LiSA 26巻7号 (2019年7月)

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Nagasaka Okay, we have invited Dr. Charles Coté for our LiSA interview. Dr. Coté has authored textbooks in pediatric anesthesia, now in its seventh edition and he has been the first author of the American Academy of Pediatrics (AAP) sedation guidelines from 1985 to 2019. Dr. Otake is joining us as a commentator. He has been developing a Japanese pediatric sedation guideline for the MRI.

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今回の症例カンファレンスは,小児麻酔にありがちな気道緊急とか生命の危機とかを扱うものではない。純粋に“麻酔の質”をテーマとしている。

 小児麻酔における“よい麻酔”,“求められている麻酔”とはどのようなものだろうか? 外科医をはじめとする医療者が求めるのは,「安全に手術するための麻酔」であろう。一方,小児患者やその保護者が求める麻酔は,「術後の痛みが少ない」のは当然として,「気持ち悪くならない」「暴れない」など,満足度に直結するものが多い。これらの要望は成人の麻酔においては特別なことではなく,すでに多くの施設で当然の如く追求されているのだから,小児であっても成人同様に追求していきたいところである。

 今回は,背景の異なる三つの施設からPLANを提示してもらった。保険適応や安全上の制約があるなか,それぞれの施設で実施可能な工夫と努力が示された。いずれも,医療者だけでなく,小児や保護者にとっても満足度の高い“よい麻酔”を提供していこうという気概が感じられる内容である。自施設にとって,どの方法,どの部分なら採用できるかを考えながらご一読いただきたい。

予告編
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次号の症例カンファレンスの提示症例を,一足先に紹介する。

自施設にこのような症例が来たら,どのような麻酔計画を立てるか,事前に考えておいてほしい。

次回,各施設のPLANをお楽しみに!

徹底分析シリーズ 麻酔科からの「お・も・て・な・し」—ラグビーワールドカップ,そしてTOKYO2020

巻頭言 末盛 泰彦
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本年9月のラグビーワールドカップ,そして2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(TOKYO2020)を前に,興奮と期待も高まってきた。こうした大規模スポーツイベントが文化や人種を超えた貴重な交流の機会となり,それらが国益につながることはいうまでもない。その一方で,安全の確保など,多くの課題も指摘されている。

 TOKYO2020に向けて医療界では,日本麻酔科学会など24団体(2019年4月時点)が加盟する「救急・災害医療体制を検討する学術連合体(コンソーシアム)」が結成され,まさに既存の枠組みを超えた体制構築が進められている。なかでも喫緊の課題がテロ対策だ。近年は大規模イベントがテロの標的となり,銃器や爆発物による多数傷病者が発生する傾向にある。同時に,酷暑が予想され,選手や観客,そして主催者側にも熱中症の多数発生が懸念される。

 今回の徹底分析では,過去のスポーツイベントやテロの事案における医療救護のあり方,特に外傷や薬物,そして熱中症(労作性熱射病)に対する初期治療や,情報通信と指揮系統について,総合的な対応のあり方を考えてみた。多くの事案で,手術室を核として縦横に連携のとれた急性期治療が「対応の軸」となっていることは注目に値する。

 最新の知識と情報を共有し,実効性のある体制を整えることこそ,世界の客人たちに向けた私たち医療者からの「おもてなし」となるだろう。

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2019年4月21日にスリランカで発生した同時多発テロ事件の背景には,ISIL(Islamic State in Iraq and the Levant)いわゆる「自称イスラム国」の影響を受けたイスラム過激派の関与が考えられている。従来,アジア圏にはこれに関連するテロがほとんど発生していなかっただけに,イスラム過激派のアジアへの浸透が懸念される1)。この点は2019年ラグビーワールドカップ,2020年東京オリンピック・パラリンピック,2025年日本国際博覧会開催において留意しなければならない。テロ対策の基本は,インテリジェンスや公安機関による防止であるが,一度事案が発生すれば,大量の傷病者が発生するため,病院前救護を含む救急医療が果たす役割は大きい2)

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2013年4月15日,米国のマサチューセッツ州で開催されていた第117回ボストンマラソンのゴール地点周辺は多くの観客,選手で埋め尽くされていた。

 午後2時49分,ゴール地点手前200mにおいて突如,連続する2発の爆発音が発生。その後,白煙が立ち上った。白煙が消え去ると,そこには全身に金属片がめり込み,四肢が切断されたり,大量の出血をきたしていたりする重症者が折り重なるように倒れていた。

