特集 装具の臨床
装具選択や治療計画に影響する理学療法士の視点
島本 祐輔
1
Yusuke Shimamoto
1
1医療法人社団敬仁会桔梗ヶ原病院リハビリテーション部
キーワード:
治療用装具
,
歩行再建
,
ステージ理論
,
MRI拡散テンソルトラクトグラフィー
Keyword:
治療用装具
,
歩行再建
,
ステージ理論
,
MRI拡散テンソルトラクトグラフィー
pp.1153-1162
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201737
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はじめに
歩行再建は脳卒中患者の理学療法の重要な目的の1つであり,歩行手段の獲得はその後の生活範囲やQOLにも大きな影響を及ぼす.脳卒中治療ガイドライン1)において装具療法は推奨グレードB(勧められる)とされており,臨床場面でも急性期から装具を積極的に使用し,治療用装具として活用することが増えている.
装具を治療戦略として選択する場合は,理学療法評価だけでなく疾患の予後予測をし,医師とともにどんな治療・リハビリテーション計画を立案していくか,また生活歴などの個人因子を踏まえる必要があり,多角的な視点が求められる.特に“装具の機能”と“脳血管疾患の病態”をマッチングさせることが治療用装具を用いるうえで重要である.
歩行再建には,脳機能の回復メカニズムや画像情報をもとに,介入時期に合わせた適切な装具選択が必要であり,従来のように装具を機能代償として用いるのではなく,治療に活かすために活用することが求められる.
本稿では,治療に装具を活用する理学療法士の視点として,装具選択に必要な病態理解や,脳卒中リハビリテーションの理論的背景,また治療用装具を活用した取り組みについて報告する.
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