総合リハビリテーション 40巻7号 (2012年7月)

特集 リハビリテーションにおける動作解析

今月のハイライト
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 障害者の動作を分析することは古くから行われており,計測装置があれば多くのことがわかるのではないかと期待し,大規模な動作解析装置を導入する施設も増えてきている.しかし,実際には計測器がほとんど稼動していなかったり,計測は行うがデータが蓄積されるだけでどうやって臨床に役立てたらよいかわからないという声が多く聞かれる.リハビリテーション分野において,臨床の現場に関わる臨床家は何を考えどのように動作解析を活用したらよいのか.今回の特集では,各分野の先生方に,リハビリテーションにおける動作解析について,国内外の動向をふまえ,各分野の取り組み,今後の課題,展望などについてご解説いただいた.

動作解析の現状と課題 江原 義弘
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はじめに

 山本1)は総合リハビリテーション39巻4号の巻頭言「歩行分析はなぜ役に立たないか」の結びで「簡単にデータを分析・理解する近道はないのかもしれません」と締めくくっている.本特集はそれに応えて「近道がないのであれば,じっくりと歩行分析の足下を固めよう」という意図で企画されたと言える.そこで動作解析について現状ではどこまでできて,何ができなくて,今後どうしたらよいのかを考えてみよう.

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はじめに

 脳血管障害による片麻痺の患者数は国内で130万人以上であり,理学療法士が生涯で片麻痺者のリハビリテーションに関わる割合は86.9%と,多くの疾患のなかで最も高いと言われている1).片麻痺者の動作解析の研究は古くから数多く行われ,これらの研究によってさまざまなことが明らかになってきている.しかし,動作解析が片麻痺者のリハビリテーションに十分に役立っているとはいい難い現状である.片麻痺者の動作解析は下肢の動作のみでなく上肢についても数多く行われているが,紙面の関係上,本稿ではもっとも関心が高い歩行分析のみを対象とした.ここでは過去の歩行分析の研究からわかった片麻痺者の歩行の特徴,パフォーマンスの指標としての非対称性,歩行速度を増加させる戦略,歩行のパターン分類を示し,最後に今後の課題について述べる.なお,片麻痺者の治療に用いられる装具や杖,電気刺激などの効果に関する研究については割愛した.

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はじめに

 対麻痺者の移動手段として車いすが使用されるが,日常生活の多くの時間を座位で過ごすことで骨粗鬆症や関節の拘縮などの筋骨格機能の低下が生じる1).装具を用いた立位・歩行訓練はこれらの問題を改善するだけでなく,周囲と同じ視線で会話できるなどの心理的なメリットもある.装具歩行は,車いすに比べてエネルギー消費が高く移動速度が低いために実用的な移動手段ではないが,装具と電動モータや機能的電気刺激を併用して歩行効率を改善するシステムの開発が国内外で進められている2,3).将来的に実用化が期待される脊髄再生医療による下肢機能の再建に向けて,歩行装具や歩行補助システムを用いたリハビリテーションの重要性が指摘されている4)

 これまでにさまざまな装具が開発されているが,いずれも歩行速度が遅いうえに身体負荷が高いため長時間・長距離の歩行が困難である.身体負荷や歩行効率を定量的に評価する方法として,呼気ガス分析や心拍数に基づく方法などが使われる.しかし,これらの分析だけでは装具の設計と歩行効率の因果関係がブラックボックスであるため,装具をどう改良すれば身体負荷が軽減されるかを見通すことは容易ではない.歩行の動作解析は,装具の改良による動作パターンの変化を定量的に評価することができる.その動作の違いが歩行効率に与える影響を力学的に分析・考察することによって,合理的な設計・改良の指針が立てられる.本稿では,最初に対麻痺者用の歩行装具とその歩行パターンについて説明する.次に,装具の機能性を定量的に評価するための方法について紹介する.最後に対麻痺者の歩行再建に向けた動作分析技術の展望について述べる.

