理学療法ジャーナル 51巻5号 (2017年5月)

特集 歩行の安全性

EOI(essences of the issue)
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 歩行は理学療法の中核的課題の一つで,これまでも幾度となく特集を組んできた.今回は,歩行の“安全性”に焦点を当て,生理学,心理学,工学の視点から多角的に解説をいただき,転倒予防に対する多職種での連携,地域における理学療法支援までを考える機会とした.

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安全な歩行とは

 安全な歩行は,“転ばないで歩く能力”が中核の要素であるが,理学療法の視点からはもう少し多角的に捉える必要がある.具体的には,① 物理的な安定性,② 転倒やつまずきへの心理的不安や身体的負担のない安寧・安楽性,③ 目的とする一連の手段としての実用性,を包含した理学療法の治療・介入に結びつく形で,機構の理解や評価を整理することが求められる.

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はじめに

 超高齢化を迎えた先進国では高齢者の転倒・転落事故の急増が深刻な社会問題である.そのため,転倒の防止,歩行機能の回復,そして,安全な歩行を実現するためのシナリオ構築が急務である.では,安全な歩行とはどのような歩行だろうか? それは“環境変化に対応して2足歩行を維持する(転倒しない)こと”であろう.

 2足歩行は4足動物の歩行よりもはるかに不安定である.2足歩行にはきわめて高度なメカニズムが必要である.にもかかわらず,ヒトは生後1年足らずで2足歩行を獲得し,特に注意を払うこともなくこれを実行する.そこで本稿では「姿勢と歩行の制御に関与する高次脳機能(姿勢と歩行制御の認知的プロセス)」と「皮質下神経機構による姿勢-歩行の基本的神経基盤(姿勢と歩行の定型的プロセス)」について概説し,「安全な歩行を実現・再建するための考え方」についての私見を記したい.

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はじめに—情報処理としての心理機構

 “心理”という言葉は,一般用語としては,気持ちや考えなど,本人の心的状態や思考内容を指す言葉である.対して,学術用語としての心理は,心的状態や思考を生み出す脳内情報処理を包含している.すなわち,心的状態や思考内容は,脳に入力された多様な情報に対する知覚・認知的な情報処理のプロセスを経てつくり出されており,そうしたプロセスの全貌を解明することが,学問としての心理学の対象となっている.本稿における心理機構とは,こうした知覚・認知情報処理のプロセスを指している.本稿では,歩行の安全性を評価する際に,歩行を形づくっている知覚・認知情報処理の働きを常に意識することが,歩行を不安定にしている問題の特定や,治療方略の立案に役立ち得ることについて解説する.

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はじめに

 工学分野における二足歩行研究は,主にヒューマノイドロボットと装着型ロボットを対象として行われてきた.ヒューマノイドロボットとはいわゆる人型のロボットであり,人間の場合と同様で,歩行がロボットの移動手段として用いられる.ヒューマノイドは,一般にこれを構成する各部の質量や寸法が既知であり,運動の動力学的な定式化が比較的容易である.一方,装着型ロボットでは,ロボット側はともかく装着者から取得・計測できる情報は限定される.

 加えて,装着型ロボットの機械的な運動制御の観点では,装着者の動作が入力として捉えられる.しかしながら,装着者の動きを外部から直接制御することはできないため,外乱として取り扱うことになる.これは,装着者の転倒要因となることから,装着者の動作を妨害しないようにロボットを制御しなくてはならず,ヒューマノイドであれば可能な動作も実現できないことが多い.

 以上のように,装着者と装着型ロボット,そしてヒューマノイドをそれぞれ機械システムとして捉える場合に,互いに異なるモデリングや制御の戦略が必要となるが,それらが規範とする指標のなかには,共通して利用可能なものも少なからずある.歩行動作の安定性は,その時点の姿勢および運動から力学的に求めることができるため,ヒューマノイドのみならず装着型ロボットや人間にも適用できる.また,人間の動作もまったく不規則ではなく,特に転倒回避のような,いわゆる反射的な動作ではいくつかのパターンの存在が明らかになっており,歩行動作モデルに対する転倒予測の可能性は高まっていると言える.

