徹底分析シリーズ マスク換気から始める気道管理
マスク換気の合併症—決して簡単な手技ではない
孫 慶淑
1
,
北村 祐司
1,2
Kyongsuk SON
1
,
Yuji KITAMURA
1,2
1千葉大学医学部附属病院 麻酔・疼痛・緩和医療科
2松戸市立総合医療センター 麻酔科
pp.352-355
発行日 2019年4月1日
Published Date 2019/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201355
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
マスク換気に伴う合併症は,気道確保法としての不確実性から考えると理解しやすい。気道と食道を分離しない気道確保であるため,不適切なマスク換気は食道・胃への送気を生じさせ,結果として胃内容物逆流による誤嚥や胃膨満による換気障害が起こり得る。近年の心肺蘇生ガイドラインにおいて,気道確保は最優先事項ではなくなっている(コラム)が,胸骨圧迫を時間的に妨げないと思われるマスク換気でさえも,誤嚥や胃膨満のデメリットが強調され,熟練者が二人以上いる場合に推奨されている1)。しかし,マスク換気は全身麻酔導入時の基本手技であることに変わりはなく,麻酔科医はマスク換気を最も安全に行う熟練者でなくてはならない。
本稿では,マスク換気に伴う合併症を整理し,デバイスをフェイスマスクに限定せず,エアウェイや声門上器具を含めて,合併症を予防するポイントについて解説する。
Copyright © 2019, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.