 ボストン爆弾テロ事件の発生である。

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ラグビーワールドカップ,オリンピックがやってくる。4年に1度ではなく,一生に1度と称されるこの大規模イベントは日本中に活気をもたらすだろう。一方でこのようなスポーツイベントは,テロの標的とされる可能性が十分に考えられる。2013年のボストンマラソンの惨劇は記憶に新しい。最もランナーが集まる時間帯を狙ったゴール付近での2度の爆発により,3名が死亡し264人が受傷した1)

 多数傷病者発生事例は,通常の診療体制では対応困難であり,診療科の垣根を越えた対応が求められる。

 本稿では,多数外傷患者発生事例を想定して,その対応への準備について解説する。

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救急・災害医療体制の構築を行う中で,応急処置としての軍用ターニケットcombat application tourniquet(CAT®)の役割に注目が集まっている。従来その名のとおり,主に戦場で用いられてきたCATが,その有効性から民間の救急現場でも広がりを見せ始めた。日本の救急隊においてもCAT使用法について教育が始まっており,今後日本でも病院前でのCATの使用が増えると考えられる。戦傷医療としてのCATの知見を紹介する。

 なお,「CAT」は商品名であるが,世界中で最も普及しており,軍用ターニケットの代名詞的存在となっている。本稿では,予定手術で使用するターニケットと戦傷医療として発展したターニケットを区別する目的で,特に後者についてはCATと表記する。

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本稿では,近年欧米で発生した大量殺傷型テロ事案5件を紹介し,そのなかで医療機関がどのように急性期対応をしたか,公開情報および筆者個人の聞き取り調査をもとに,日本にとって有益な教訓を抽出し紹介したい1〜5)

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近年,特定の人物の殺傷を目的とした犯罪のみならず,不特定多数の一般市民を狙った事件が世界各国で多発していることは周知の事実である。米国においても,主に銃器を用いた大量殺傷型事件がこの数年で急増してきており,医療従事者はもちろんのこと,一般市民レベルにおいてもこれらの事例に対応する必要性が求められている1)

 本稿では,日本で日常的に診療する機会のないこれらの特殊な外傷症例に対応する際に必要な知識や注意点などについて紹介する。

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オリンピックのような大規模スポーツイベントにおいてCBRNE〔chemical(化学剤*1),biological(生物兵器),radiological(放射性物質),nuclear(核),explosive(爆発物)〕テロが実行された例はまだない。だからといって,それが将来も起こり得ないと考えるのは間違いであろう。英国で2018年3月に起こった元ロシア二重スパイとその娘に対するノビチョクによる暗殺未遂は,どこで何が起こっても不思議ではないという現在の不透明な情勢を表している。

 本稿では,そのノビチョクの使用から見えてくる危険性とそのような化学テロにおけるトキシドローム(特徴的な症状・徴候から原因物質を大まかに分類・推定すること)の重要性,さらにオリンピック等におけるCBRNEテロ対策の必要性について述べる。

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トライアスロンをはじめ,夏季は多くのスポーツイベントが日本各地で行われ,参加者や主催する団体,そして開催する地域にとって非常に盛り上がる機会となる。しかし,1名でも重度の労作性熱中症または労作性熱射病(日本救急医学会の熱中症分類Ⅲ度に相当)が発生し,ファーストエイド,救急搬送が遅れ,アスリートが死亡に至ると,本人やその家族をはじめ,多くの関係者にとって不幸なことになる。労作性熱射病による死亡は,適切な準備を行えば100%防ぐことが可能であり,アスリートのみならず,主催者,医療関係者は,すべての労作性熱射病を救命することを目指して最大限の努力をすることが求められる1)

 本稿では,架空の労作性熱射病死亡例を提示し,現場でのファーストエイド,救急搬送体制,そして集中治療のあり方について検討したい。

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はじめに

2007年に京都大学の山中伸弥教授が発表したヒトiPS細胞の作製は,体細胞を初期化してES細胞(胚性幹細胞)と同様の状態を作り出すことができる技術である1)。この方法を用いて患者が失った細胞を作製し補充する再生医療は,大きな期待がもたれる次世代の医療であるが,安全性・コストの問題など解決しなければならない点は多い。一方で,難病の患者から細胞を採取してiPS細胞を作製し,培養皿の上で病態を再現し病態の解明や創薬に応用するという新たな創薬の方法もiPS細胞技術によって切り開かれつつある。

こどものことをもっと知ろう 第4回

小児の歯 佐藤(朴) 曾士 , 城 尚子
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普段の日常臨床で,こどもの歯をじっくりと観察していますか? 皆さんが日頃気にされることは,おそらく「担当小児患者の前歯がグラグラしているから,気管挿管の時に気をつけよう」などといったことではないでしょうか。

