LiSA 26巻3号 (2019年3月)

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悪性高熱は麻酔薬が原因となる重篤な疾患である。われわれの医療行為が直接の病因であるため,麻酔科医の間では特別な疾患として認識されている。まれな疾患にもかかわらず,すべての全身麻酔予定患者にリスクが説明され,家族歴などを確認している。一方,プロポフォールアレルギーも投薬によって引き起こされる合併症であり,患者のアレルギー歴などを詳細にチェックしている読者も多いのではないか。

 今回の症例は「悪性高熱(悪性症候群の既往)」と「プロポフォールアレルギー」のリスクが指摘され,さらに脳性麻痺がある患者である。ただし手術は「う歯治療」であり,きわめて重要な処置ではあるが,患者生命をおびやかすような状況になるのは避けたい。いつもはわれわれの心強い味方である吸入麻酔薬とプロポフォールを敵にまわすことになりかねない状況である。今回は,アレルギー,歯科麻酔,障害者麻酔のスペシャリストにPLANを立てていただいた。ぜひとも参考にしていただきたい。

予告編
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次号の症例カンファレンスの提示症例を,一足先に紹介する。

自施設にこの症例が来たら,どのような麻酔計画を立てるか,事前に考えてほしい。

次回,各施設のPLANをお楽しみに!

徹底分析シリーズ 術後ケア再考:PACUと麻酔科医の役割

巻頭言 仙頭 佳起
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LiSAが創刊以来の「麻酔を核とした総合誌」から「周術期管理を核とした総合誌」に進化したのが2018年(Vol.25 No.1)。麻酔科医に求められる役割が拡張していくなかで,術前と術中の管理はかなり充実してきたのを実感しますが,さて,術後はいかがでしょうか。

 本徹底分析では,手術を受けた患者に対する術後ケアの体制と,そこへの麻酔科医のかかわり方を見直したいと思います。特に,ICUで手厚い術後集中治療を受ける一部の患者以外の,つまり,術後は一般病棟に戻るその他大勢の患者の術後ケアについてです。

 日本でも,PACU(postanesthesia care unit)の活用が注目されています。麻酔科医が看護師など他職種と協働して,術後患者の全身状態への継続的な監視と遅滞のない介入によって,全身状態を確実に安定させ,良好な術後経過のコースに乗せてから患者を一般病棟へ移すことがPACUの目的です。

 麻酔科医として理想的な周術期管理をイメージしたときにどこか気にかかっていた,「なかなかそこまで手が回らない」という部分に向き合うきっかけとなれば嬉しく思います。

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麻酔科医が監視の目を光らせ呼吸や循環などが厳密にモニタリングされていた術中と比べ,麻酔からの覚醒後,患者が病棟に戻るまでの間は“警備体制”が手薄になりがちである。また,術後は悪心や痛みなど,患者自身の訴えに適切に対処する必要が出てくる。術前,術中の患者の状態を最もよく把握している麻酔科医が術直後の患者の安全性や満足度向上に貢献すべきなのはいうまでもない。しかし,これを麻酔科医のみで達成することは困難である。他職種と連携し,いかに術後管理の質を上げるか。麻酔後ケアユニットpostanesthesia care unit(PACU)は,これを解決する糸口の一つとなり得る。

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効率化が加速する急性期医療のなかで,われわれ麻酔科医が受けているプレッシャーは甚大だ。先達の尽力と医療の進歩のおかげで,大概の麻酔がなにごともなく終わっていくなかでの失敗は許されない。増え続ける手術の一つ一つに集中力を極限まで高めて臨むとしても,そこに掘られた落とし穴を回避できる保証はない。

 麻酔科医の役割は周術期管理(術前,術中,術後,社会復帰)へと拡張した。重症患者の派手な術後集中治療はさておき,その他大勢の術後ケアにわれわれはどうかかわれているだろうか。そもそも麻酔科医は術直後の数多の問題ときちんと向き合えているのだろうか。

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麻酔後ケアユニットpostanesthesia care unit(PACU)の目的は,手術終了時から即座に術後ケアを開始することにより,術後合併症や術後の不快症状を緩和し,患者QOLを向上させることにある1)。名古屋市立大学病院(以下,当院)では,術後管理を重視し,3年前にリカバリールーム(回復室)からPACUへと運営を再編した。

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2002年から2016年11月まで,東京女子医科大学病院(以下,当院)の中央手術室に麻酔後ケアユニットpostanesthesia care unit(PACU)は存在した。しかし現在はない。PACUが存在していた時と廃止された現在について状況を比較して,PACUの意義について検討する。

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香川大学医学部附属病院PACU導入にむけて

2016年1月,国立大学附属病院再開発整備を機に,香川大学医学部附属病院(以下,当院)の手術室が10室から12室に増室することが決定した。これによって手術件数の増加が見込まれ,どのようにして周術期管理の質を担保するかが課題であった。そこで,手術室フロア中央スペースに麻酔後ケアユニットpostanesthesia care unit(PACU)を造設し,手術直後の患者を集約して急変リスクの高い時期の管理をすることで,患者安全性の向上および手術室の効率的運用を図る計画を立案した。

