看護管理 6巻6号 (1996年6月)

特集 看護診断導入により変わったこと

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はじめに

 看護実践において,看護婦は人々が看護の支援を必要としているかどうか(看護の対象となるか),あるいはどのような支援を必要としているかを調べ,その結論を表現している.

 本稿では,そのような看護支援の結論の導き方あるいは表現をどのように考えるかについて,筆者の実践および教育(基礎教育および卒後教育を含む)での経験をもとに論考し,看護支援の焦点についての参考に供したい.

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はじめに

 臨床の現場においては,日々複雑化していく医療状況にあって,ますます質の高い,かつ効率のよいケア提供の実現が期待されている.管理に携わる者として,実践の場が効果的に機能するよう整備する役割は大であり欠かせない.ここ何年か看護診断を導入する施設が増加しているのも,適切なケア提供を行なうための一方策と理解する.

 今回,私に与えられたテーマは「看護診断導入により変わったこと」であり,看護の管理に従事している立場で述べることである.

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はじめに

 当院における看護診断の導入は,東京厚生年金看護専門学校が,1990(平成2)年のカリキュラム改正に伴い看護診断を取り入れたことが大きな動機づけとなった.また,ちょうどその当時,看護部においても質の高い看護を提供するための業務改善の一環として,勤務体制の見直し,看護方式の変更,引き継ぎ時間の短縮等を行なっていた.

 看護診断導入のための準備段階では,1990(平成2)年より看護学校主催の臨床指導研究会において,まず,学習会を行なうことから始めた.各指導者が学習会での学びを病棟に持ち帰り,できるかどうかの議論を重ねた.一方,1991(平成3)年からは,厚生年金事業振興団本部による研修会や院内継続教育においても,看護診断が取り入れられた.

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はじめに

 看護過程に看護診断を導入して4年になる.

 当看護部の看護診断の導入の動機は,次の2点があげられる.

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はじめに

 筆者は,最近ある調査研究の一環として,看護診断が導入されているいくつかの施設の看護記録を数多く見る機会を得た.予想を上回って,看護記録の患者の健康問題に相当する部分には,北米看護診断協会(以下,NANDA)の診断ラベルやカルペニートの説く共同問題が着実に用いられていた.さらに,アセスメント・プロセスが豊富に,しかも高い質で書かれている記録にも出くわした.

 一方,「明らかにこれはおかしい……」と推測できる記録も見られた.これらの多くは診断ラベルを導き出すに至る根拠に相当するアセスメント部分の欠如や不足,そして診断ラベル自体の表現の間違いやその妥当性が問われるようなものであった.

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はじめに

 現在わが国の看護界では,「看護診断ブーム」ともいうような現象が起こっている.看護診断研究会をはじめ,昨年からの第1回看護診断学会では,全国から3000人を越す参加者が集まり,今年6月開催の第2回看護診断学会ではそれを大幅に上回る参加者数が見込まれている.このような多くの看護婦の熱い視線と期待を担っている「看護診断」は臨床現場の中で,これからいったい何を原動力にし,どのように成長していくのだろうか.

 この報告は,すでに看護診断を導入している病院における看護診断に関する実態を,管理的な視点で明らかにすることを目的として行なった調査に基づいている.

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はじめに

 看護の視点は,いつでも対象となる患者の利益から出発する.そこで看護診断の是非も,その方向性も,「患者にとってそれは……」の視点を忘れずに堅持したい.これは診断に限ったことではない.そのことが,看護レベルの質の向上にとって,また看護婦の仕事へのモチベーションや労働条件にとって,どのような影響をもたらすかを見抜くためには,新しい理論や体制の導入のたびに,自分の頭で理解できるまで学習する必要がある.また,そのことが現在のわが国の看護の風土になじむかどうかを合わせて検討する必要がある.

