臨床婦人科産科 68巻10号 (2014年10月)

今月の臨床 診療ガイドライン婦人科外来編2014─改訂と追加のポイントを読み解く

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●癌種,組織型,分化度,進行期,年齢,合併症などを勘案したうえで施行を決定する.

●再発子宮体癌,低悪性度子宮内膜間質肉腫,乳癌の既往は禁忌.

●子宮体癌でも,根治の可能性が高いと判断された場合には,十分な説明のうえ行うことができる.

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●「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2011」では「筋層内・漿膜下子宮筋腫で保存療法を希望する場合の対応はどうするか」というCQであったが,妊孕性温存の希望・必要の有無で分け2つのCQになった.

●妊孕性温存の希望・必要性のある症例について,筋腫核出術の適応を中心にAnswerが作られた.

●症状を有する場合,筋腫の長径が5〜6 cmを超える場合,これ以下でも数が多い場合には手術を検討する.

●前回妊娠分娩時に子宮筋腫による障害があった場合は核出術を勧める.

●無症状,長径5〜6 cm以下で数も多くない場合は,定期的に経過観察する.

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●妊孕性温存の希望の有無 : 妊孕性温存の希望とは単なる子宮の温存ではなく,妊娠・出産の希望の有無とした.

●症状の有無により分別 : 日常生活に影響を及ぼす症状がある場合や巨大な場合は,単純子宮全摘術を行う.

●症状改善のためには : 子宮内膜焼灼術,LNG-IUSやエストロゲン・プロゲスチン配合薬,GnRHアゴニスト療法,子宮動脈塞栓術(UAE)などを行う.

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●GID治療は日本精神神経学会ガイドラインに基づき,診断と治療を行うが,専門医療チームが担当し,産婦人科医も加わる.

●ホルモン療法は,原則としてMTFに対しては女性ホルモン製剤,FTMに対しては男性ホルモン製剤の投与によって行う.

●ホルモン療法を行う際には,作用の確認に加え,副作用の発現に注意し,定期的に採血などを行う.

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●一度のHSGによる診断だけで卵管性不妊と確定診断するのは危険である.

 ⇒特に卵管角部閉鎖では,異物や筋肉の攣縮の除外診断が重要である.

●卵管の障害部位や所見により取り扱いが異なる.

 ⇒卵管近位部位の閉鎖では,FTや選択的卵管通水が検討される.

 ⇒卵管周囲癒着・卵管采癒着などの卵管遠位部位の閉鎖では,腹腔鏡手術などを考慮する.

●体外受精症例では,HSGによる卵管留水症の確認が重要である.

 ⇒ART不成功例では卵管の評価を必ず行い,卵管留水症を認めた場合は卵管に対する手術を考慮する.

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●女性の年齢と不妊期間を最重要視して検査や治療の方針を立案する.

●2次検査として腹腔鏡検査と子宮鏡検査があることを提案する.

●治療介入する場合は,ゴナドトロピン周期の人工授精,あるいは生殖補助医療が勧められる.

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●続発無月経は生理的無月経以外で,これまであった月経が3か月以上停止した病的無月経をいう.

●排卵障害を伴う無月経と子宮性無月経に二分されるが,習慣的に独立した項目として扱われている.

●プロゲステロン試験はエストロゲン測定値と乖離が大きいため,続発無月経の診断には含めなかった.

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●問診により無月経の原因を推定できることがあり,既往歴や家族歴をしっかり聴取すべきである.

●2次性徴があれば卵巣機能があることが推定でき,無月経原因の絞り込みができる.

●無月経をきたす疾患の鑑別では,専門的な遺伝学的検査が必要になることがあり,適切な検査は専門医へ委ねる.

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●接触皮膚炎を念頭に考え,原因物質を詳細な問診から抽出/同定し,これを除去・排除する.

●局所治療には皮膚の保護が優先され,重症な場合はステロイド外用薬を用いるが,使用上の注意を守る.

●改善が認められない場合は他疾患を考慮し,しかるべき専門医への紹介を躊躇しない.

