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国家には国民の安全と安心を保障する責務があり,国民が安心して暮らしていくための社会保障が法律によって規定されている.病気に対しては医療法(1948年制定),介護に関しては介護保険法(2000年施行)があり,医療提供体制は国民皆保険(1961年施行)を基本に整備されている.地域の医療需要や医療提供の実態にあわせて医療計画(1985年導入)が立案され,医療圏ごとに基準病床数を算出して都道府県が認可し,20人以上の収容施設を有するものが病院とされる.保険診療で認められた検査や治療が保険医療機関で行われれば,費用は患者による自己負担と保険給付により当該機関に支払われ,保険診療料は診療報酬制度によって定められる.
病床区分は医療法によって,結核病床,精神病床,感染症病床,療養病床(2001年創設,主として長期にわたり療養を必要とする患者を入院させる病床),一般病床(上記以外の患者が入院する病床),に分類され1),保険医療機関種別(特定機能病院,一般の病院,有床診療所など)と看護配置,平均在院日数に照らして入院基本料が決まる.また特定機能をもつ病棟(救命救急病棟,集中治療病棟,小児集中治療病棟,ハイケアユニット,地域包括ケア病棟,回復期リハビリテーション病棟,緩和ケア病棟など)に入院の場合は入院基本料より高い特定入院料が算定できる.こうした病床区分や特定機能ごとに設備,病床面積,廊下幅,人員配置,医療区分,ADL区分,重症度,医療・看護必要度,在宅復帰率,平均在院日数などの基準が詳細に規定される.重症患者ほど人的・物的医療資源を多く必要とするため診療報酬単価は高く設定されるが,日数経過とともに保険点数は下がる仕組みとなっており,患者の回復に応じて高度の医療行為が不要となれば,速やかに状態にあった病棟へ移るよう促される.
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