徹底分析シリーズ マスク換気から始める気道管理
救急患者のマスク換気—挿管至上主義はもうやめよう
鈴木 昭広
1
Akihiro SUZUKI
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.370-373
発行日 2019年4月1日
Published Date 2019/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201360
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麻酔科研修にやってくる初期研修医の多くは口をそろえて「急変対応に備えるために,気管挿管などの手技を学びたい」と言う。そして,そのような考えにもとづいて研修する者のほとんどは,いかに気管挿管をうまく行うかに意識を向け,成功と失敗の間で一喜一憂している。その間,自分のマスク換気がどれほど上手にできていたか,もっと工夫すべき点はなかったか,にはあまり注意を払わず,マスク換気の到達目標はきわめて低いように思える。
筆者は,麻酔科研修を始める初学者に伝えたい。「気管挿管は昔ほど必要とされていない。“最小の圧でマスク換気できる用手気道確保”こそが急変対応には重要で,次に声門上器具を覚えなさい」と。さらに付け加えるならば,これは教える側の麻酔科医もしっかり念頭に置くべき事実である。「挿管の基本はMacintosh型喉頭鏡」などという迷信を含め,挿管至上主義をほのめかすような間違った教育は,最新のエビデンス(コラム)にもとづきしっかりと軌道修正してほしい。
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