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日本麻酔科学会が1954年に設立されてから65年が経ちます。その間,麻酔科医の活躍の場は手術室内のみならず,さまざまな場所に広がり,専門性も多岐におよび,さらには病院の管理者や経営者になられた方もたくさんおられます。このことは,「麻酔科のdiversity」ということのエビデンスの一つだと考えています。かく言う私も麻酔科の臨床にどっぷりとつかりながら,地方の民間病院の理事長を務めております。
当院は,1989年に開設された整形外科専門病院です。2018年5月に14年間一緒に働いてきた麻酔科医が退職した後は,私一人と弘前大学医学部麻酔科からの応援医師で乗り切ってきましたが,この春からは常勤麻酔科医2人態勢に戻りました。麻酔に対する私のモットーは「術前から術後まで」ですので,術前のコンサルテーションからすべての患者に対する術前診察と術後診察,さらには術後の管理・治療に積極的にかかわってきました。また,2003年に大学の医局を離れるまで睡眠の研究をしてきたこともあり,睡眠時無呼吸患者を紹介される機会が多く,現在は外来で70人程度の患者を受けもっています。さらに2017年4月には,当法人の理事長に就任しました。理事長選任理由は,病院全体を見ることができるため,公平かつ客観的な視点で病院経営を任せられるのを期待されてのものでした。あくまでも期待ですので,実際できているかどうかは定かではありませんが,これらは麻酔科医ならではの特徴だと思われます。麻酔科医はよく「縁の下の力持ち」と言われてきましたが,今は「扇の要」だと考えています。麻酔科医としての日常業務に入る前に,理事長として毎朝,事務方との打ち合わせや全病棟を回っての患者動向のチェック,各部門からの報告を受けたりしております。
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