理学療法ジャーナル 53巻12号 (2019年12月)

特集 装具の臨床

EOI(essences of the issue)
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 理学療法士が,個々の装具名称・特徴と適応・構造などの装具一般について学ぶのは,装具学である.装具を用いる個々の疾患の病態や治療は,別の臨床医学科目で学ぶ.しかし理学療法の臨床では別々の知識としてではなく,患者さんの病態と数ある装具をマッチさせ治療戦略にどう生かすかが求められる.在宅・地域では,装具は患者さんの生活の道具であり環境やライフスタイルとも関連が深い.本特集では,病院から生活領域まで,理学療法士が装具をどう捉えどのようにかかわるのか,現状と可能性・課題を考える.

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 特集に先立ち,企画会議での意見交換をもとにした本誌編集委員による鼎談を掲載します.理学療法士が装具を学ぶ際には,まず個々の特徴や構造を学習します.しかし臨床では,病態と装具をマッチさせた治療戦略が求められ,在宅では装具は生活の道具ともなります.病院から生活期に至る装具の臨床において,理学療法士に求められる能力とは何でしょうか.またチーム医療の一員としてどのような役割を果たせるのでしょうか.そして卒前・卒後の教育の在り方とは.現状と展望を整理しました.

(2019年4月20日収録)

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はじめに

 歩行再建は脳卒中患者の理学療法の重要な目的の1つであり,歩行手段の獲得はその後の生活範囲やQOLにも大きな影響を及ぼす.脳卒中治療ガイドライン1)において装具療法は推奨グレードA(強く勧められる)とされており,臨床場面でも急性期から装具を積極的に使用し,治療用装具として活用することが増えている.

 装具を治療戦略として選択する場合は,理学療法評価だけでなく疾患の予後予測をし,医師とともにどんな治療・リハビリテーション計画を立案していくか,また生活歴などの個人因子を踏まえる必要があり,多角的な視点が求められる.特に“装具の機能”と“脳血管疾患の病態”をマッチングさせることが治療用装具を用いるうえで重要である.

 歩行再建には,脳機能の回復メカニズムや画像情報をもとに,介入時期に合わせた適切な装具選択が必要であり,従来のように装具を機能代償として用いるのではなく,治療に活かすために活用することが求められる.

 本稿では,治療に装具を活用する理学療法士の視点として,装具選択に必要な病態理解や,脳卒中リハビリテーションの理論的背景,また治療用装具を活用した取り組みについて報告する.

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はじめに

 装具は,固定・免荷,変形の予防・矯正,機能的補助を目的にさまざまな疾患に対して用いられている.特に下肢装具は,脳卒中などの麻痺性疾患において機能的補助の目的で用いられることが多く,その有効性に関しては脳卒中治療ガイドライン1)に記載されている.脳卒中の装具療法は機能回復が見込めなくなってから始めるのではなく,「早期処方・早期装着,そしてよりよいコストパフォーマンスへの対応が求められている」2)

 脳卒中では生じ得る障害が多様なうえ,急性期から回復期にかけて大きく変化する.このため,下肢装具の選択のみならず,回復過程における下肢装具の変更や設定調整についても日々,臨床のなかで判断することが理学療法士に求められる.一方,短下肢装具を中心に近年,さまざまな下肢装具が開発されており,機能性に富んだものも多い.選択肢が増えたことは喜ぶべきことだが,その分,下肢装具の選択と機能設定調整に際して多くの知識が必要となり,難渋することも少なくない.

 下肢装具を選択する際には麻痺や筋緊張の程度,変形の有無,感覚障害の程度,体格,使用場所,立位や歩行能力などさまざまな視点から複合的に検討し判断する必要がある.装具療法を進めるうえで特にポイントとなるものの1つが立位,歩行能力である.

 ヒトの一側下肢の自由度は股関節3,膝関節1,足部3の合計7自由度をもつ.脳卒中により随意性が低下した患者は,麻痺側下肢の7自由度をコントロールすることが困難となり,立てない,歩けないなどの能力低下を呈する.そこで,麻痺肢に下肢装具を用いて非麻痺側を含めた残存機能でコントロール可能な自由度に制約し,運動を単純化する必要がある.脳卒中の理学療法における下肢装具の効用はさまざまあるが,重要なものの1つが自由度制約であると考える.ここでは自由度制約の観点から脳卒中の装具療法について考えたい.

