LiSA 26巻4号 (2019年4月)

異職交流インタビュー

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一級建築士という資格を耳にしたことはある。しかしその仕事の真の姿は理解できていなかった。今回のインタビューで,どんな考えで,どんな手順で,病院などの大きな建築物を設計するのか,技術的なアプローチだけでなく,哲学的あるいは心象的な要素も重要であることを知った。また,建物は,部分でも全体でも,そして地域社会においても機能と美しさを備えることができることも知った。

 もう,どんな建物もぼんやりとは見られない。もしかして,自分の病院が残念な設計だったと知ることになるかもしれないが,建物の素晴らしさの一端を理解できるようになるかもしれない。ぜひご一読を。

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午後3時,翌日の症例の割り振りをみて患者カルテを開くと「CRT-D」と書いてある…。「CRT-D」って何? と思う麻酔科医もまだまだ多いと思われる。ペースメーカ・ICD装着患者の麻酔管理というだけで腰が引けてしまう人,ペースメーカモードの理解ができていない人,DDDやVVIの3つ目の「D」や「I」の説明がちゃんとできない人が,CRT-D装着心不全患者の麻酔管理を担当することになって,一晩で十分な準備(患者術前評価だけでなく麻酔科医としての勉強を含む)ができるだろうか? あなたが研修医であれば,たぶん,麻酔科指導医に頼るしかないと思うだろう。指導医であればその期待に応えられるだろうか? 今回,この架空症例をもとに誌上カンファレンスを行うことで,今後似たような症例に遭遇した際の麻酔計画を立てるうえでの一助になればと思う。できれば前日ではなく,もっと早くにその症例を把握しておきたいところだが…。

予告編
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次号の症例カンファレンスの提示症例を,一足先に紹介する。

自施設にこのような症例が来たら,どのような麻酔計画を立てるか,事前に考えておいてほしい。

次回,各施設のPLANをお楽しみに!

徹底分析シリーズ マスク換気から始める気道管理

巻頭言 上嶋 浩順
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マスク換気は,その重要性が軽視されがちである。意識消失患者に遭遇した際にまず優先されるのは,気道確保を含めたマスク換気ではなく,胸骨圧迫である。それでは,マスク換気は必要ないのであろうか?

 マスク換気は,気管挿管より低侵襲で,簡便な手技であり,最も重要な気道管理手技である。マスク換気が不適切であると換気が不十分になるだけでなく,胃に余計な空気が送り込まれるため,誤嚥や術後の悪心・嘔吐を誘発する可能性もある。したがって,全身に酸素を送り込むためのマスク換気を学び,極めることは,気道管理を極めることに等しいと言っても過言ではない。

 では,どうすればマスク換気を極められるのか? まず,気道管理に必要な気道解剖学を学び,そのうえで適切な手技を学ぶ。そして,小児や妊婦など,マスク換気に難渋する特殊な症例に対応するコツを学ぶ必要がある。

 麻酔科初期研修では,ビデオ喉頭鏡を用いた気管挿管に目が行きがちだったのではなかろうか。後期研修を始めるにあたり,本徹底分析で,マスク換気を自分の物にしてほしい。

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麻酔導入しマスク換気を行う。マスク換気が困難であれば「舌根沈下」と判断し,下顎挙上やエアウェイ挿入で対処する。日常的な光景であるが,漠然と「経験的」に行っていないだろうか。

 麻酔科医は気道管理のプロフェッショナルであり,経験的な対応だけではなく,マスク換気困難の原因となる上気道閉塞について正しく状況判断し適切に対処することが求められる。

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後期研修医になりたての時期は,気管挿管に憧れを抱く。しかし,この段階の彼らを指導する筆者のスタンスは「気管挿管は,できる人がやればいい,それまで酸素化を保つことができればいい」である。研修医がまず習得すべきは,マスク換気である。「適切」にマスク換気ができれば,少なくとも酸素化で困ることはない。「マスク換気マスター」への道こそ,患者を生かす道である。

 では,「適切な」マスク換気とはどういうものだろうか。

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マスク換気は全身麻酔導入時のみならず,外来や一般病棟での患者急変時にも必要な医療行為です。気道管理の専門家として,麻酔科医には非常に高い技術と気道管理時に使用する各種デバイスについての十分な知識が求められます。

