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はじめに
日本は高齢者が全人口の28%以上を占める「超高齢社会」です.このうち75歳以上の占める割合は14%となっています.今後,2022年から団塊の世代が後期高齢者になり始めると,75歳以上人口の占める割合はさらに増加していきます.
将来推計によると,団塊の世代がすべて後期高齢者に移行する2025年には高齢化率は30%となり,全高齢者数に占める後期高齢者の割合はおよそ6割に達します.2060年には全人口の約40%が高齢者になると予想されています.平均寿命は世界最高水準に達していますが,こうした長寿化を国民の安心につなげるとともに,高齢者の多様な社会参加を促進し,社会全体の活力を維持していくことは重要な課題であり,健康に長生きできるよう,健康寿命を延伸することが重要となります.
とりわけ,加齢に伴う身体的な機能の低下や複数の慢性疾患に加え,認知機能や社会的なつながりの低下といった多様な課題や不安を抱えている高齢者も多く,介護予防やフレイルの防止,疾病の重症化予防などの効果的な実施が求められています.高齢者の特性に応じて,医療保険の保健事業と介護保険の介護予防,要支援,要介護者,認知症のある人に対するリハビリテーションを効果的・効率的に提供していくためにはどのような体制や取り組みが必要になるかについて,理学療法士の取り組みがこれからますます問われてきます.
また,今までは病院や介護施設などにおいて,例えば歩行ができることがゴールで,その方のその先の生活に目を向けることよりも歩行ができるようになったことを実績として評価していたことが多いでしょう.これからは,その方のその先の生活に目を向けた,歩行できて生活は豊かになったのか,本当に歩行がゴールなのかを理学療法士として考えなくてはなりません.理学療法士による「自立支援とは何か」の追求が求められています.
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