義足患者 月城 慶一
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はじめに

 義足歩行は切断部位によって歩行能力と歩様特徴が異なる.大腿義足装着者は歩行能力が義足の膝継手性能に大きく依存し,動作解析も盛んに行われている.そこで大腿義足装着者に焦点をあて,大腿切断によって失う機能(=大腿義足に求められる機能)について解説し,大腿義足の発展の歴史を述べる.そして大腿義足装着者の歩行や日常生活動作(activities of daily living;ADL)さらには,生活の質,生命の質(quality of life;QOL)はどのように変化していったのか,大腿義足装着者を対象とした動作解析をまとめてみた.

小児患者 根本 明宜
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はじめに

 本特集ではリハビリテーション分野における動作解析の状況を概観することが目的であり,本稿では小児分野における動作解析の現況を報告する.小児領域を中心に動作解析の進歩を概観したうえで日本での状況を確認し,現時点での最新技術とこれからの展望について概説したい.

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はじめに

 歩行分析装置を使用する主な目的は,カメラと3次元床反力計との組み合わせにより,運動力学的データ(kinetic data),運動学的データ(kinematic data)を計測することであり,股・膝関節に関するその信頼性はほぼ確立されている1).これらのデータは,VICON社の提供するPolygon®に代表される可視化ソフトウェアにより,重心と身体との関係などにおいて直感的な検討が可能である2).同じくVICON社のNexus®は,計測時に表面筋電図などとともにリアルタイムな可視化を実現するプラットフォームソフトウェアであり,臨床応用への期待が大きい3).本稿ではこれらの歩行分析装置の機能を利用した,ロボット支援リハビリテーションについて検討する.

巻頭言

福祉用具雑考 井上 剛伸
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 先日,東北の被災地を訪問する機会をいただきました.釜石は,街自体は動いているものの,未だ鉄骨がひしゃげた状態のビルがそのままになり,津波の威力に改めて驚きを感じました.大槌は,雪原でした.小高い丘の上の公民館から撮られた被災前の写真から,その雪原にびっしりと家が建っていた状況を知らされ,ただただ呆然とするのみでした.1年近くたって,まだこの状況というのは…….まだまだ復興に向けた支援が必要であることを再認識しました.

 ただ,復興は着実に進んでいます.仮設住宅や,仮設商店街など,徐々にではありますが,生活に必要な環境ができはじめ,復興計画もまとまりつつあるとのことでした.大槌北小学校の校庭に設置された仮設商店街には,40店舗ほどの店がならび,平日の午前中ではありましたが,買い物にいらっしゃる方々がみうけられました.そこで,お一人の高齢の女性が,歩行車を使って,買い物に来られている光景に遭遇しました.私が拝見したのは,もう帰られるところで,歩行車に買い物袋をぶら下げて,雪でぬかるんだなか,ゆっくりゆっくり,たまに地面の凹凸をよけるように歩行車を持ち上げながら,ゆっくりゆっくり歩かれていました.商店街の敷地から,少し下った坂道を抜けて,ゆっくりゆっくり帰路につかれていました.

講座 失語症とリハビリテーション・第2回

最新のアプローチ 立石 雅子
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失語症に対する言語リハビリテーションの歴史

 失語症に対してどのようなリハビリテーションが行われているか,最新のアプローチを含め概観する.それに先立ち,失語症に関する言語治療の歴史的流れを振り返っておく.

 Brocaをはじめとする多くの研究者によって19世紀の半ばに大脳局在論が成立した.機能が回復するという事実を説明するために,局在論的な立場からは機能の代償,再構成など,また全体論的な立場からは抑制作用の解除など,さまざまな立場に立つ仮説がたてられた.これらの仮説のなかには,現在にも引き継がれているものがある.失語症に対するリハビリテーションは機能の改善を目的として,20世紀半ばに本格的に開始された.その背景には脳損傷により障害された大脳機能が回復することがあると多くの研究者により示されたことがある.機能が回復するという事実を説明する仮説として,局在論的な立場からは機能の代償,再構成などがあり,一方,全体論的な立場からは抑制作用の解除という考え方などがある.Rosner1)によれば,これらの考え方は再構成あるいは再編成という仮説と再建という仮説とにまとめることができる.

