看護管理 27巻5号 (2017年5月)

特集 倫理的な組織文化を築く 意思決定支援の質向上に向けて

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「臨床倫理」への組織的取り組みの必要性を感じているものの,まだ包括的な取り組みには至っていない施設が多いのではないでしょうか。

医療の高度化,患者の高齢化や価値観の多様化などに伴い,患者への意思決定支援が特に重視されるようになりました。また,病院機能評価において臨床倫理に関する調査項目が設けられていることなどもあり,臨床倫理委員会および臨床倫理コンサルテーションチームの設置や,定期的な臨床倫理カンファレンスの開催は,必須のものとなってきました。

こうした現状を踏まえて本特集では,臨床倫理にまつわる諸課題に組織を挙げて取り組むために看護管理者が大切にしたい考え方と,先進的事例を紹介します。

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石垣靖子氏と清水哲郎氏は,「患者と家族にとってできる限り良好なクオリティ・オブ・ライフの実現」を目指し,30年にわたって看護学と哲学・臨床倫理学の視座から協働を続け,多くの示唆を臨床現場にもたらしてきた。

本座談会では,これまでの協働による実践や研究の成果を振り返っていただくとともに,倫理課題に組織を挙げて取り組むための考え方を,看護管理者に向けてご提示いただいた。

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本稿では,患者自身の価値観や考え方を尊重しつつ,質の高い意思決定プロセスを進めていくための構造的な手段の1つである「倫理コンサルテーション」や,その活用方法を示した厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」について解説するとともに,同ガイドラインに準拠しながら倫理コンサルテーションを実践している東京医療センターの「倫理サポートチーム」の活動について紹介する。

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病院機能評価では,倫理的課題への誠実な取り組みが評価対象となっており,看護管理者にも倫理的視点の強化が期待される。本稿では,病院機能評価のサーベイヤーとしての経験を踏まえ,臨床倫理に関して多くの病院の共通課題を提示する。さらに,課題解決に向けて組織マネジメントや人材育成にどのように取り組んでいくべきかを具体的に示す。

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金沢大学附属病院看護部では,約10年前から,臨床倫理事例への取り組みを組織を挙げて進めてきた。倫理事例を検討する学習の場や各職場の倫理的な取り組みを共有する場の創出を通じて,倫理課題に対する職員全体の意識を高めてきた。また,倫理カンファレンスの日常化,臨床倫理担当の副看護部長の配置などを通じて,全ての患者に倫理的に向き合うための組織体制を構築してきた。

本稿では取り組みを牽引してきた看護部長の立場からこれまでの取り組みを振り返るとともに,臨床倫理担当副看護部長の活動の実際を紹介する。

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関西臨床倫理研究会は,病院の看護管理者が連携し,倫理課題への組織的取り組みや,倫理事例の検討を促進するための協働学習の場であり,地域全体の看護の質を高めるためのプラットフォームである。発足から8年目を迎え,28施設から約700名の会員が参加している。

本稿では研究会会長の立場から活動の概略および成果と展望を提示するとともに,本稿に続く関連コラムでは研究会運営に携わる3施設の看護管理者から研究会での学びを自施設に活かす取り組みを紹介する。

巻頭 大学院で学ぶ看護管理学 現場の実践から新たな「知」を生むために ・5

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大学院および研究室の特徴や魅力について,教員からご紹介いただきます。

復興を願う人々の祈りと期待に支えられ

 神戸市看護大学(以下,本学)は,1995年の阪神淡路大震災の翌年に,震災からの復興を願う人々の祈りと期待に支えられて誕生した看護学単科の大学です。

 本学大学院は,開学4年後の2000年に修士(博士前期)課程を,2006年に博士後期課程を開設しました。看護管理学分野は,初代学長・教授の故・中西睦子先生の下でスタートし,2002年からは林がこれを引き継ぎ,今年で17年目を迎えました。この間の修了生は,博士前期課程28名,後期課程2名の,延べ30名に上っています。

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臨床において患者中心の医療・看護や意思決定を進める上で,倫理的判断が求められる場合は少なくない。そうした中,倫理的課題を解決に導くための方法論として,今,「ナラティヴ」が再び脚光を浴びている。本稿では,臨床現場でのナラティヴ実践の3つの系統や,医療倫理の方法論としてのナラティヴの活用について,筆者が実践しているシートを用いた倫理検討会の進め方も含めて解説する。

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クリニカル・ナース・リーダー(CNL)とは,2007年から米国で認証が始まった新たな高度実践看護の役割である。専門看護師やリスクマネジャー,スタッフナースなどと協働し,病棟単位のケアプロセスとシステムの質を高める課題解決型のスペシャリストである。

日本赤十字社では,CNLを育成し全国の赤十字病院に導入することを目指し,2015年度から国内での指導者育成研修を継続的に実施している。本稿では医療事業推進本部および研修に参加した赤十字病院の看護師の立場から,この研修の成果と課題,今後の展望について述べる。

