特集 歩行の安全性
歩行の安全性にかかわる心理機構
樋口 貴広
1
Takahiro Higuchi
1
1首都大学東京大学院人間健康科学研究科
キーワード:
知覚・認知情報処理
,
障害物回避
,
視覚
Keyword:
知覚・認知情報処理
,
障害物回避
,
視覚
pp.397-403
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200862
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はじめに—情報処理としての心理機構
“心理”という言葉は,一般用語としては,気持ちや考えなど,本人の心的状態や思考内容を指す言葉である.対して,学術用語としての心理は,心的状態や思考を生み出す脳内情報処理を包含している.すなわち,心的状態や思考内容は,脳に入力された多様な情報に対する知覚・認知的な情報処理のプロセスを経てつくり出されており,そうしたプロセスの全貌を解明することが,学問としての心理学の対象となっている.本稿における心理機構とは,こうした知覚・認知情報処理のプロセスを指している.本稿では,歩行の安全性を評価する際に,歩行を形づくっている知覚・認知情報処理の働きを常に意識することが,歩行を不安定にしている問題の特定や,治療方略の立案に役立ち得ることについて解説する.
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