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はじめに

 回復期リハビリテーション病棟では,適切なリハビリテーション計画を立案し,在宅復帰および社会復帰に向けて主治医,リハビリテーション科専門医,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,病棟看護師などが連携し包括的にアプローチすることが勧められる1).回復期リハビリテーション病棟に入院が可能な患者は,運動器疾患,中枢神経系疾患,廃用症候群など多種多様である.そのなかには,入院時から固定性や支持性の補助を目的に体幹装具や下肢装具が欠かせない患者もいる.例えば,椎体骨折による患者の体幹装具は固定力が強固なものほど安定性に優れているが,着脱の不便さや装着感が悪いことから装着率が低くなりやすい2).また,脳卒中片麻痺患者に対する適切な下肢装具の使用は,速やかな移動能力の改善3)や2次的な運動障害の予防4)に効果がある.

 しかし,固定性や安定性を得ようとすると求められる下肢装具は外見が悪い,重い,着脱が困難となることから装着率の低下につながりかねない.装具は,各患者の身体に合った快適な装具を処方し,患者が継続して使用することで初めて効果が得られる5).そのため,入院中に装具の使用が必要な患者が安全に入院生活を送るためには,装具の着脱方法を含めた日常生活活動(ADL)の介助方法を病棟スタッフや患者家族に指導することが必要である.さらに,退院後も継続して装具が必要と予測される患者には,本人だけでなく,その家族や地域の多職種のスタッフの理解を得ることが重要である.本稿では,回復期リハビリテーション病棟でのADL場面で装具を利用するために必要な病棟指導,家族指導,退院後にかかわる多職種と連携を行った症例を紹介する.

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はじめに

 近年,脳卒中後片麻痺による下肢装具使用者の生活期におけるフォローアップ体制の不十分さが指摘されている1〜3).適切なフォローアップのためには多職種・同職種間の連携が必要不可欠であり,装具難民4)を減らす,または生み出さないための取り組みが全国的に報告され始めている.勝谷らは4)装具難民とは「適切な装具療法が行われていない」,「装具処方時,患者に装具そのものの情報が伝わっていない」,「装具処方後定期的なフォローアップがなされていない」,「かかわるスタッフの知識不足」など下肢装具に関する治療・情報・システム・教育の問題であると述べている.これら生活期における装具難民を救うためにも,われわれ理学療法士は装具に関する正しい知識をもち,装具の適合・不適合を判断できるようになることや,装具に関する知識を他の医療・介護・福祉スタッフへ発信していくことが求められている.

 本稿では,全国的な生活期下肢装具使用者の実態が明らかになっていないなか,千葉県君津二次医療圏における装具難民救済の取り組みと,装具メンテナンスの実際について症例を交えて紹介し,生活期における装具メンテナンスと理学療法士のかかわりについて考える.

連載 脳画像から読み取る障害像と理学療法・12

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Question

この脳画像からどのような障害像が読み取れますか?

とびら

理学療法士の本分とは? 古澤 浩生
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 忘れもしない私の養成校入学式において,ある医師からの祝辞で「皆さんは金の卵です!」という言葉がありました.「俺は金の卵なんだー」と思ったのは30年ほど前です.

 つい最近の,高校2年生になる私の息子との会話です.

1ページ講座 理学療法関連用語〜正しい意味がわかりますか?

肩甲上腕リズム 赤羽根 良和
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 Codman1)は肩関節挙上時に上腕骨と肩甲骨とが連動することを観察し,これを肩甲上腕リズム(scapulohumeral rhythm:SHR)と呼んだ.その後Inmanら2)は,上腕骨と肩甲骨の位置関係を測定した結果,この比率が2:1であったと報告した.近年では生体力学の計測や解析技術がめざましく進歩したことで,SHRの比率はさらに精細となってきている.

1ページ講座 外国人とのコミュニケーション

ロシア 菅野 エレナ
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 日ロ交流協会は,1965年に発足した日本とロシアの市民交流や相互理解を推進する国際交流団体です.ロシア留学,ロシア語教室,ロシア料理の講習会など,市民レベルの文化交流を推進しており,筆者はマトリョーシカ教室を主宰しています.