 今月は,「小児の歯」を取り上げます。日常臨床で出くわす内容や知って得する内容を中心に書いていますので,気楽に読み進めてください。

diary

山梨県富士吉田市 市川 学
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当院は富士山北麓の富士吉田市にあります。私の家は車で60分くらい離れた甲府盆地にあるので,毎朝6時半頃に車で家を出て,始業時間の40分前に病院に着くという生活をしています。仕事が始まるまでの間,近くの田んぼを散歩するのが日課です。ここではキジ(写真1)が繁殖していて,春になるとあちこちからホロ打ちと呼ばれる,雄が縄張りを主張し,雌に自分をアピールする鳴き声が聞こえます。見慣れると,どの雄がモテるか大体わかります。やはり恰幅がよく堂々としている雄が2,3羽の雌を連れていることが多いです。一夫多妻制でしょうか,あぶれた雄が懸命に雌を呼ぶ健気な声が田んぼのあちこちで響きます。

 当院には呼吸器外科,産婦人科,脳外科を含め多様な症例がありますが,無理にでも症例の特徴を挙げるならば,高齢者の骨折が多いことでしょうか。常勤麻酔科医3名の出身地はばらばらですが,病院スタッフはほとんどが地元出身です。当然プライバシーなどあってなきがごとし,家族構成から昔の彼女まで筒抜けです。先日,独身男子の大御所であった40代の手術室看護師W君(写真2)が,彼女の存在すら誰にも告げることなく突如結婚をしました。しかし本人が結婚の報告をする前に,「午前,珍しく有休を取ったと思ったら市役所に若い女の人といた」という噂がW君の出勤前に病院中を飛び交い「まさか結婚?」「詐欺?ローンとか組まされてない?」と全病棟を震撼させる騒動が発生しました。W君が結婚していないことを病院スタッフみんなが心配していたということでしょう。W君,本当に結婚おめでとう。

連載

THE Editorials
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The New England Journal of Medicine

Editorial:

Keaney JF Jr, Rosen CJ. VITAL signs for dietary supplementation to prevent cancer and heart disease. N Engl J Med 2019;380:91-3.

Article:

Manson JE, Cook NR, Lee IM, et al. Vitamin D supplements and prevention of cancer and cardiovascular disease. N Engl J Med 2019;380:33-44.

■ビタミンDの健康への影響

ビタミンDは小腸からのカルシウム吸収や,腎臓からのカルシウム再吸収を促進し,破骨細胞の活性化による骨塩動員作用をもっている。ビタミンDは骨粗鬆症の治療薬としても用いられている。そのほか,動物実験では,癌細胞の増殖抑制や正常細胞への分化誘導作用,免疫調節作用などをもつことが報告されている。血中ビタミンD濃度が低いと,発癌リスクが増加するという報告や,ビタミンD投与により癌による死亡率が低下するというメタ分析もある。こうした理由から,健康のためにとビタミンDをサプリメントとして服用している人も多い。

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こんにちは!ワイン安部です。

前回は“知っていそうで実は知らない”スペインワインの導入編として,歴史や産地についてご紹介しました。

今回は“実践編”として,代表的なブドウ品種です。

ワインバルでのオーダーや,ワインショップでスペインワインを選ぶ際に役立つ情報をたっぷりとお届けします。

前回ご紹介の産地名も出てきます。併せて覚えてくださいね!

クラシック音楽談義 ゆるりと音楽の話をしませんか 第3回

バッハとヘンデル 仲西 未佳
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クラシックの父と母!?

バッハとヘンデルはバロック時代の代表的な作曲家です。音楽の授業でバッハはクラシックの父,ヘンデルは母と習った人も多いのではないでしょうか。しかしこんな表現をするのは日本だけであり,当然ながらヘンデルは男性です。

 バッハは生誕地の中部ドイツから生涯ほとんど出たことがないのに対して,ヘンデルはドイツで生まれ,イタリア,英国と渡り歩いて,最終的には英国に帰化している国際人です。バッハには20人も子供がいた(半数は夭逝)のに対し,ヘンデルは生涯独身で子供はいませんでした。

Tomochen風独記

(54) ホモグラフト 山本 知裕
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心臓手術において日本と大きく違う点は,なんといっても献体から提供されたホモグラフトが手に入ることだと思います。

Medical Books 自薦・他薦

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基本情報

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LiSA
26巻7号 (2019年7月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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