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●女性性機能障害の管理にあたり,まず性歴,既往歴,内服薬,手術歴,社会的背景などを含む問診により性機能障害の分類をする.

●性交疼痛障害に対しては,腟の潤い不足が原因の際は潤滑ゼリーの使用,エストロゲン欠乏が原因の際はエストロゲン投与を考慮する.

●性交疼痛障害以外の性機能障害の治療には専門的な知識,および十分な経験が必要である場合が多く,管理が困難と判断された際には,専門医受診を勧める.

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●リスク評価に基づくLDL管理目標設定を最初に行う.

●治療では,生活習慣改善を先行し,管理目標が達成できなければ薬物治療を行う.

●薬物治療では,スタチンが第一選択である.

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●原発性骨粗鬆症の診断基準と治療開始基準の改訂に基づいた内容に変更された.

●脆弱性骨折の有無と部位および原則として腰椎または大腿骨近位部骨密度から診断する.

●骨折予防の観点から,治療開始基準は診断基準と異なり危険因子を考慮して判断される.

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●新薬が開発されているが,産婦人科外来診療では依然としてビスホスホネート薬とSERMが第一選択薬である.

●閉経後比較的早期で更年期症状を伴う女性では17βエストラジオールを用いたホルモン補充療法を行う.

●病態に応じてカルシウム薬,活性型ビタミンD3薬,ビタミンK2薬を主治療薬に併用する.

6.骨粗鬆症を予防するには? 北川 浩明
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●成長期にクラブ活動などの継続した運動と十分なカルシウム摂取を行い,高い最大骨量を獲得しておく.

●閉経後は活発な身体活動とカルシウム,ビタミンD,ビタミンKの積極的な摂取により骨量を維持する.

●長期のエストロゲン欠乏状態を伴う婦人科患者や更年期以降の女性では,予防的なホルモン補充療法を行う.

連載 FOCUS

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はじめに

 顕微授精(intracytoplasmic sperm injection : ICSI)技術1)の確立・普及によって,男性不妊の多くの症例で授精,妊娠が可能となり,従来は絶対不妊とされていた無精子症においても精巣精子採取術(testicular sperm extraction : TESE)により得た精子を用いて挙児を得ることが可能となった.通常,射精障害や閉塞性無精子症に対してはconventional TESE(c-TESE)が,非閉塞性無精子症に対しては顕微鏡下精巣精子採取術(microdissection TESE : MD-TESE)が施行される.顕微授精が標準治療となりつつあるmodern ARTの時代においては,精子の供給が可能であれば挙児のチャンスがあるといえる.射精液中に精子が存在しない無精子症患者に対する治療としては,男性不妊治療としての泌尿器科的アプローチが大きな役割を担ってくる.本稿では,無精子症患者に対するマネジメントについて,診断および治療を中心に解説する.

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 現在使用できる緊急避妊法を大別すると,Yuzpe法,レボノルゲストレル内服,酢酸ウリプリスタル,銅放出型子宮内避妊器具(IUD)の4方法である.米国では,レボノルゲストレル1.5 mgを内服する方法(製品例 : Plan B)が多用される.

 本稿では,2014年3月にカナダ保健省より出されたレボノルゲストレル使用による緊急避妊の有効性と体重に関する勧告,およびそれに対するカナダ産婦人科学会の会告を示す.

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

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症例

患者

 50歳,2経妊2経産,身長163 cm,体重93 kg(BMI : 32).

主訴

 下腹痛.

既往歴

 13歳 : 虫垂切除術,20歳 : 腎盂腎炎.

現病歴

 数か月前から下腹痛を自覚するようになり当院産婦人科を受診した.その他の愁訴はなかった.

検査所見

 経腟超音波とCTで,一部に乳頭状部分を認める壁の厚い多囊胞状の97 mmに腫大した右卵巣を認めた.CA125は103 U/mL,CA19-9は269 U/mLと上昇していたが,その他の腫瘍マーカーを含めた生化学検査では特記すべき異常はなかった.

連載 Estrogen Series

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 大規模RCTであるWHI(Women’s health initiative)の結果がはじめて発表されたとき,エストロゲンとプロゲスチンの組み合わせで行われるホルモン療法(hormone therapy : HT)では24%の乳癌発生率の増加が見られ,医療界やマスコミを驚かせた.

