Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「私たちの時代」―未来の担い手を育てる確かな教育実践を探り当てる
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.1041
発行日 2012年7月10日
Published Date 2012/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552102607
- 有料閲覧
- 文献概要
前回本欄で,今のところ園作品群に対抗できるのは「私たちの時代」(ディレクター/今村亮)1本のみであると記した.本作は,2006年から2008年にかけての奥能登は石川県立門前高校の女子ソフトボール部の面々と教師を被写体としたドキュメンタリーである.日焼けクリームや化粧,携帯電話とも無縁な女子高校生たちが,園作品群とそれを支える女優陣を圧倒した.
本作が意識したのは,2008年6月8日午後に起きた「秋葉原無差別殺傷事件」である.同じ日の午後に高校女子ソフトボールの地方大会・決勝戦「津幡高校対門前高校」が北陸のグラウンドで行われていたという符号性がそのことを物語る.2008年とは,門前高校卒業式における答辞のとおり,「これから,私たちは何処へ向かえばいいのか.何を信じて,進んでいけばいいのか」と若者たちが呻吟する時代であった.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.