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The New England Journal of Medicine
Editorial:
Bleck TP. Dopamine antagonists in ICU delirium. N Engl J Med 2018;379:2569-70.
Article:
Girard TD, Exline MC, Carson SS, et al. Haloperidol and ziprasidone for treatment of delirium in critical illness. N Engl J Med 2018;379:2506-16.
■ICUにおけるせん妄には未解決の問題が多い
米国でICUの当直をしていた頃,夜中に眠れない理由は,心筋虚血,低血圧などの循環系の不安定,酸素化の悪化や人工呼吸からの離脱(離脱は夜中に行い,翌日の集中治療室入室に備え,朝には抜管できていることがポイント),そしてせん妄の治療であった。せん妄の最も典型的な治療はハロペリドールの投与であった。
ICUにおけるせん妄の頻度は30〜65%と高く,人工呼吸患者では40〜80%と報告されている。診断されていないせん妄もあることを考えると,頻度はさらに高い可能性がある。せん妄の診断基準はDSM-5によれば,注意力の障害,環境や周囲の認知ができない見当識障害,数時間から数日という短期間のうちに出現し,日内変動や時間変動を伴うこと,薬物中毒や他の中枢神経系疾患が除外されることなどである。せん妄は,幻想や妄想,不穏などを伴う活発(過活動)型,傾眠傾向で,注意や集中力を欠く不活発(低活動)型,そして混合型に分類されている。せん妄の治療にはハロペリドールが伝統的に用いられ,その他の抗精神病薬も用いられるが,その有効性については定まっていない。
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