 本稿の主題は「歩行の安全性」である.安全とは,許容できないリスクがないことであり,本稿で取り上げるリスクは転倒リスクである.以下,本論ではまず,歩行の安定性を評価するための指標および転倒リスクの見積もりに関連づけられる歩行,転倒現象の計測,評価方法をそれぞれ紹介する.そして昨今,歩行支援や転倒の研究に新たな方向性をもたらしつつある,下肢を対象とした身体装着型ロボットについて概説し,これを装着した際の転倒研究にも言及する.

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はじめに

 入院中の「歩行の安全性にかかわる環境支援」は裏を返せば「転倒を予防する環境支援」と言える.米国の全病院における転倒発生率(‰=件/1,000入院)は1.3〜8.9‰で1),入院患者では虚血性脳血管障害患者の5%2),精神科に入院した患者の10%が転倒し3),がん患者は特に転倒リスクが高いとされている4).本邦でも超高齢社会を迎え,入院患者の高齢化も進み,入院中の患者の転倒(19.7%)は治療・処置(30.2%),薬剤関連(6.5%)・点滴などの抜去(7.2%)と並び院内におけるインシデント・アクシデントの上位を占めるようになってきている5).転倒に伴う大腿骨骨折,頭部外傷などの外傷は患者のADL低下,QOL低下,入院期間の延長を招き,患者の経済的負担も増大するとともに,さらなる医療資源の投入も必要となり,施設にとってもコスト増につながることから,入院中の転倒予防は患者,医療者双方にとって重要な課題と言える6,7).また入院中の転倒経験は退院後も転倒に対する恐怖心(転倒後症候群)として残るとされ8),患者のADL低下を招き,さらなる転倒リスク発生の引き金となる9)(図1).

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はじめに

 平均寿命の延伸とともに,誰もが老いて虚弱な期間を迎えることが普通となった.残された機能を積極的に生かしながら,生活全体の質を高めるために,介護予防,医療介護連携,住まいの整備など地域包括ケアシステムの構築が進められ,地域ケア会議を軸に市民の自立を支援する取り組みが進められている.

 日常生活活動(ADL),手段的日常生活活動(instrumental activities of daily living:IADL)において,例えばトイレまでの歩行や,脱水された洗濯物を運ぶ作業として歩行できることは重要である.また,再発予防や疾病管理のために退院後にはウォーキングを勧める場合などはその安全性に配慮する必要もある.急性期・回復期病院退院時には,予後予測をもとに丁寧な自立を支援する情報提供が必要である.本稿では,いかに安全に歩行を移動手段として用いるか,いかに効率よく歩行を運動として継続するか,という視点で退院前訪問での地域支援について述べる.

連載 超音波で見る運動器と運動療法Q&A・第5回

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Question

 52歳,女性,主婦.

 数か月前より右薬指に引っかかり感を認めていたが,数日前より曲げると伸ばせなくなり受診.

 さてこの病態は?

とびら

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 21世紀に突入して,便利な情報ネットワークシステムと,IT技術の進歩により,世界のモノ・コトはドッグイヤーさらにはマウスイヤーのスピードで変革し続けている.その一方で,古く懐かしいモノ・コトが新たな価値を伴って復活しているのも現代の特徴である.このような社会の変化に伴い,理学療法士の業務や作業内容も変化し続けている.いかに社会が急速に変化しようとも,古の時代から脈々と受け継がれている日本人の利他の精神と共同体感覚を心の軸にし,理性と感性が満足し得る働きを続けることが理学療法士の進歩と発展の鍵である.

 2000年の介護保険法の施行により理学療法士の職域は拡大した.また,地域包括ケアシステムの導入によって2025年までの未来社会づくりの一員として活躍が期待されている.新しい未来が開かれると新たな職業が誕生し,同時にコモディティ化が起こることは歴史上の事実だ.

