カラーグラフ 臨床家のための病理学・5
外陰部疾患・Ⅳ
滝 一郎
1
1九州大学医学部産婦人科
pp.476-477
発行日 1972年6月10日
Published Date 1972/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204615
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外陰部に発生する嚢胞性腫瘤には,非腫瘍性,炎症性,腫瘍性のものを含めて,表皮嚢胞,毛髪嚢胞(pilonidal, cyst),脂腺嚢胞(sebaceous cyst),Fox-Fordyce病,汗腺腫の一部,汗管腫(syringoma),バルトリン腺嚢胞,同膿瘍,スキーン腺嚢胞,子宮内膜症,副乳腺嚢胞などがある。バルトリン腺嚢胞,膿瘍以外は稀である。
表皮嚢胞と脂腺嚢胞の内壁はともに重層桶平上皮でおおわれ,内容はチーズ様である。また外観上区別し難い。主として大陰唇に発生し,多発することが多く,発育は遅く,球状で,無痛性である。大部分は0.5cm以内である。従来脂腺嚢胞(閉塞した毛嚢—脂線管に生ずるとされている)と称されたもののほとんどが表皮嚢胞と同一の組織像であり,前者は後者に属するとの説が有力である。
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