 ロシア連邦は,広大な国土にロシア人のみならずタタール人,ウズベク人,ウクライナ人,グルジア人など多様な人種が暮らす他民族国家です.出身地により文化や生活習慣は異なりますが,コミュニケーションには下記のような共通した特徴があります.

入門講座 地域生活につなげるさまざまなサービス・4

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はじめに

 日本は高齢者が全人口の28%以上を占める「超高齢社会」です.このうち75歳以上の占める割合は14%となっています.今後,2022年から団塊の世代が後期高齢者になり始めると,75歳以上人口の占める割合はさらに増加していきます.

 将来推計によると,団塊の世代がすべて後期高齢者に移行する2025年には高齢化率は30%となり,全高齢者数に占める後期高齢者の割合はおよそ6割に達します.2060年には全人口の約40%が高齢者になると予想されています.平均寿命は世界最高水準に達していますが,こうした長寿化を国民の安心につなげるとともに,高齢者の多様な社会参加を促進し,社会全体の活力を維持していくことは重要な課題であり,健康に長生きできるよう,健康寿命を延伸することが重要となります.

 とりわけ,加齢に伴う身体的な機能の低下や複数の慢性疾患に加え,認知機能や社会的なつながりの低下といった多様な課題や不安を抱えている高齢者も多く,介護予防やフレイルの防止,疾病の重症化予防などの効果的な実施が求められています.高齢者の特性に応じて,医療保険の保健事業と介護保険の介護予防,要支援,要介護者,認知症のある人に対するリハビリテーションを効果的・効率的に提供していくためにはどのような体制や取り組みが必要になるかについて,理学療法士の取り組みがこれからますます問われてきます.

 また,今までは病院や介護施設などにおいて,例えば歩行ができることがゴールで,その方のその先の生活に目を向けることよりも歩行ができるようになったことを実績として評価していたことが多いでしょう.これからは,その方のその先の生活に目を向けた,歩行できて生活は豊かになったのか,本当に歩行がゴールなのかを理学療法士として考えなくてはなりません.理学療法士による「自立支援とは何か」の追求が求められています.

講座 運動器の理学療法—その常識は正しいか?・4

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はじめに

 国際規模で行われる疫学研究であるGlobal Burden of Disease Study(世界疾病負担研究)において,腰痛は,健康でない状態で生活する年数(years lived with disability:YLDs)を指標とする調査で,1990年から2016年まで不健康である要因の第1位となっている1).本邦においても,厚生労働省が実施している国民生活基礎調査における病気やけがなどによる自覚症状のうち,腰痛の有訴者率は毎年,男性で1位,女性で2位となっている2)

 近年のシステマティックレビューにおいて,運動療法は疼痛軽減や能力障害の改善に対し高いエビデンスを有し3,4),各国の診療ガイドラインにて推奨されている5,6)ことに鑑みると,腰痛の治療・予防において,われわれ理学療法士が果たすべき責務は非常に大きいと考えられる.

 腰痛に対する運動療法としては,エアロビック運動や筋力増強運動,筋持久力トレーニング,ストレッチングなどが用いられる3).前述のように,運動療法は広く推奨されているものの,効果的な運動療法の種類を明確に示すエビデンスはないのが現状である3,7).その理由の1つとして,腰痛の原因が複雑多様であるため,器質的な病態に基づく効果的な運動方法の確立が困難であることが考えられる.しかしながら,腰痛患者に対し「何でもいいから運動を」と指導するのみでよいのであろうか.臨床において,より効果的な運動療法を実践するためには,これまで報告されている知見を十分に精査し,どのように適用していくかを検討する必要がある.そして,その結果を集積し,さらに質の高いエビデンスを構築していく必要がある.

 腰痛に対する運動療法のなかでも,Williams体操8)やMcKenzie体操(法)9)といった治療体操は,腰痛体操として有名である.運動方法をパンフレット化し,患者への指導に用いている施設も多いと思われる.運動指導として簡便ではあるが,簡便であるがゆえに,個々の患者への適応について十分に検討されることなく,画一的に行われている可能性もある.

