特集 看護診断導入により変わったこと
患者の全体像を捉える目と臨床判断能力のトレーニングを
川島 みどり
1
1健和会臨床看護学研究所
pp.407-411
発行日 1996年6月10日
Published Date 1996/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686900501
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はじめに
看護の視点は,いつでも対象となる患者の利益から出発する.そこで看護診断の是非も,その方向性も,「患者にとってそれは……」の視点を忘れずに堅持したい.これは診断に限ったことではない.そのことが,看護レベルの質の向上にとって,また看護婦の仕事へのモチベーションや労働条件にとって,どのような影響をもたらすかを見抜くためには,新しい理論や体制の導入のたびに,自分の頭で理解できるまで学習する必要がある.また,そのことが現在のわが国の看護の風土になじむかどうかを合わせて検討する必要がある.
したがって,上記の「患者にとって……」と並行して,「看護婦にとってそれは……」の2つの評価尺度をいつも忘れずにもっていれば,視野狭窄には決してならないことを,筆者自身の体験から導き出し実行してきた.また,難解で理解しにくいことは,言葉で理解しようとせず,いったん現場サイドにおろして,それは具体的にはどのようなことなのかを考えることに努めてきた.
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