新人理学療法士へのメッセージ

たんたんと こつこつと 山川 友和
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 今春,晴れて理学療法士となられた方々に心よりお祝いを申し上げます.このたび,十数年前に理学療法士となった私が,「新人理学療法士に向けてのメッセージ」との大役を仰せつかったので,この場を借りて何か明日へのエネルギーとなる言葉をお送りしようと思いました.が,考えているうちにこれは皆さんへのメッセージというより,これまでの自分を振り返るとともに,自分への戒めとしての内容となっているようです.そんなメッセージですが,よろしければお付き合いください.

甃のうへ・第46回

感じることを大切に 堀口 遥
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 理学療法士には,医療人としてさまざまな機能障害をもつ方々の人生に寄り添うことが求められますが,その意味を私なりに解釈できたのは臨床10年が過ぎたころ,ある40歳台女性の脳卒中理学療法を経験したときのことでした.

 発症3週の回復期の時期,まだ障害受容の否認期の最中「歩けますかね」と,私を不安そうにみつめるその表情を,今も忘れることができません.私は予後予測に従い,平行棒外歩行不能であった女性に「1か月後に病院内を自由に歩きましょう」と話をしました.そしてさまざまな方法のなかから,荷重連鎖障害への対応として下肢抗重力機構の賦活,また歩行の難易度調整を図りながら行う運動学習を可能にするツールの一つであるプラスチック製長下肢装具(plastic knee-ankle-foot orthosis:P.KAFO)を作製し,完成後は1日約2時間の練習時間を使い理学療法を行いました.その結果,発症4週(装具療法開始1週)で10m歩行19.6秒,7週(装具療法開始4週)で8.2秒となり,自立歩行獲得の段階で2nd stage recoveryのピークへと向かっていくこととなりました.

1ページ講座 理学療法関連用語〜正しい意味がわかりますか?

病床区分 前田 秀博
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 国家には国民の安全と安心を保障する責務があり,国民が安心して暮らしていくための社会保障が法律によって規定されている.病気に対しては医療法(1948年制定),介護に関しては介護保険法(2000年施行)があり,医療提供体制は国民皆保険(1961年施行)を基本に整備されている.地域の医療需要や医療提供の実態にあわせて医療計画(1985年導入)が立案され,医療圏ごとに基準病床数を算出して都道府県が認可し,20人以上の収容施設を有するものが病院とされる.保険診療で認められた検査や治療が保険医療機関で行われれば,費用は患者による自己負担と保険給付により当該機関に支払われ,保険診療料は診療報酬制度によって定められる.

 病床区分は医療法によって,結核病床,精神病床,感染症病床,療養病床(2001年創設,主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させる病床),一般病床(上記以外の患者が入院する病床),に分類され1),保険医療機関種別(特定機能病院,一般の病院,有床診療所など)と看護配置,平均在院日数に照らして入院基本料が決まる.また特定機能をもつ病棟(救命救急病棟,集中治療病棟,小児集中治療病棟,ハイケアユニット,地域包括ケア病棟,回復期リハビリテーション病棟,緩和ケア病棟など)に入院の場合は入院基本料より高い特定入院料が算定できる.こうした病床区分や特定機能ごとに設備,病床面積,廊下幅,人員配置,医療区分,ADL区分,重症度,医療・看護必要度,在宅復帰率,平均在院日数などの基準が詳細に規定される.重症患者ほど人的・物的医療資源を多く必要とするため診療報酬単価は高く設定されるが,日数経過とともに保険点数は下がる仕組みとなっており,患者の回復に応じて高度の医療行為が不要となれば,速やかに状態にあった病棟へ移るよう促される.

1ページ講座 障がい者スポーツ

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 ゴールボールは,鈴の入ったボールをお互いに転がしあい(場合によってはバウンドさせ),相手ゴールに入れて得点を争う対戦型競技です.選手は音を頼りに競技するため,プレー中に観客は音を出しての応援ができません.投げる際には決められた範囲の2か所に必ずバウンドさせないといけないという決まりがあり,定められたとき以外は音を出したり,コーチが指示を出すことも禁止されています.選手は条件を平等にするために全員アイシェード(目隠し)を着けてまったく見えない状態でプレーし,アイシェードには許可が出るまで触れることができません.うまくコミュニケーションをとらないと味方の位置さえもわからず,そのなかでフェイクやコンビネーション,移動や速攻などを駆使して相手にコンマ数秒の隙をつくり出し,ゴールを狙います.そのため,瞬発力とパフォーマンスを維持し続ける筋持久力が必要であり,さらに1.25kgものボールを全力で投げ,全身で止めることから全身の総合的な強さも必要となります.海外の選手は非常に身体が大きく,年々強く・弾むボールを投げるように変化してきています.それに耐え得る身体づくり,高度な戦略が今後の課題となってきます.

