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編集後記
川
pp.1060
発行日 2012年7月10日
Published Date 2012/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102618
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先日デパートで「純国産線香花火」なるものをみつけました.線香花火の火花は段階を追ってその形が変化しますが,あの燃え方(「咲き方」と言うそうです)には,それぞれ,「牡丹・松葉・柳・散り菊」という名称がついています.線香花火で遊んだことがある人なら,「あれが牡丹で,あれが松葉で…」とイメージできるのではないでしょうか? ところが最近の輸入品では途中で玉が落ちたり,しぼんだりしてしまって,その4段階の起承転結を楽しむことができないそうです.途中でしぼんでしまうなんて,線香花火の楽しさは半減です.線香花火の醍醐味はあのプルプルの火の玉をいかに最後まで落とさずにいられるかにあると言っても言い過ぎではないはず.子どもの頃,姉とどっちが長く火の玉を落とさずにいられるか競ったものです.そして「柳」のあたりでぽろりと落としては悔し泣きしたものです.ああ,今の子どもは線香花火の本当の楽しさを知らないのだなあ,可愛そうに……,そうだ来週遊びに来る友人の娘に本当の線香花火を体験させてあげよう!
と,1本50~100円もする「高級純国産線香花火」をつい買ってしまったことの言い訳でした.さてさて,来週火をつけてみるのが楽しみです.
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