 本稿では,まず腰痛の原因と分類について概説し,腰痛体操の適応と効果に関するエビデンスについて紹介する.

臨床実習サブノート 「日常生活活動」をみる・8

睡眠 金谷 さとみ
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はじめに

 私たちは1日のなかで覚醒と睡眠という明らかに異なる2つの状態を毎日経験しています.睡眠の定義は,「環境に対する反応性と環境との相互作用が低下した状態であり容易に回復するもの」であり,昏睡などはこの定義を満たしません.「人はなぜ眠るか」をはじめとし,睡眠の研究はいまだ解明されていないことが多く,理学療法の分野においても同様です.

 近年では睡眠が重要視され,スポーツ医学においても「睡眠こそがすべての基礎である」と言われ始めています.本稿では,未解明ながらも通説となっている睡眠の基本的知識,理学療法や生活指導などに役立つ情報について述べていきます.

甃のうへ・第71回

日々全力 秋山 綾子
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 「お兄ちゃん,死んじゃった……」.11年前の8月,突然母からかかってきた電話は今でも忘れません.まったく理解できず,ただ泣きながら兄のもとへ向かっていました.遺体と対面した警察署で受けた説明は,心不全.兄は大きな病気をしたこともなく,人間ドックも受けていたのに,寝たまま次の日の朝,目を覚まさなかったという最期でした.「心臓が止まったら,人は死んでしまうんだ」.心臓と生きることのつながりの強さを痛感した瞬間でした.「どうして兄の心臓は止まってしまったんだろう」,「何かできることはなかったのか?」と,当時大学3年生だった私は,この想いに突き動かされるように,心臓リハビリテーション分野へ進みました.

 心臓突然死の予防というと,AEDが最も一般的です.続いて言われるのが,生活習慣の改善です.ですが,個々人がその生活習慣をどうよくすべきか,またその継続が難しいのはご承知のとおりです.私は,高校生の頃にヨガと出会い,以来ずっと続けています.ヨガは体操やエクササイズだと誤解されがちですが,伝統的には「幸せに生きるための実践哲学」がヨガの本質だと言われています.つまり,日常の中から生き方や在り方を大事にすること.普段の生活のなかで意識的に継続しやすいヨガを,心疾患予防に応用し,心機能改善に寄与できないものかと考え,インドや米国でもヨガの学びを深め,大学院ではヨガと心血管機能について研究しました.心疾患患者さんへもリハビリテーションの一環として提供させていただき,「こんなにリラックスしたことはない」,「よく眠れるようになった」など,たくさんの喜びの声を頂戴しました.

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要旨 【はじめに】慢性的な筋骨格系の疼痛の原因として,中枢性感作(central sensitization:CS)が知られている.今回,CSが疑われた下肢症状を呈する腰痛症例に対し疼痛教育を中心として理学療法介入を行い,良好な成績を得られたので報告する.【症例紹介】40歳台前半の女性であり,職業は立ち仕事.安静時痛はなく,症状箇所は腰仙部の深部,両大腿から下腿前面にかけてであった.【評価】Leeds Assessment of Neuropathic Symptoms and Signs scaleが16/24であり,Schäferらによって開発された下肢痛を伴った腰痛のclassificationを参考に,CSを分類し介入を行った.【介入および結果】CSに対する疼痛教育,視覚的フィードバックを用いた運動療法を中心に全4回行った.最終評価にてすべての疼痛が消失し,ADLは制限なく可能となったため理学療法終了とした.【結語】本症例は下肢症状に対しCSを疑い,生物心理社会モデルに基づいた疼痛教育を中心とした介入を行い奏効した.筋骨格系疾患のなかにはCSが一定数存在しているため,適切な評価や多面的な介入が必要である.

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●学術大会の概要

 去る2019年9月7日,グランドホテル浜松にて第8回日本支援工学理学療法学会学術大会が開催されました.

 原和彦大会長(埼玉県立大学)のもと,「『やらまいか!』未来を切り開く支援工学理学療法」をテーマに,数多くの教育講演や特別企画,シンポジウム,企業プレゼンテーション,そして企業展示に加え,35題の一般演題の発表が行われました.