 この計画を実現させるためには,限られた敷地面積内に手術室数を多く確保するべく「必要でない」フロアや設備を極力省きたいと考えている病院経営陣にPACUの有用性を理解させる必要があった。そのため,安全性のみならず手術室の効率的運用にも寄与することを示さねばならなった。PACUの導入で手術室の回転効率が上るという明確なエビデンスがなかったため,手術患者の入れ換え時間をシミュレーションして提示した。また,術後だけでなく術前患者の処置も行える麻酔準備室“pre”anesthesia care unitの機能を備えたユニット(図1)として計画することで,手術室の回転効率向上が現実的であると病院経営陣を説得でき,新手術室フロア内にPACU(および麻酔準備室)を確保することが認可された。

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香川大学医学部附属病院手術部看護師の現状

香川大学医学部附属病院(以下,当院)の手術室看護師48名のうち,約半数の20名が看護師経験年数5年以内である。また,約6割の30名に病棟勤務経験がない。つまり,患者の全身状態を一人で観察しアセスメントして報告する,そのうえで必要な処置を行う,という病棟での一連のワークフローに熟練した看護師が少ない。

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日本の小児病院で麻酔後ケアユニットpostanesthesia care unit(PACU)を運用している施設は少ない。筆者らは術後の患者をPACUに収容し,覚醒して状態が安定してから病棟に戻るという運用を2017年7月から開始した。これまでは病棟で対応していた覚醒時興奮,術後痛,シバリングといった術後早期の有害事象はPACUで迅速に対応できるようになり,患児が快適に過ごせるようになった。

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顔面の右半分が真っ赤な患者が手術室から現れた。

 64歳の女性。左乳がんに対し乳房切除を受けたばかり。術前に,病側T3の傍脊椎ブロックを行っている。今,何が起こっているのかわからないが,患者は意識清明,バイタルサインは安定しており取りあえず大丈夫そうだ。

 はて,彼女をどこに転送すべきか?

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●Summary

薬物中毒疑いで救急搬送されてきた患者に対して,気管挿管後,集中治療室にて人工呼吸療法が開始された。高度治療室に移されて5日後に抜管されたが,患者はその直後に気道閉塞に陥った。マスク換気および再挿管が成功せずに心停止となり,緊急気管切開が施行されたが,結果的に低酸素脳症により患者には重篤な障害が残った。裁判官は,安全な抜管を行うための事前準備を怠ったとして,医師の善管注意義務(メモ1)違反を認めた。

連載

THE Editorials
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The New England Journal of Medicine

Editorial:

Barkun A, Bardou M. Proton-pump inhibitor prophylaxis in the ICU-benefits worth the risks? N Engl J Med 2018;379:2263-4.

Article:

Krag M, Marker S, Perner A, et al. Pantoprazole in patients at risk for gastrointestinal bleeding in the ICU. N Engl J Med 2018;379:2199-208.

■集中治療患者におけるストレス潰瘍

集中治療患者に生じるストレス潰瘍や消化管出血などのストレス関連粘膜障害は,内視鏡による診断によれば3日以上の集中治療室(ICU)入室で90%以上にもなると報告されている。ストレス潰瘍による臨床的に重大な消化管出血は3〜6%に起こると報告されている。ストレス潰瘍の予防には,経腸栄養,スクラルファートなどの胃粘膜保護薬,ヒスタミンH2拮抗薬やプロトンポンプ阻害薬(PPI)が用いられている。

 PPIは胃酸分泌を抑制するので潰瘍の治療に用いられており,ストレス潰瘍や消化管出血のリスクがあるICU患者に,ストレス潰瘍の予防目的でもしばしば使用されている。しかし,人工呼吸患者にPPIを投与してもストレス潰瘍の予防効果はなく,院内肺炎やClostridium difficile感染の発症率が上昇したり,心筋虚血発症率が上昇したという報告もある。米国食品医薬品局(FDA)は,PPIをストレス潰瘍の予防薬としては認可していない。

AYBのresidencyブログ

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12月23日(日)

あと1週間で2018年が終わる…。

区域麻酔分野においてルアーシリンジが使えるのも,あと1年ちょっとです。

diary

熊本県熊本市 岩村 一輝
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当院では心臓麻酔,小児麻酔,移植手術の麻酔など,幅広い症例を経験できます。私は麻酔科に入局してまだ9か月ということもあり,“得意分野”などはなく,日々,目の前の症例に悪戦苦闘しながら麻酔を学んでおります。まだまだ麻酔科医として駆け出しの身なので,若さと元気だけが頼りです。NGミスをすることもあり,そのたびに上級医から熱い御指導があります。夜遅くまで緊急手術が続いたり,明日の麻酔準備を独り黙々としたりしていると,ときおり心折れそうになりますが,麻酔科を選んだことを後悔する気持ちはみじんもなく,むしろ麻酔の奥深さに魅せられて,嬉々として,毎日手術室を駆け回っています。

Tomochen風独記

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スウェーデンの病院紹介の続きです。スウェーデンにも「麻酔看護師」という職種があり,麻酔導入薬の投与や気道確保,術中の麻酔管理まで任されていることは,前回,簡単に紹介したので,今回は手術室での様子について紹介します。

Enjoy! ワイン

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こんにちは!ワイン安部です。

みなさんは,ワインを飲むのは外と家のどちらが多いですか?外で飲むワインはやっぱり美味しいですよね。

今回は家でも美味しく飲むための必須アイテム,ワイングラスについてです。

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基本情報

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LiSA
26巻3号 (2019年3月)
電子版ISSN:1883-5511 印刷版ISSN:1340-8836 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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