実践講座 がんのリハビリテーションにおけるリスク管理・第2回

骨転移 宮越 浩一
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はじめに

 近年のがん治療の進歩とともにがん患者の生命予後は改善しつつある.これに伴いがんそのものによる障害や,手術・化学療法後の障害に対するリハビリテーション処方が増加傾向にある.さらに生命の質が重要視されるようになってきており,日常生活動作(activities of daily living;ADL)改善を目的としたリハビリテーションはもちろんとして,生活の質(quality of life;QOL)向上の目的でリハビリテーションが処方される機会も増加しつつある1).このため進行がん症例もリハビリテーションの対象となる場合がある.進行がん症例においては時間の経過とともにがんの増大,内臓転移,骨転移を生じる.これらの症例では病状の進行とともにさまざまな合併症を生じ得る.

 この合併症のなかでリハビリテーションに関連が強い問題は骨転移と思われる.骨転移は脊髄の圧迫による麻痺や下肢の病的骨折による歩行障害などにより大幅なADL低下をもたらす原因となる.進行がん症例においても移動や排泄を自力で行いたいという希望は強く,これらの動作に伴う病的骨折のリスク管理に難渋することは多い.特に乳がんや前立腺がんなどは骨転移の頻度が高く,なおかつ生命予後は比較的良好であるために目標ADLの設定に苦慮する場面が多くみられる.このような背景はあるものの,近年は骨転移による病的骨折症例や脊椎転移による麻痺症例に対するリハビリテーションも一部の施設で実施され,その効果も報告されている2-4).今後は骨転移のあるがん症例に対しても積極的なリハビリテーションを実施する場面は増加していくものと予想される.

 本稿では骨転移症例における病的骨折の予測方法,および病的骨折や脊髄の圧迫による麻痺などの合併症予防方法について解説する.

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要旨:〔目的〕入院期リハビリテーション実施例を対象とし,重錘バンドを用いた膝伸展筋の1 repetition maximum(1RM)測定法の再現性と等尺性膝伸展筋力値による1RM予測の可否について検討する.〔方法〕対象は,当院入院患者176例(352脚)である.検者間および検者内における再現性検討のための対象は,176例中,各20例とした.1RMには重錘バンドを,また等尺性膝伸展筋力値には,HHDを用いて測定した.再現性の検討は,検者2名が検者間,検者内の測定を3日以内に2度実施した.統計学的手法は,級内相関係数(intraclass correlation;ICC)および単回帰分析を用いた.〔結果〕重錘バンドを用いた膝伸展筋の1RM測定法のICCは,検者間は0.88,検者内は0.92(検者A),0.88(検者B)であった.等尺性膝伸展筋力値より1RMを予測する回帰式は,1RM=等尺性膝伸展筋力値×0.187+0.188(R=0.81,R2=0.63,p<0.01)であった.〔結語〕重錘バンドを用いた膝伸展筋の1RM測定法の再現性は良好であることが示され,臨床応用可能と考えられた.それに加え,簡便な負荷設定の方法として,等尺性膝伸展筋力値から1RM(重錘バンド)を予測する回帰式が示された.

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要旨:〔目的〕de Quervain病に対する早期スプリント療法の効果を検証することである.対象は,妊娠中もしくは授乳時期の母親を含め,基礎疾患などの理由によりステロイド注射や薬物療法を見合わせた保存療法適応例22例23手である.〔方法〕疼痛誘発試験とADL評価を初診時と再診時において実施するとともに,初診時,スプリント装着直後,再診時における疼痛の程度を評価した.統計学的処理としては,初診時と再診時のADLについて対応のあるt検定を用いるとともに,初診時,装着直後,再診時における疼痛の経時的変化について一元配置分散分析を用いて比較検討を実施した.〔結果〕ADLの経時的変化においては,初診時と再診時において有意差を認め,疼痛の経時的変化においても,初診時と装着直後,初診時と再診時において有意差を認めた.〔結語〕周産期de Quervain病などの保存的治療における早期スプリント療法の有用性が示唆された.

