臨床実習サブノート 歩行のみかた・2
変形性膝関節症
山田 英司
1
Eiji Yamada
1
1回生病院関節外科センター附属理学療法部
pp.457-462
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200876
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はじめに
歩行分析の目的は,歩行の安全性,持久性の確認,異常運動の観察,歩行が困難となっている原因や疼痛との関連性を推測したり,関節の機能障害が歩行に及ぼす影響を分析するためなど多岐にわたっています.臨床において,対象者の訴えや症状から病態を推測し,仮説に基づき適切な検査法を選択して対象者に最も適した介入方法を決定していく一連の心理的過程を臨床推論と言います.
上述したように,動作分析の目的はさまざま存在しますが,最も多いのは,臨床推論の過程のなかで,動作を観察し,正常運動との比較や特徴的な運動を捉えることにより,動作障害の特性を明らかにし,他の検査・測定結果との関連性を分析し,治療プログラム立案の一助とすることではないかと考えられます.簡単に言えば,変形性膝関節症患者を対象とする場合,患者の訴える疼痛の原因と病態を考え,問題点を明らかにし,治療プログラムを立てるための評価の一つとして行うことが一般的です.このような臨床推論の思考過程は,推理小説の犯人を捜す過程に例えるとわかりやすいでしょう.
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