,どの部位が未治療のまま残っていて,どのような症状が残存しているかという点であり,もう一つは,どんな抗血小板療法が行われているか,という点である。これらは,実施されたPCIの内容と深くかかわっている。

 ところが,PCIは日進月歩で進化し続けており,患者がいつ,どんな治療を受けたかでも大きく異なってくるため,われわれは,以前行われていた治療から最新の治療まで理解しておく必要がある。

 本徹底分析では,PCIの歴史から始めて,診断,適応へと進み,実際の治療に至るまでを,循環器内科のエキスパートに解説をお願いした。さらに,抗血小板療法については内科,麻酔科の双方の視点から解説した。全体を通して,15年前にPCIを受けた患者にも,1か月前にPCIを受けた患者にも対応できるようになっている。また,循環器内科医とのコミニュケーションのベースとなる内容を備えているので,ぜひ,日常臨床に役立ててほしい。

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1970年代に冠動脈バイパス術coronary artery bypass graft(CABG)が虚血性心疾患への治療法として普及し,胸部症状の改善効果,さらには左主幹部(LMT)や三枝病変での生命予後改善効果が示されていた。その中で1977年のGrüntzig博士によるバルーン形成術の成功は大きなインパクトを残した。以後,これまでの約40年間で経皮的冠動脈インターベンションpercutaneous coronary intervention(PCI)は急速な進化を遂げ,経験が蓄積されてきた。それは,術者の技術,薬剤,デバイスの進歩の歴史ともいえる。「病変拡張の成功→治療直後の急性冠閉塞のコントロール→遠隔期の再狭窄予防」とPCIの課題は変遷してきた。現在は初期成績がよければ,薬剤溶出性ステントdrug eluting stent(DES)によって安定した遠隔期成績を期待できるようになっており,PCIは成熟期を迎えたともいえる。安定した成績はPCIの適応を拡大する方向へ向かわせたことから,その適応の評価も重要な側面となってきている。

 本稿では,これまでの薬剤,デバイス・技術の発展を振り返り,さらには今後のPCIの展望も含めて概説する。

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虚血性心疾患に対する治療を行うためには冠動脈の解剖の理解が必須である。冠動脈の画像診断法として,今なおカテーテル挿入による冠動脈造影coronary angiography(CAG)がゴールドスタンダードであり,正確な読影技術を習得する必要がある。しかしCAGは侵襲的であり,一定の確率で合併症を起こす危険性があることから,近年は冠動脈CTが好んで施行されている。multi detector-row computed tomography(MDCT)の進歩によってCAGに近似する画像が描出できることはもちろん,CAGでは判断できないプラークの性状や局在などの有用な情報も得られる。冠動脈CTは虚血性心疾患のスクリーニングとしてはもちろん,PCIを行ううえでCAGと同等に重要なモダリティーとなっている。本稿最後には最近注目されている「冠動脈石灰化スコア」と「FFRCT」についても解説する。

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保険算定要件変更の背景

2018年4月から,経皮的冠動脈インターベンションpercutaneous coronary intervention(PCI)の要件の適正化として,診療報酬改定に伴う安定狭心症の保険算定要件が変更され,術前の機能的虚血評価が必須となった(表1)。従来は,安定狭心症であっても1方向からの造影で75%以上の狭窄病変が認められれば算定されていたが,新たに機能的虚血診断が保険算定に義務づけられた。つまり,75%の高度狭窄が存在していても虚血を証明しなければPCIの適応にならないということである。これには,米国の適切性基準appropriate use criteria(AUC)の導入に伴い,PCIの適切性に伴う臨床的な有益性とリスク,さらにはコスト面での検討が加わり,非急性期の不適切なPCIが著明に減少し,安定狭心症に対するPCIが適正化された背景がある。

 こうしたPCIの適切性に対する取り組みを促すことになった経緯には,PCIと至適薬物療法optimal medical therapy(OMT)の比較試験の結果が大きく関与している。2007年に報告されたCOURAGE試験1)は,低リスクの安定狭心症を対象としていたが,十分な薬物治療の長期成績が有意狭窄病変に対するPCIと同等であり,虚血性心疾患治療に対するPCIの適応を大きく変えることになった。さらに,重症1枝安定狭心症のPCIに対する二重盲検試験であるORBITA試験2)では,両群間での運動耐容能や症状に有意差は認めず,薬物治療とPCIの効果に大きな違いがなかった。このような比較検討の結果から,PCIの適切性が問われるようになり,冠動脈狭窄の解除ではなく虚血の解除を目的とした適切なPCI適応がより求められる時代となっている。さらに最近では,心筋血流予備量比fractional flow reserve(FFR)などによる生理的な虚血評価にもとづいた適応の決定が重要視されてきている。

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経皮的冠動脈インターベンションpercutaneous coronary intervention(PCI)は,狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患をカテーテルによるアプローチで治療する冠動脈の血行再建術である。ガイディングカテーテルを介して,ガイドワイヤー,バルーン,ステントなどのデバイスを用いて冠動脈の狭窄,閉塞の治療を行う。

 本稿ではPCI手技の実際,デバイスの特徴,起こり得る合併症とその対処法,合併症の中でも特に外科的治療が必要となる場合などの事項について解説する。

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急性冠症候群acute coronary syndrome(ACS)に対する治療は,薬物療法,経皮的冠動脈インターベンションpercutaneous coronary intervention(PCI),冠動脈バイパス術coronary artery bypass graft(CABG)が選択および併用され,その治療のタイミングや内容は多岐に渡る。また,心筋梗塞に伴う合併症や治療に伴う合併症により,外科的介入が必要になる場合がある。そのような患者における治療内容やリスクマネジメントについて概説する。

