甃のうへ・第46回
感じることを大切に
堀口 遥
1
1舞鶴共済病院リハビリテーション科
pp.434
発行日 2017年5月15日
Published Date 2017/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200869
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理学療法士には,医療人としてさまざまな機能障害をもつ方々の人生に寄り添うことが求められますが,その意味を私なりに解釈できたのは臨床10年が過ぎたころ,ある40歳台女性の脳卒中理学療法を経験したときのことでした.
発症3週の回復期の時期,まだ障害受容の否認期の最中「歩けますかね」と,私を不安そうにみつめるその表情を,今も忘れることができません.私は予後予測に従い,平行棒外歩行不能であった女性に「1か月後に病院内を自由に歩きましょう」と話をしました.そしてさまざまな方法のなかから,荷重連鎖障害への対応として下肢抗重力機構の賦活,また歩行の難易度調整を図りながら行う運動学習を可能にするツールの一つであるプラスチック製長下肢装具(plastic knee-ankle-foot orthosis:P.KAFO)を作製し,完成後は1日約2時間の練習時間を使い理学療法を行いました.その結果,発症4週(装具療法開始1週)で10m歩行19.6秒,7週(装具療法開始4週)で8.2秒となり,自立歩行獲得の段階で2nd stage recoveryのピークへと向かっていくこととなりました.
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