症例
PTHrPとG-CSF産生に伴い高カルシウム血症と白血球増多を呈した成熟囊胞性奇形腫悪性転化の1例
小菊 愛
1
,
竹内 康人
1
,
佐原 裕美子
1
,
奥杉 ひとみ
1
,
近田 恵里
1
,
川北 かおり
1
,
片山 和明
1
,
橋本 公夫
2
1西神戸医療センター産婦人科
2西神戸医療センター病理科
pp.1027-1032
発行日 2014年10月10日
Published Date 2014/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200007
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要約
症例は63歳.卵巣癌の疑いで当科へ紹介受診.画像検査にて,骨盤内に13 cm大の脂肪成分を含む囊胞性腫瘍とそれに連続する充実性腫瘤があり.卵巣癌の疑いで子宮全摘術と両側付属器切除術,大網切除術,またS状結腸間膜への浸潤を認めたため,切除後端々吻合を施行した.病理診断は奇形腫の扁平上皮癌への悪性転化であった.術前,白血球数17,500/μL,補正血清カルシウム13.6 mg/dLと高値であったが,術直後いずれも低下した.術後weekly Paclitaxel─Carboplatin療法を開始したが,汎血球減少症のため中止した.同時期より白血球数とカルシウム値が上昇し,意識レベルが低下した.この時の補正カルシウム16.5 mg/dL,PTHrP 34.6 pmol/Lであり,腫瘍のPTHrP産生による高カルシウム血症が考えられた.その後白血球数も20,000/μL以上に上昇した.高カルシウム血症の加療を中心に行うも術後130日癌死に至った.奇形腫悪性転化によるPTHrP, G-CSF産生は稀だが,カルシウム値と白血球数が病勢に鋭敏に反映しており,複合的な治療が必要である.
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