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●本大会の概要

 2019年9月14日に第4回日本心血管理学療法学会・第6回日本糖尿病理学療法学会の合同学術大会が沖縄コンベンションセンターにて開催されました.季節柄,台風襲来が懸念されましたが,幸いにも当日は快晴の下で大会が無事に開催され,500人もの方々にご参加いただきました.日本心血管理学療法学会では「未来-明日の臨床が変わる一歩を!」が,日本糖尿病理学療法学会では「生活習慣病への挑戦—健康に導く力を共に考える」が学会テーマに掲げられました.大会プログラムでは,シンポジウムおよび講演会が6セッション,産学連携セッションが2セッション,そして合計156演題の一般演題が発表されました.

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 私は本書を,小児の在宅医療やリハビリテーションにかかわる医療関係者や家族だけでなく,すべてのリハビリテーションにかかわる医療関係者にお薦めしたいと思っています.

 日本において,総出生数は減少していますが,体重2,500g未満の低出生体重児は右肩上がりに増加している現状です.また,医学の進歩とともに,低出生体重児や医療的ケア児,重症心身障害児は,長く生きることができる時代となりました.そして,子どもたちは,あっという間に大人になります.

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 理学療法士にとって「物理療法」は「運動療法」と双璧の固有技術である.その「物理療法」が外的要因のみならず,内的要因からも疎んじられているかのような今日の風潮は,物理療法を専門分野として国民の健康増進に携わってきた者から見ると大変残念である.従来の保険制度のなかのみではなく,介護予防,障害重症化予防,災害関連死予防などの予防や健康,美容に対する物理療法のニーズは多く,理学療法で整理されている物理療法の開放は避けて通れない.在宅という枠のなかで,今後積極的に理学療法士が物理療法の活用を担い,社会還元しなければ,その普及はもとより,国民の健康に寄与する手段の1つを失いかねない.まずは基本的な実践活用のハンドブックとなり得る絶妙の良書が本書である.まさにタイムリーな出版である.

 本書には「痛み」,「筋力低下」,「麻痺」,「痙縮」,「関節の可動域制限」,「その他の症状(肩関節の亜脱臼,浮腫)」と大きく6つの障害で章立てされ,それぞれで物理療法の種類とその目的,治療姿勢,設定条件,治療部位で構成される「case」が18と,診断名,基礎情報,物理療法,結果で構成される「case report」が16収載されている.この18 caseと16 case reportは臨床実践家にとっては,頻繁に遭遇する障害とモデル症例である.さらに,それぞれに「さっちゃんのワンポイントアドバイス」という形式でコツ(tips)が記載されている.最後に「電気刺激療法の基本」,「超音波療法の基本」,「禁忌・注意事項」を資料として1つの章としている.こうした基本事項は書籍の冒頭に編集しがちであるが,著者の臨床での活用を重視した,大きな懐が嬉しい限りである.

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次号予告

目次

文献抄録

「作業療法ジャーナル」のお知らせ

編集後記 永冨 史子
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 2019年は,令和の始まりという特別な年でした.平成元年も経験した私にとって初めてのことではないのになぜか,新しい時代という感覚が非常に強いバトンタッチでした.その記念すべき年も,あっという間に終わります.

 本号の特集は,装具自体に焦点を当てず「装具の臨床」をまとめることに挑戦しました.まずエディトリアルの鼎談で,そのテーマに沿った発言をいただきました.島本論文では脳卒中の病態の成り立ちと治療,装具と理学療法の関連を理論的に概説していただきました.横田論文では装具の効果と自動性制約の両面に触れ,装具機能をどう捉え理学療法と組み合わせるかを臨床的にご解説いただきました.平野論文では回復期の脳卒中症例・脊髄損傷症例を例に挙げ,装具を治療のツールとして,また生活の道具として役立てる連携に,家族や周囲の協力が重要である現況を紹介していただきました.細矢論文では装具外来の地域における実践・生活と装具を絡め積極的にfollowする活動をご紹介いただき,理学療法士の装具教育の必要性も,あらためて触れていただきました.

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基本情報

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理学療法ジャーナル
53巻12号 (2019年12月)
電子版ISSN:1882-1359 印刷版ISSN:0915-0552 医学書院

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