連載 キャリア形成に悩むあなたのためのリレーエッセイ わたしの師長時代・1【新連載】

考えを伝える立場 近藤 美知子
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キャリアの転機

 臨床経験10年を迎える1988年ごろに,なりたい自分は何か考える機会があった。もともと臨床指導者経験が長かったため看護教育関連の研修か,あるいは外科病棟経験があるので急性期の重症ケアに精通していくための研修を受講するのか,二者択一で選択する必要性に迫られていた。最終的には,臨床看護実践が好きだったのでエキスパートナースになろうと決意し,当時の神奈川県立看護教育大学校ICU・CCU看護課程研修を受講することになった。

 そのおよそ2年後に,外科病棟の看護師長が大腸腫瘍の手術のため入院したことが,私が看護師長になったきっかけである。当初は看護師長代行業務を遂行しながら,看護師長の周術期看護と退院後の在宅支援を並行して行っていた。半年後には必要に迫られて看護師長に昇任し,当時の神奈川県立看護教育大学校看護管理課程B研修(看護管理研修)を急きょ受講しながら,引き続き元上司の終末期看護にあたるという,めったにない経験が私の看護管理人生のスタートである。

連載 ファシリテーターのための看護リフレクション 経験から学べる看護師を育てる・2

専門職とリフレクション 東 めぐみ
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 この連載は主にリフレクションをファシリテートする指導者・教育者を対象としています。リフレクションはここ数年,言葉や方法も浸透し,その重要性が確認されています。

 一方,リフレクションは単なる実践の振り返りやツールとして語られることもあり,振り返りの方法は依然,確かでない現実もあるように思われます。

 本連載では,リフレクティブな実践家像を明確に述べることにより,行為の中のリフレクション(reflection-in-action)と行為についてのリフレクション(reflection-on-action)を明確にし,実践から学ぶことができる看護師の育成の手助けとなる役割を果たしたいと考えています。

 そのため,看護実践の経験から学ぶ構造を解説し,それを看護師と共有し「看護経験から学ぶ力をつける」ことをファシリテートする手立てを描きたいと思います。

 また,多くの看護実践家にとって,自分の実践をリフレクションできるようになる(セルフリフレクション)ことで後輩への教育的なかかわりの一助になることを期待しています。

 第2回は看護専門職が,実務経験を通して学ぶことについて考えたいと思います。

連載 やすらぎとひらめきの場づくり マインドフルネスとファシリテーション・10

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 3日前,屋久島に来た日は晴れていたが寒かった。おとといは1日中雨だった。昨日は晴れてとても気持ちのよい日になった。だが夜半から風が激しくなり,ゴオゴオと嵐のような夜が明けた。草木が,森が,大きく揺れている。めまぐるしく変わる屋久島の天気。こうして日々激しく変化し,いつのまにか大きな季節が巡る。

 私たちも忙しい日常のなかで,日々の出来事に翻弄される。おまけに人間は先の心配とか終わったことの後悔とか余計なことまで考える。ふと気がつくと,いつのまにか季節が巡り,歳だけが重なっていく。

連載 病棟運営上の意思決定に活かす! ケースで学ぶロジカルシンキング・7

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 論理的に考え,全体を俯瞰するためには,“MECE”な分岐を描くこと。すでに棄却している選択肢を一度確認することで全体を見渡せます。漏れやダブりが多くなる傾向の思考を今一度見直しましょう。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・131

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 《めちゃくちゃ可愛いね》《面白すぎる! これほんとかなあ》などと,思わず誰かに話したくなるような絵本が,生き物をモチーフにした絵本の中には少なくない。

 その1冊『わたしのろば ベンジャミン』は,ストーリーも場面も,《これはほんとかなあ?》と思うほど感動的にできすぎている写真絵本だ。

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看護管理者としての実践と理論が深く結びついた1冊

明確なミッションのもと,いかに組織を動かしていったか

 本書は,武村氏が大学院修了後に研究者としての道を歩み,そして副看護部長さらには看護部長としてその役割を遂行していく過程において,看護管理者として明確なミッションのもと,いかに組織を動かしていったかについて,理論に裏付けられた実践を記した書である。

 第1部では,管理者としての自己を支えるミッションとエンパワメントについて,第2部では,組織運営に関するマネジメント理論,第3部では武村氏の博士論文を基に看護師のキャリア発達支援について,第4部では,組織活性化の取り組みについて,まさに理論と実践とを融合させ,大変分かりやすい文章スタイルで表現されている。

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曝露対策として,個人と組織で取り組むべきことが分かる1冊

学びのニーズに応える実践書

 がん患者の増加に伴い,抗がん剤を使用する患者も増加している。さまざまな種類の抗がん剤が使用されている中で,曝露対策として今行っていることが安全なのか,これから何をしたらよいのか,それぞれの施設で明確になっているだろうか。

 抗がん剤の曝露は自身の健康へも影響を及ぼす危険があり,不安を抱えながら日々抗がん剤を取り扱っている医療従事者も少なくないと思う。手順や運用が整備されている施設ばかりではない。自施設の現状を把握するためにも,望ましい取り組みについて知りたいというニーズはあるだろう。

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基本情報

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看護管理
27巻5号 (2017年5月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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