 しかし,この24%という数字は,以下のような観察に基づいている.

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要約

 症例は63歳.卵巣癌の疑いで当科へ紹介受診.画像検査にて,骨盤内に13 cm大の脂肪成分を含む囊胞性腫瘍とそれに連続する充実性腫瘤があり.卵巣癌の疑いで子宮全摘術と両側付属器切除術,大網切除術,またS状結腸間膜への浸潤を認めたため,切除後端々吻合を施行した.病理診断は奇形腫の扁平上皮癌への悪性転化であった.術前,白血球数17,500/μL,補正血清カルシウム13.6 mg/dLと高値であったが,術直後いずれも低下した.術後weekly Paclitaxel─Carboplatin療法を開始したが,汎血球減少症のため中止した.同時期より白血球数とカルシウム値が上昇し,意識レベルが低下した.この時の補正カルシウム16.5 mg/dL,PTHrP 34.6 pmol/Lであり,腫瘍のPTHrP産生による高カルシウム血症が考えられた.その後白血球数も20,000/μL以上に上昇した.高カルシウム血症の加療を中心に行うも術後130日癌死に至った.奇形腫悪性転化によるPTHrP, G-CSF産生は稀だが,カルシウム値と白血球数が病勢に鋭敏に反映しており,複合的な治療が必要である.

お知らせ

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 当研究会は,スポーツにおける正しい医学的知識を広く啓蒙し,女性のライフサイクルにあわせた健康管理ならびにその増進をはかることを目的としています.医師,看護職,研究者,スポーツ指導者など,女性とスポーツに関わる人であれば,どなたでも参加できます.奮ってご参加ください.

■日 時:平成26年12月13日(土) 13時〜17時(予定)

■場 所:東京慈恵会医科大学 高木2号館地下1階南講堂

    東京都港区西新橋3─19─18

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投稿規定

著作財産権譲渡同意書

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次号予告

編集後記 藤井 知行
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 暑かった8月が終わりました.もっとも,暑かったのは関東地方だけらしく,西日本や北日本は連日の大雨で日照時間が非常に少なく,災害も発生して,冷夏多雨の8月であったとのことです.最近涼しくなったと喜んでいるのは,関東に住んでいる私たちだけなのかもしれません.日本の気候は,私が子供のころと比べると,特に夏,ずいぶん変わってきました.小学生だった頃の夏休みの日課と言えば,麦わら帽子をかぶって,毎日,セミ取りに近所の木々を回ることでした.家に帰っても冷房などというものはなく,水につけて冷やしたスイカを食べ,夜は窓を開け放して寝ていました.それでも熱中症で亡くなったというニュースはほとんど聞かなかったような気がします.最近の35℃を超えるような暑さは異常な感じがします.雨も最近は,降れば土砂降りといった感じで,まるでスコールです.日本はもはや温帯ではなく,亜熱帯,いや熱帯になったのかなと思います.実際,東南アジアなどの熱帯の病気だと思っていたデング熱が,国内で多数発生したと大騒ぎになっています.これまでは蚊にさされても痒いだけでしたが,これからは,そうはいかないようです.地球温暖化のせいだとか,都市化のせいだとか,偏西風の蛇行のせいだとか,気象学者がいろいろなことを言っていますが,どれが正しいのか専門家でない私にはよくわかりません.ただ,最近強く感じられるのは,日本は,涼しい欧米の国ではなく,暑い国が多いアジアの国の1つだということが,はっきりしてきたということです.それなのに,私たちは,まだ欧米の方ばかり見ている気がします.一方,アジアをみると,十分な医療を提供できないでいる国がたくさんあります.日本がアジアの産婦人科学をリードする国の1つであることは間違いないのですから,アジアの一員として,医療に恵まれないアジアの人々のために,もっと力を発揮しなければならないと感じています.

基本情報

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臨床婦人科産科
68巻10号 (2014年10月)
電子版ISSN:1882-1294 印刷版ISSN:0386-9865 医学書院

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