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はじめに

 本邦では2002年にバクロフェン髄腔内投与療法(intrathecal baclofen therapy;ITB療法)の臨床試験が開始され,2006年から本格的な取り組みが開始されている.当初,小児への認可は見送られていたが,2007年より適応が拡大され,小児への施行が進んでいる.

 小児におけるITB療法の適応は脳性麻痺による痙縮が挙げられ,欧米では最も使用が多い1).ポンプ埋め込みにあたっては,スクリーニングとしてバクロフェン単回髄腔内投与を行い,痙縮軽減の効果をAshworth評点を用いて評価する.このスクリーニングでその効果が確認され同意が得られた場合,埋め込み術が施行される.ITB療法の効果には痙縮以外にも疼痛やジストニアの改善,Stiff-person syndrome・破傷風による筋緊張亢進状態の改善が報告されており2),その適応の拡大が期待されている.

 今回,スクリーニングとしてバクロフェン単回髄腔内投与を実施した小児の投与前後の機能評価や理学療法において,姿勢反射の獲得と運動機能改善効果を経験したので報告する.

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要旨:われわれは,脳卒中後嚥下障害に対し,経口摂取開始を「水飲みテスト」で判断し,訓練として「いわゆる嚥下訓練」でなく,起立訓練を中心に運動能力と体力の回復を主に行ってきた.これは脳卒中学会ガイドラインとかなり異なる方法なので,治療成績を調査した.対象は,発病から平均36.1日経過した亜急性期および慢性期脳卒中730例で,平均年齢70.7歳である.嚥下障害は261例(35.8%)にあり,経鼻経管栄養76例,胃瘻12例であった.治療は,嚥下困難食は他の報告と同じであったが,訓練として「いわゆる嚥下訓練」を行わず,起立訓練を1日300~500回行った.平均58.7日の入院で,3食経口摂取を回復したのは,経鼻経管53/76(70%),胃瘻7/12(58%)で,これは過去の報告より高率であった.回復しなかった例は,全例ADLが著しく低く,高率に意識障害と重度認知症がみられた.脳卒中後嚥下障害の治療として,運動能力と体力の回復を目的にした起立・着席訓練がより有効である可能性が示唆された.

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はじめに

 医療保険での維持期のリハビリテーションは「2年後にすべて介護保険へ移行する」,「次回の改定以降は認められない」.本年4月の診療報酬改定について,このような説明が一部で行われているが,これは誤りである.なぜなら,医療保険での維持期リハビリテーション給付の2年後の廃止はあくまで「原則」であり,まだ確定したわけではないからである.筆者は,それが2年後に廃止される可能性は低いと判断している.さらに筆者は,リハビリテーション医療を切れ目なく提供するためには,急性期から維持期まですべて医療保険で給付するほうが合理的だし,最低限医療保険と介護保険の併用を続けるべきと考える.以下,これらについて簡単に説明する.

連載 リハビリテーション関連書類の書き方

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 特別障害者手当は,「精神又は身体に著しく重度の障害を有し,日常生活において常時特別の介護を必要とする特別障害者に対して,重度の障害のため必要となる精神的,物質的な特別の負担の軽減の一助として手当を支給することにより,特別障害者の福祉の向上を図ること」を目的とした国の制度である1)

 本手当は,障害者の生活の基盤となる所得保障制度を確立するために,障害基礎年金とあわせて創設された経緯がある.障害基礎年金は障害により失われた稼得能力の補塡を目的とするのに対して,特別障害者手当は前述のように負担の軽減を図ることが目的となっており,自ずと判断の基準も異なっている2)

