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暑かった8月が終わりました.もっとも,暑かったのは関東地方だけらしく,西日本や北日本は連日の大雨で日照時間が非常に少なく,災害も発生して,冷夏多雨の8月であったとのことです.最近涼しくなったと喜んでいるのは,関東に住んでいる私たちだけなのかもしれません.日本の気候は,私が子供のころと比べると,特に夏,ずいぶん変わってきました.小学生だった頃の夏休みの日課と言えば,麦わら帽子をかぶって,毎日,セミ取りに近所の木々を回ることでした.家に帰っても冷房などというものはなく,水につけて冷やしたスイカを食べ,夜は窓を開け放して寝ていました.それでも熱中症で亡くなったというニュースはほとんど聞かなかったような気がします.最近の35℃を超えるような暑さは異常な感じがします.雨も最近は,降れば土砂降りといった感じで,まるでスコールです.日本はもはや温帯ではなく,亜熱帯,いや熱帯になったのかなと思います.実際,東南アジアなどの熱帯の病気だと思っていたデング熱が,国内で多数発生したと大騒ぎになっています.これまでは蚊にさされても痒いだけでしたが,これからは,そうはいかないようです.地球温暖化のせいだとか,都市化のせいだとか,偏西風の蛇行のせいだとか,気象学者がいろいろなことを言っていますが,どれが正しいのか専門家でない私にはよくわかりません.ただ,最近強く感じられるのは,日本は,涼しい欧米の国ではなく,暑い国が多いアジアの国の1つだということが,はっきりしてきたということです.それなのに,私たちは,まだ欧米の方ばかり見ている気がします.一方,アジアをみると,十分な医療を提供できないでいる国がたくさんあります.日本がアジアの産婦人科学をリードする国の1つであることは間違いないのですから,アジアの一員として,医療に恵まれないアジアの人々のために,もっと力を発揮しなければならないと感じています.
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