 外傷時の応急処置やテーピング,練習後のケア,大会や合宿での体調管理やコンディショニング,その時期のチーム方針にあわせたメニューづくりなど,理学療法士としてゴールボールのチームにかかわれることはたくさんあります.特に専門的な知識を生かしてプレーを観察することにより傷害を未然に防ぐことも,重要な役割となります.

入門講座 「はじめて」への準備(臨床編)・5

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はじめに

 理学療法士にとって,運動療法や物理療法とあわせて重要な治療手段として,装具療法が挙げられる.今回,筆者が臨床で携わっている脳卒中の下肢装具の作製について,評価や本人や家族への提案の仕方,必要な手続きや制度など,知り得る範囲で述べる.後半には,筆者が担当した症例について,退院後のフォローを含めた装具作製の流れを紹介する.これから臨床ではじめて装具を作製する理学療法士の方や学生はもちろん,装具作製経験のある理学療法士の方々にも再確認の意味でご一読いただければ幸いである.

講座 運動と分子生物学・1【新連載】

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はじめに

 運動器である骨格筋は,ヒトの体重の約40%を占める最も大きな組織である.骨格筋の組成の多くは水分(約76%)であるが,それ以外の主要構成成分は蛋白質であり,約20%を占める.したがって,骨格筋は蛋白質(アミノ酸)の貯蔵庫の役割も果たしている.血液中には低濃度であるが一定量のアミノ酸が常に存在し,絶食などでアミノ酸を摂取できないと筋蛋白質などを分解して血液中へ供給する.おそらく,このアミノ酸は脳へ供給され,神経伝達物質などを合成するために使用されるようである.

 近年の研究において,脳機能を正常に維持するためにアミノ酸が重要な役割を果たしていることが明らかにされつつある.そのなかでも,特に分岐鎖アミノ酸(branched-chain amino acids:BCAA,ロイシン,イソロイシン,バリン)の機能について注目されており,脳におけるBCAA不足は自閉症の原因になることが明らかにされた1〜3).脳機能のためにも,正常な骨格筋(筋蛋白質)量を維持することは重要である.

 骨格筋の主要構成成分が蛋白質であることより,筋肉を作るために食事として蛋白質またはアミノ酸を十分量摂取する必要がある.体内での蛋白質合成には20種類のアミノ酸が使用されるが,そのうちの9種類は体内で合成されない,または合成されにくいため必須アミノ酸(不可欠アミノ酸)とされている(表1).必須アミノ酸のなかでもBCAAは蛋白質代謝を調節する作用があり,さらに必須アミノ酸であるにもかかわらず筋組織で分解されてエネルギー源にもなる.他の必須アミノ酸が肝臓でしか代謝されないのと対照的に,BCAAの分解は筋肉で開始されるので,BCAAが筋肉と関係の深いアミノ酸であることが推察される.本稿では,BCAAの筋肉における生理作用と代謝調節系について解説し,運動トレーニングによる筋蛋白質合成促進に有効な蛋白質・アミノ酸摂取法についても最新のシステマチックレビューを引用して解説する.

