特集 装具の臨床
日常生活活動で装具を利用するための多職種連携と理学療法士の役割
平野 恵健
1
,
大森 まいこ
2
Yoshitake Hirano
1
1日本医療科学大学保健医療部リハビリテーション学科
2国立病院機構埼玉病院リハビリテーション科
キーワード:
回復期リハビリテーション
,
装具
,
多職種連携
,
病棟指導
,
家族指導
Keyword:
回復期リハビリテーション
,
装具
,
多職種連携
,
病棟指導
,
家族指導
pp.1171-1179
発行日 2019年12月15日
Published Date 2019/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201740
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はじめに
回復期リハビリテーション病棟では,適切なリハビリテーション計画を立案し,在宅復帰および社会復帰に向けて主治医,リハビリテーション科専門医,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,病棟看護師などが連携し包括的にアプローチすることが勧められる1).回復期リハビリテーション病棟に入院が可能な患者は,運動器疾患,中枢神経系疾患,廃用症候群など多種多様である.そのなかには,入院時から固定性や支持性の補助を目的に体幹装具や下肢装具が欠かせない患者もいる.例えば,椎体骨折による患者の体幹装具は固定力が強固なものほど安定性に優れているが,着脱の不便さや装着感が悪いことから装着率が低くなりやすい2).また,脳卒中片麻痺患者に対する適切な下肢装具の使用は,速やかな移動能力の改善3)や2次的な運動障害の予防4)に効果がある.
しかし,固定性や安定性を得ようとすると求められる下肢装具は外見が悪い,重い,着脱が困難となることから装着率の低下につながりかねない.装具は,各患者の身体に合った快適な装具を処方し,患者が継続して使用することで初めて効果が得られる5).そのため,入院中に装具の使用が必要な患者が安全に入院生活を送るためには,装具の着脱方法を含めた日常生活活動(ADL)の介助方法を病棟スタッフや患者家族に指導することが必要である.さらに,退院後も継続して装具が必要と予測される患者には,本人だけでなく,その家族や地域の多職種のスタッフの理解を得ることが重要である.本稿では,回復期リハビリテーション病棟でのADL場面で装具を利用するために必要な病棟指導,家族指導,退院後にかかわる多職種と連携を行った症例を紹介する.
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