 したがって,上記の「患者にとって……」と並行して,「看護婦にとってそれは……」の2つの評価尺度をいつも忘れずにもっていれば,視野狭窄には決してならないことを,筆者自身の体験から導き出し実行してきた.また,難解で理解しにくいことは,言葉で理解しようとせず,いったん現場サイドにおろして,それは具体的にはどのようなことなのかを考えることに努めてきた.

特別記事 インタビュー

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 診療報酬改定内容が発表された.前回の1994年4月および10月の改定で,看護関係は大幅な動きがあった.今回の改定でも,「新看護体系に基づく看護料の引き上げ」「夜間勤務等加算の実態に則した改定」「訪問看護関係料金の引き上げ」「精神科急性期治療病棟入院料の新設」など,看護関連の改定はさまざまある.また,看護部門も含めて今回の改定内容をみると,今後のわが国の医療行政の方向性がより鮮明となったことがうかがわれる.各施設をはじめ看護部門がこうした方向を,どのように判断し,見直しを図るのかが重要となってきている.

 今回の改定の看護関連のポイントを,厚生省保険局医療課課長補佐の野村陽子氏にお聞きした.

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はじめに

 職務満足度の低下は,離職・異動につながることが示唆されている.離職や異動に踏み切らないまでも,不満をかかえたまま仕事を継続することは,本人にとっても職場にとっても好ましいものではない.

 職務満足度はいろいろな要因の影響を受けることが報告されており1-4),配置替えもその要因としてあげられている5)

連載 かれんと

車中の憂鬱 古茂田 宏
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 最近,どうにも我慢できないことがあれこれと起こる.いちいち数えていくとキリがないし,なんだか自分が時代遅れの老人になった気がして憂鬱なのだが,1つだけあげると,あの携帯電話である.

 もちろん,たとえば看護婦が急患に備えて職業上持たざるを得ないというような事情もあるだろうから──それはそれで気の毒な話であるが──その存在自体が有罪だと一概には言えない.しかし,とにかく満員電車などの中で,「モシモーシ」だの「ちょっと聞こえにくいんだよなー,もっと大声でしゃべってよ」などとやられると,みるみる血圧が5ポイントほど上がってしまうのである.カシャカシャカシャカシャ……とうるさいヘッドホンオーディオにも腹が立つし,思い切り両足を広げて狸寝入りをしているシルバーシートの若い男にも腹が立つという次第で,電車の中は血圧上昇の要因でいっぱいなのだが,ほかはさておいても,携帯電話は不快である.

連載 看護経済学―看護サービスの経済評価・6

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 この連載は,看護サービスの経済評価を追及する目的で,前回までは米国でのさまざまな医療サービス提供形態およびその料金体系の具体例,看護管理者としての予算管理等を紹介しながら,日本での状況と比較検討してきた.今回は,看護経済の中でもクリティカルな論点である「看護の生産性」について考察する.

連載 人間として,医療人として―東海大「安楽死」事件はわれわれに何を教えたか・5

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チーム医療が成立していたのだろうか

 大学病院は,特定機能病院として,常に高度な診療を支えうるスタッフと設備をもつ,水準の高い治療体制を整えた病院でなければならない.と同時に,大学病院は高度な診療の実施,研究と並行して,これから育っていく医師の研究,研修の場でもある.育成途上の若い医師たちは,言葉を換えれば経験の浅い未熟な医師たちである.そのような若い医師たちを患者の主治医として,診療の最前線に配置するからには,バックに控えた教授以下の高度な識見と経験豊かなチームが,それを支え,常に総合的なチェックを欠かさず,組織的な連携プレーが機能することが不可欠である.すなわち,大学病院は,組織だったチーム医療の場でなければならない.

 当時の東海大学病院院長は,同大学病院のチーム医療体制について,検察官に対し,「たとえば内科と外科というように,各診療科により特質があるので,病院全体として統一されたシステムはないが,内科系は概ね以下のシステムを採っている」として,次のチャートを図示して提出した.そして「当病院では複数の医師が1名の患者の主治医となるシステムを採っています.

基本情報

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看護管理
6巻6号 (1996年6月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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