連載 汎用IT機器とリハビリテーション

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iPadについて

 「iPad」はアメリカのアップル社が2010年に発売した9.7型インチのタッチパネルを搭載したタブレット型端末機のことである.これまで机に向かって操作していたパソコンやインターネットが,居室のソファでもお気に入りのカフェでも気軽に快適に使えるようになり,ライフスタイルが大きく変わった.さらにさまざまなソフトウェアであるアプリケーション(以下,アプリ)により,自分流にカスタマイズできることによって,趣味や仕事の幅が大きく拡がった.直感的に習得できる操作性のよさは抜群であり,筆者の3歳の息子もお気に入りの歌手のプロモーションビデオを勝手に繰り返し再生している.電話回線を使って外出先でも使える3Gモデルと,主として建物内および周囲のWi-Fi(ワイファイ)環境のなかで行うWi-Fiモデルがある.訪問先で使えるものは3Gモデルであるが,Wi-Fiモデルであっても,モバイルWi-Fiルーター(基地局からの電波を受け,Wi-Fiに変換するための機器)があれば訪問先でも使える.ただし,すべてにおいて電話回線がつながらない地域においては,通信機能を使ったアプリは使えない.また,似たようなツールとしてiPhoneやiPod,その他のスマートフォンがある.基本的なアプリはiPadと共有しているものが多いが,画面が大きくて見やすい点やタッチパネル入力の行いやすさがiPadの優位性である.なお,アプリに関しては,iPadに標準装備されているもののほかに,アップル社のiTunesサイトから無料や有料でダウンロードして使えるものがあり,どのようなアプリを後付していくかによって同じiPadでもできることが変わる.

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 幸田露伴の『疾病の説』(『努力論』所収,岩波書店)は,明治44年の時点で先天性の病弱者に対する福祉の必要性を説いたという点において,刮目に値する作品である.

 この作品で露伴は,疾病には「招かずして得た疾病」と「招いて得た疾病」の2種類があるとして,自ら招かざる病を得た者の大部分は「不幸にして強健ならざる体質を享けて生れ来った者」であるとする.露伴は,「もし世に悲しむべき人ありとすれば,不幸にして良からぬ体質を享けて生れ来って,そしてそのために疾病の囚俘となって居る人」であり,「父母の悪血を遺伝し,乃至は薄弱の体質を遺伝して,そして1年中薬餌に親しむというが如き現果を受けて居るのは,実に同情に余りあることである」と主張するのである.

Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション

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 前回本欄で,今のところ園作品群に対抗できるのは「私たちの時代」(ディレクター/今村亮)1本のみであると記した.本作は,2006年から2008年にかけての奥能登は石川県立門前高校の女子ソフトボール部の面々と教師を被写体としたドキュメンタリーである.日焼けクリームや化粧,携帯電話とも無縁な女子高校生たちが,園作品群とそれを支える女優陣を圧倒した.

 本作が意識したのは,2008年6月8日午後に起きた「秋葉原無差別殺傷事件」である.同じ日の午後に高校女子ソフトボールの地方大会・決勝戦「津幡高校対門前高校」が北陸のグラウンドで行われていたという符号性がそのことを物語る.2008年とは,門前高校卒業式における答辞のとおり,「これから,私たちは何処へ向かえばいいのか.何を信じて,進んでいけばいいのか」と若者たちが呻吟する時代であった.

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リハビリテーションの連携

 わが国で初めて開催されたリハビリテーションの国際会議は,1965年に東京で開催された「第3回汎太平洋リハビリテーション会議」であり,同年に「理学療法士・作業療法士法」が制定され,その後,リハビリテーションは医学リハビリテーションを中心に大きく発展してきました.現在は,リハビリテーションに関わるさまざまな専門職が確立し,その専門性が高められています.