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マスク換気に伴う合併症は,気道確保法としての不確実性から考えると理解しやすい。気道と食道を分離しない気道確保であるため,不適切なマスク換気は食道・胃への送気を生じさせ,結果として胃内容物逆流による誤嚥や胃膨満による換気障害が起こり得る。近年の心肺蘇生ガイドラインにおいて,気道確保は最優先事項ではなくなっている(コラム)が,胸骨圧迫を時間的に妨げないと思われるマスク換気でさえも,誤嚥や胃膨満のデメリットが強調され,熟練者が二人以上いる場合に推奨されている1)。しかし,マスク換気は全身麻酔導入時の基本手技であることに変わりはなく,麻酔科医はマスク換気を最も安全に行う熟練者でなくてはならない。

 本稿では,マスク換気に伴う合併症を整理し,デバイスをフェイスマスクに限定せず,エアウェイや声門上器具を含めて,合併症を予防するポイントについて解説する。

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気道は,気道を開通させる力と閉塞させる力のバランスにより成り立っているが,麻酔や鎮静といった状況下では気道を閉塞させる力のほうが強くなる1)。そのため,特に気管挿管による確実な気道確保がされる前の麻酔導入時の気道管理において最も重要なことは,マスク換気ができるのか,あるいはできているのか,である。これは,対象が小児でも成人でも変わりない。しかし,小児に慣れていない麻酔科医によるマスク換気では,患児のお腹が大きく膨れ上がりやすく,換気が不十分なためにしばしば低酸素血症に陥ってしまう。

 本稿では,小児のマスク換気をうまく行うための基本事項を整理する。

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妊婦は上気道閉塞の高リスク群である。鼻腔,口咽頭の変化が主な原因である。さらに不幸なことに,妊婦では換気をとりまく不利な状況が多い。そんな妊婦に対してどのような姿勢でマスク換気に臨めばよいのだろうか? 妊婦におけるマスク換気とその周辺を眺めてみたい。

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「先生,明日の症例は,104歳の大腿骨転子部骨折です!!」

 日本の人口動態において高齢者の割合が急激に増加している。高齢者の呼吸予備力は低く,麻酔導入による気道閉塞を早期に解除しなければ低酸素血症などの呼吸器合併症を引き起こす。しかし高齢者のマスク換気は,無歯顎などの加齢による解剖学的変化により困難になる。高齢者のマスク換気困難の原因とその対処方法を述べる。

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胃管挿入中の患者はマスクフィットが困難で,エアリークが起こり,換気をうまく行うことができない。そんなときに慌てず換気ができれば,一人前の麻酔科医になった気分になれる。

 本稿では胃管挿入中の患者のマスク換気をうまく行う方法について述べるのだが,残念ながら日常の臨床で胃管挿入中の患者にマスク換気を行う状況は,ほぼない。まず,その理由に触れよう。

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麻酔科研修にやってくる初期研修医の多くは口をそろえて「急変対応に備えるために,気管挿管などの手技を学びたい」と言う。そして,そのような考えにもとづいて研修する者のほとんどは,いかに気管挿管をうまく行うかに意識を向け,成功と失敗の間で一喜一憂している。その間,自分のマスク換気がどれほど上手にできていたか,もっと工夫すべき点はなかったか,にはあまり注意を払わず,マスク換気の到達目標はきわめて低いように思える。

 筆者は,麻酔科研修を始める初学者に伝えたい。「気管挿管は昔ほど必要とされていない。“最小の圧でマスク換気できる用手気道確保”こそが急変対応には重要で,次に声門上器具を覚えなさい」と。さらに付け加えるならば,これは教える側の麻酔科医もしっかり念頭に置くべき事実である。「挿管の基本はMacintosh型喉頭鏡」などという迷信を含め,挿管至上主義をほのめかすような間違った教育は,最新のエビデンス(コラム)にもとづきしっかりと軌道修正してほしい。

こどものことをもっと知ろう 第1回【新連載】

予防接種 上村 友二
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 このたび,LiSAで小児に関する連載を開始することになりました。

 「こどもはどうも苦手だ…」とか,「こどもは好きだが,母親への対応がちょっと…」という麻酔科医は多いように思います。われわれ麻酔科医は,小児病院勤務でなくてもこどもを診療する機会は多くあります。

 しかし,小児麻酔の知識はあっても,そもそもの小児の発達や病気に関しては母親と同レベルという人も多いのではないでしょうか?