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経皮的冠動脈インターベンションpercutaneous coronary intervention(PCI)の目的は,冠動脈に生じた狭窄あるいは閉塞性病変による心筋虚血を解除し,薬物治療で達成できない自覚症状の改善にある。1977年に世界で初めて施行されてから,PCIは治療器具(冠動脈ステント)の進歩と周術期の抗血栓療法の確立により発展してきた。冠動脈ステントと抗血小板薬は一見関連のないように思われるが,ステントの進歩がPCI後の抗血栓療法を確立してきたと言っても過言ではなく,両者を切り離すことはできない。

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高齢化や外科手術適応の拡大に伴い,経皮的冠動脈形成術後の周術期患者を診療する機会は増加している。特に薬剤溶出性ステントdrug eluting stent(DES)の留置から間もない患者では抗血小板薬2剤併用療法dual antiplatelet therapy(DAPT)が施行されていることが多く,周術期における抗血小板薬休薬の是非が問題となりやすい。

 本稿では,DES留置後の非心臓手術症例を例に,現時点で適切と考えられる臨床対応とその根拠について理解を深めたい。

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はじめに

心不全患者は年々増加しており,日本循環器学会の循環器疾患診療実態調査報告によると循環器関連施設に入院した心不全患者数は2018年で28万人,そのうち,急性心不全で入院する患者は12万人を超えている1)。心不全を中心とした心血管疾患による死亡は,癌に続く死因の第2位に位置している2)。癌と同様に国民を脅かす疾患群として脳卒中と心血管疾患が注目され,国レベルの対策で対応していく必要性が認識され,2018年12月に「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中,心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」が公布された3)。このような背景には超高齢社会が少なからず関与しており,“心不全パンデミック”と称されるほどの事態に至ったのである。心臓を構成している冠動脈,心筋,弁,心膜,そして刺激伝導系のいずれが障害されても,心不全は起こり得るので,今後ますます心不全患者に遭遇する機会は増える。common diseaseとして医療に携わるすべての人が,その診断および治療法の要点を共通認識として知っておくべきである。この参考になるのが,2018年3月に公表された新しい心不全ガイドライン『急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)』4)(以下,ガイドライン)である。本稿はそれにもとづいて解説する。

こどものことをもっと知ろう 第3回

こどもの気道/呼吸機能 三好 義隆
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若手麻酔科医:外来に来た赤ちゃんのお母さんが「普段からゼーゼーしている」って言うんですが,診察の時には何も症状がないんです。

小児科医:お母さんの言うことは,まず信じましょう。こどもの気道疾患では臨床症状が大切なので,問診にも診察にも工夫をして,情報を取りにいく意識が大切ですよ。

diary

佐賀県唐津市 田中 宏幸
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佐賀県北部に位置する唐津市は,人口は約12万人,面積は佐賀県の20%を占めています。福岡市,佐賀市から車で1時間ほどの距離にあります。歴史好きな方には,末廬国と紹介したほうがいいでしょうか。『魏志倭人伝』にも出てくる末廬国は今の唐津市あたりにあったと言われています。

連載

THE Editorials
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Anesthesia & Analgesia

Editorial:

Memtsoudis SG. Preoperative echocardiography in hip fracture patients:a waste of time or good practice? Anesth Analg 2019;128:207-8.

Article:

Yonekura H, Ide K, Onishi Y, et al. Preoperative echocardiography for patients with hip fractures undergoing surgery:a retrospective cohort study using a nationwide database. Anesth Analg 2019;128:213-20.

■術前検査の意義とは…

術前検査の意義は何かと問えば,患者の状態を把握し,患者の予後改善に必要な周術期対策を立てることにある,という答えが返ってくるであろう。不十分な術前評価は,患者の予後を悪化させる可能性がある。だが,どの検査を実施すべきかは,患者の状態や,予定されている術式にも影響される。検査を多く実施しても,周術期ケアの質が向上するとは限らない。

 術前検査には偽陽性も偽陰性もある。検査結果の解釈にあたっては,その感度や特異度,さらには陽性・陰性的中率も考慮する必要がある。検査値が異常であるとしても,それが周術期管理に影響を及ぼすことは,むしろ少ないとされている。例えば高齢者では,胸部X線写真で陳旧性の結核が疑われても周術期管理に変更はないであろう。検査の経済効率や,手術待機時間の延長などについても考慮する必要がある。

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こんにちは!ワイン安部です。

渡仏の興奮も冷めやらぬまま,スペインから来日した生産者のプロモーションに帯同しました。試飲商談やイベントで多くの方に好評いただき,スペインワインのよさを再認識しています。

今月と来月で「実は知らない!?」スペインワインの基礎知識を紹介します。

Tomochen風独記

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2018年3月まで私が6年間勤務していたドイツ小児心臓センターDeutsches Kinderherzzenrtum(DKHZ)における心臓麻酔について,ようやく人工心肺までたどりつきました。今回は,人工心肺中のスタッフたちの生態について紹介します。

クラシック音楽談義 ゆるりと音楽の話をしませんか 第2回

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前回は音律の歴史についてお話しました。では,その音律でどんな音楽が作られてきたのでしょうか。

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基本情報

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LiSA
26巻6号 (2019年6月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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