プログレス

脳卒中に対する再生医療 田口 明彦
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はじめに

 脳卒中は1951年より1980年まで日本人の死因のトップであったが,1960年代より普及した高血圧患者に対する降圧薬投与により,死亡者数の抑制に成功している.また血栓溶解療法が,米国では1996年より日本でも2005年より開始され,さらに近年では発症8時間以内の機械的血栓除去術が保険適用になり,脳梗塞発症直後の超急性期における神経細胞死の防止が可能となっている.しかし,脳梗塞超急性期における血栓溶解療法や機械的血栓除去術は,全脳卒中患者の10%未満の患者しか受けることができず,現在も増え続けている要介護/要支援患者の原因疾患の第一位は脳卒中である.そのため脳卒中を発症し脳神経組織が壊死した後に,神経機能の回復を促進する新しい治療法の開発が切望されている(図1)1)

 本稿では,われわれが進めている脳卒中亜急性期における血管再生の促進を目的とする自己造血幹細胞移植の臨床試験について紹介するとともに,脳卒中急性期における過剰な炎症反応の制御を目的とする間葉系細胞移植および脳卒中慢性期における神経栄養因子の補充を目的とする神経幹細胞様細胞移植の臨床試験など,脳卒中患者に対する細胞治療の国内外での臨床知見について概説する.

臨床実習サブノート 歩行のみかた・2

変形性膝関節症 山田 英司
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はじめに

 歩行分析の目的は,歩行の安全性,持久性の確認,異常運動の観察,歩行が困難となっている原因や疼痛との関連性を推測したり,関節の機能障害が歩行に及ぼす影響を分析するためなど多岐にわたっています.臨床において,対象者の訴えや症状から病態を推測し,仮説に基づき適切な検査法を選択して対象者に最も適した介入方法を決定していく一連の心理的過程を臨床推論と言います.

 上述したように,動作分析の目的はさまざま存在しますが,最も多いのは,臨床推論の過程のなかで,動作を観察し,正常運動との比較や特徴的な運動を捉えることにより,動作障害の特性を明らかにし,他の検査・測定結果との関連性を分析し,治療プログラム立案の一助とすることではないかと考えられます.簡単に言えば,変形性膝関節症患者を対象とする場合,患者の訴える疼痛の原因と病態を考え,問題点を明らかにし,治療プログラムを立てるための評価の一つとして行うことが一般的です.このような臨床推論の思考過程は,推理小説の犯人を捜す過程に例えるとわかりやすいでしょう.

次号予告

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 本書は,理学療法士や作業療法士が職務上求められるコミュニケーション力,すなわち療法士と患者や利用者,そのご家族など,またはスタッフ間における人間間コミュニケーションに焦点を当てており,それを習得するための導入から実践場面を想定した意思疎通のあり方までを具体的に解説しています.

 私は33年間,養成施設で後進の育成に携わってきましたが,入学後の学生の課題は,以前の基礎学力や学習力から,人間関係や信頼関係の構築という課題へと変わってきました.特に学びの最終段階である臨床実習という対人スキルがその成否を左右する場面では,そうした課題が顕在化するため,学生指導上,教員や臨床実習指導者の悩みの種となっています.コミュニケーション力は良好な対人関係構築に大きくかかわってくるため,特に医療職にとってはきわめて重要な基本的資質とされます.私たちはさまざまな身体的・精神的不調に悩む方々を対象とし,その方々から生身の,また時には声にならない「声」を引き出し,それを専門職として解釈したうえで対応しなければなりません.病める方々の真の訴えを引き出し,十二分に理解する力が求められます.相手を理解し受け止めたうえで,自分は何をどう伝えるかを意識化するには,著者が指摘するとおり,まず自己の確立が必要となります.

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 「血液中にUFOが飛んでいる?」

 本書の第2章冒頭のタイトルです(p.36).何を言っているのかわからない人が大半かと思います.しかし,本書を読み進めていけば,自ずと血液中にUFOが存在することが,いかに生理学的に理に適っているのかがおわかりいただけるでしょう.

文献抄録

編集後記 内山 靖
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 第51巻第5号をお届けします.

 安全は,マズローの欲求段階説を紹介するまでもなく,理学療法や医療のみならず,すべての人が日常生活を送るうえで共通した優先課題です.日本医師会では,綱領で安全・安心な医療供給体制を謳っています.

読者の声募集

基本情報

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理学療法ジャーナル
51巻5号 (2017年5月)
電子版ISSN:1882-1359 印刷版ISSN:0915-0552 医学書院

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