例えば,こんな状況を想像してみてください。

3歳の男児。身長95cm,体重15kg。腹痛を主訴に救急外来を受診した。精査にて精巣捻転が疑われ,緊急手術を施行することになった。そのほかに身体所見はなく,胸部X線や血液検査は異常なかった。

担当のA先生(専攻医2年目)は,術前評価と麻酔計画を立てることになりました。

第15回 麻酔科学サマーセミナー 世話人日記

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第15回麻酔科学サマーセミナー(http://www.masui-seminars.org/)は2018年6月29日(金)〜7月1日(日)に沖縄県名護市の万国津梁館で開催された。麻酔科学サマーセミナーは2004年の第1回以来,毎年沖縄において定期開催されており,多数の麻酔科医,集中治療医,臨床工学技士などが参集して盛会を極めている。若手のエキスパートを講師として招聘し,聴衆とのシームレスでホットなディスカッションを繰り広げている。時宜を得たテーマについて最新の知見が得られ,まさに「日本の麻酔科学の今」をリアルタイムで実感できる貴重な機会である。夏の沖縄という開放的な環境がオープンなディスカッションを育み,大きな学会では得られない一体感に包まれて参加者間には施設横断的な親交を生み出し,参加者の満足度も高い。

 そんなサマーセミナーの裏側を世話人日記からほんの少し?だけ紹介する。

diary

青森県弘前市 髙橋 敏
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日本麻酔科学会が1954年に設立されてから65年が経ちます。その間,麻酔科医の活躍の場は手術室内のみならず,さまざまな場所に広がり,専門性も多岐におよび,さらには病院の管理者や経営者になられた方もたくさんおられます。このことは,「麻酔科のdiversity」ということのエビデンスの一つだと考えています。かく言う私も麻酔科の臨床にどっぷりとつかりながら,地方の民間病院の理事長を務めております。

 当院は,1989年に開設された整形外科専門病院です。2018年5月に14年間一緒に働いてきた麻酔科医が退職した後は,私一人と弘前大学医学部麻酔科からの応援医師で乗り切ってきましたが,この春からは常勤麻酔科医2人態勢に戻りました。麻酔に対する私のモットーは「術前から術後まで」ですので,術前のコンサルテーションからすべての患者に対する術前診察と術後診察,さらには術後の管理・治療に積極的にかかわってきました。また,2003年に大学の医局を離れるまで睡眠の研究をしてきたこともあり,睡眠時無呼吸患者を紹介される機会が多く,現在は外来で70人程度の患者を受けもっています。さらに2017年4月には,当法人の理事長に就任しました。理事長選任理由は,病院全体を見ることができるため,公平かつ客観的な視点で病院経営を任せられるのを期待されてのものでした。あくまでも期待ですので,実際できているかどうかは定かではありませんが,これらは麻酔科医ならではの特徴だと思われます。麻酔科医はよく「縁の下の力持ち」と言われてきましたが,今は「扇の要」だと考えています。麻酔科医としての日常業務に入る前に,理事長として毎朝,事務方との打ち合わせや全病棟を回っての患者動向のチェック,各部門からの報告を受けたりしております。

連載

THE Editorials
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The New England Journal of Medicine

Editorial:

Bleck TP. Dopamine antagonists in ICU delirium. N Engl J Med 2018;379:2569-70.

Article:

Girard TD, Exline MC, Carson SS, et al. Haloperidol and ziprasidone for treatment of delirium in critical illness. N Engl J Med 2018;379:2506-16.

■ICUにおけるせん妄には未解決の問題が多い

米国でICUの当直をしていた頃,夜中に眠れない理由は,心筋虚血,低血圧などの循環系の不安定,酸素化の悪化や人工呼吸からの離脱(離脱は夜中に行い,翌日の集中治療室入室に備え,朝には抜管できていることがポイント),そしてせん妄の治療であった。せん妄の最も典型的な治療はハロペリドールの投与であった。

 ICUにおけるせん妄の頻度は30〜65%と高く,人工呼吸患者では40〜80%と報告されている。診断されていないせん妄もあることを考えると,頻度はさらに高い可能性がある。せん妄の診断基準はDSM-5によれば,注意力の障害,環境や周囲の認知ができない見当識障害,数時間から数日という短期間のうちに出現し,日内変動や時間変動を伴うこと,薬物中毒や他の中枢神経系疾患が除外されることなどである。せん妄は,幻想や妄想,不穏などを伴う活発(過活動)型,傾眠傾向で,注意や集中力を欠く不活発(低活動)型,そして混合型に分類されている。せん妄の治療にはハロペリドールが伝統的に用いられ,その他の抗精神病薬も用いられるが,その有効性については定まっていない。

Enjoy! ワイン

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こんにちは。ワイン安部です。

1月に南仏モンペリエで行われた展示会『Millésime Bio』を訪問してきました。

今月は,ワインのみならず,渡仏の様子をご紹介します。

ぜひ旅行に行った気分でお楽しみください。

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スウェーデンのVäxjö市立中央病院での様子を引き続き紹介します。まずは日帰り手術の運営についてです。

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基本情報

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LiSA
26巻4号 (2019年4月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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