 このようななかで「日本リハビリテーション連携科学学会」は,障害のある当事者・家族の立場に立って,総合的なリハビリテーションサービスが適切な時期に適切な量と良好な質をもって提供されることをめざして,1999年3月に設立されました.医学,教育,社会,職業,工学などのリハビリテーションの諸分野,各種専門職,専門職能団体,専門諸機関との連携,さらにサービス利用者との連携を目的に活動し,13年が経過しました.第1回大会から第13回大会までの開催経過は表の通りです(表).

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14.回復期リハビリテーション病棟における難渋症例について(第3報)

 高知病院リハビリテーション科

  野並 誠二・奥村 悦之・柏  智之

  川村壮一郎・他

 当院(124床)は,2003年9月から48床の地域連携型回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟を開設し,整形外科の術後,脳疾患のリハを行う後方病院の役割を果してきた.病名によって入院対象患者が限定される回復期リハ病棟を維持していくために,事情のある(高齢で病状が不安定,認知症など)患者も積極的に受け入れている.今回,2010年度の当院回復期病棟における難渋症例3例(①急性期医療機関で主疾患の十分な治療が行われないまま転院してきた症例,②繰り返す誤嚥性肺炎症例,③自殺例)とその対応を報告した.この数年の間で,急性期病院との連携パスが導入され情報の共有は向上したが,脳疾患の救命率が向上したためか重症度は上がっており,また,重度認知症が増加している傾向にあり,今後も難渋症例が減ることはないと考える.病棟医師の複数体制,検査・加療のために一般病棟を有効に利用することなどで,それぞれの症例に対して対応しなければならないと考える.

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 鎌倉矩子氏,私にとって彼女は,もしファンクラブを創るなら真っ先に手を挙げたいと思える人である.今回は,医学書院から出版した「ADLとその周辺」を一緒に編集させていただいた縁で,発行者の三輪 敏氏から本書の書評を依頼された.

 本書は,ライターの勝屋なつみ氏が鎌倉さんと鎌倉さんをよく知る数人の人たちにインタビューした情報をまとめたものである.その内容は,単に鎌倉矩子氏の人物像を描いたものではなく,人間がいとなむ作業とは何か,作業療法とは何か,それを解明するための研究の視点や方法について,鎌倉矩子という人物がどのように考え,何をしたか,その過程をさまざまなエピソードを交えて紹介しており,そこには鎌倉さんの頭脳についていけるおもしろさが詰まっている.

お知らせ

第24回ADL評価法FIM講習会

第18回日本最小侵襲整形外科学会

第30回日本感覚統合学会研究大会

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文献抄録

投稿規定

投稿および著作財産権譲渡承諾書

次号予告

編集後記
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 先日デパートで「純国産線香花火」なるものをみつけました.線香花火の火花は段階を追ってその形が変化しますが,あの燃え方(「咲き方」と言うそうです)には,それぞれ,「牡丹・松葉・柳・散り菊」という名称がついています.線香花火で遊んだことがある人なら,「あれが牡丹で,あれが松葉で…」とイメージできるのではないでしょうか? ところが最近の輸入品では途中で玉が落ちたり,しぼんだりしてしまって,その4段階の起承転結を楽しむことができないそうです.途中でしぼんでしまうなんて,線香花火の楽しさは半減です.線香花火の醍醐味はあのプルプルの火の玉をいかに最後まで落とさずにいられるかにあると言っても言い過ぎではないはず.子どもの頃,姉とどっちが長く火の玉を落とさずにいられるか競ったものです.そして「柳」のあたりでぽろりと落としては悔し泣きしたものです.ああ,今の子どもは線香花火の本当の楽しさを知らないのだなあ,可愛そうに……,そうだ来週遊びに来る友人の娘に本当の線香花火を体験させてあげよう!

 と,1本50~100円もする「高級純国産線香花火」をつい買ってしまったことの言い訳でした.さてさて,来週火をつけてみるのが楽しみです.

基本情報

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総合リハビリテーション
40巻7号 (2012年7月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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