総合リハビリテーション 36巻8号 (2008年8月)

特集 高齢障害者の機能維持

今月のハイライト
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 介護保険制度改定の経過で,高齢障害者の介護予防の重要性が指摘されて以来,さまざまな介護予防の試みがなされている.しかし,その効果や問題点については,まだ十分な結論が得られていないように思われる.今回は介護予防の視点から,高齢障害者の特性や体力の推移,介護予防の取り組みなどを,現時点での実態について特集した.各先生方が,ご自分の研究や活動を背景にして巧みに執筆くださったので,非常に参考になる特集ができたと考えている.

高齢障害者の特性 大隈 秀信
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はじめに

 高齢障害者を特徴づける最も重要な現象は,老化である.老化とは,加齢とともに不可逆的に進行する分子的,形態的,機能的衰退であり,人生を経験するなかで誰しも免れることはできない.高齢になって障害をもつようになった場合,老化による身体の衰退が障害像を強調したり複雑にしたりする.身体の加齢による変化は,障害の原因となる疾患に疫学的,病理学的特徴を付与し,高齢障害者特有の臨床像を呈することがある.

 一方,高齢になるにしたがい,家族や社会との関係に疎遠や孤立化が生じており,その生活基盤の脆弱さは障害が発生し,何らかの介護を必要とする状態になったときに初めて露呈することもある.認知症の合併は,介護負担に重大な負の影響を与える.これらの心理社会的問題は,疾患や障害そのものの予後以上に患者の将来を決定づける深刻な要因となりかねず,高齢障害者の特性を考える場合に見逃せない.

 以上のことを踏まえ,在宅障害者の多くを占める脳血管障害を中心に,高齢障害者の特性を考えていきたい.

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はじめに

 体力(physical fitness)は,ストレスに耐えて生を維持していくからだの防衛体力と,積極的に仕事をしていくからだの行動体力とに大きく分類される(図1)1).さらに,行動を起こす能力としての筋・関節・骨系(筋力,瞬発力),動きの調節や技能としての神経系(敏捷性,平衡性,協応性,柔軟性,巧緻性),動きの持続としての呼吸循環系(筋持久力,全身持久力)などの項目に分けられる2-6)

 本稿では,身体的要素の行動体力を中心に高齢障害者の加齢による変化を述べるとともに,体力低下に伴う問題,運動の効果などについて概説する.

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はじめに

 介護予防目的で高齢者筋力向上トレーニングが市町村主体で行われ,ADL(activities of daily living)改善がみられると言われている1,2).しかし,筋力向上トレーニングとQOL(quality of life)の関連を評価する機会は少なく,筋力向上トレーニングがQOL向上に繋がっているのかどうかは明らかではない.

 筆者らは,静岡県東部3市町で行われた筋力向上トレーニングに参加した高齢者を対象に,トレーニングによって身体機能改善がみられたか,また健康関連QOLを測定する包括的尺度であるSF-36によってトレーニングの終了時にQOLの改善がみられたかどうかを調査したので報告する.

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はじめに

 「仮の要介護状態(quasi-in-need-of-care state;QUINOCS)」とは,介護が必要ないわゆる要介護状態にあっても,適切なリハビリテーション介入を行えば,ADL(activities of daily living)や介護負担度が改善する余地のある,いわば見せかけの要介護状態を指す1)

 高齢者が在宅環境において,仮の要介護状態に陥ってしまうのは,①急性期,回復期のリハビリテーションが不十分であるまま自宅へ退院し,そのままの状態で介護サービスを利用している場合,あるいは,②廃用や疾病の発生,増悪によって機能や能力が低下し,適切なアセスメントがなされないまま本来改善されるべき運動障害が放置されている場合などが想定される(図1)1)

 高齢者における運動機能の低下は,「加齢」に伴う不可避なものとして見逃されがちであるが,本来は介護サービスの利用を検討する前に,潜在的に到達可能なレベルまで機能や能力を高めるためのリハビリテーション介入がなされているべきである(リハビリテーション前置主義の実践).仮の要介護状態に対する対応は,運動機能の低下に伴う廃用の悪循環を断ち,機能と能力の維持を図れる体制を構築するためにも必要不可欠である.

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はじめに

 筆者は,保健所の所長として市町村の機能訓練事業への支援や地域リハビリテーション体制整備推進事業を通じて,地域リハビリテーションに関わってきた.一方,「介護予防」,とくに「運動器の機能向上」事業に関する複数の研究班に2005~2007年度まで参加している1).研究班の活動を通じて,介護予防事業に先駆的に取り組んでいる全国の10以上の自治体の実態をみる機会を得た2).また,複数の府県や市町から依頼を受けて,介護予防に関する研修会への協力をしており,多くの自治体の現状報告を研修会の場で聞く機会も得た.その経験からは,「全国の多くの自治体が介護予防事業に苦慮しており,十分な成果はでていない」と言わざるを得ない.介護予防事業がうまくいかない原因は,本事業の制度設計のまずさと国の一貫性のない方針変更である.

 本稿では,その現状と問題点をわかりやすく記述したい.また,現状の改善に少しでも貢献できればと,自治体職員をはじめ介護予防に関わる専門職向けのホームページ介護予防自慢一座(http://www.k5.dion.ne.jp/~kyichiza/)を開設し,介護予防に関する情報発信を行っている.先駆的事例などの具体的な情報については,ホームページへのアクセスをお願いする.

巻頭言

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 2008年2月13日に平成20年度の診療報酬の概要が示されました.2007年6月に始まったこの改定作業段階における厚生労働省保険局医療課での交渉のなかで,さまざまな問題を感じました.それらは単に診療報酬の問題ではなく,理学療法や理学療法士の根幹的な問題と思われることが多くありました.今回の診療報酬改定作業からみえてくる理学療法と理学療法士の将来について考えてみます.

 以前とは異なり,現在のリハビリテーション料は疾患別の項目となっています.それゆえに,今後はさまざまな類似した治療手技などがこのなかに放り込まれてくる可能性があります.診療報酬で言うところの「リハビリテーション」の定義や枠の論議をまず始める必要を感じます.ここの押さえをしっかりとしなければ,何もかもリハビリテーション料に押し込んでリハビリテーション料の伸びが大きくなり,リハビリテーション料単価を引き下げることになってしまいます.また,リハビリテーション料のなかに「理学療法料」の項目がなくなったのは,専門職理学療法士としては尊厳の問題と言えるほど大きなものです.そして,レセプト上は単位の範囲内であれば,理学療法でも作業療法でも言語聴覚療法でも構わないという考え方は容認できるものではありませんし,完全なる専門性の否定と捉えています.

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はじめに―倫理審査までの手続きなど

 筆者に与えられた課題は「リハビリテーションにおける臨床研究の研究倫理,適切な研究計画の立案と倫理委員会の利用について」である.そこで,研究計画(プロトコール)の倫理審査の観点を中心に研究倫理を述べてみたい.ただし,本稿はリハビリテーションに特化した記述ではなく,臨床研究全般に関わる内容であることをご容赦いただきたい.

 まず,臨床研究を実施しようとする者は,研究開始前にそれぞれの機関の窓口,たとえば治験管理室に研究を申請し,研究計画書が倫理委員会で審査される.倫理委員会の審査の結果,承認されれば申請した臨床研究開始の許可が得られる.この仕組みは,「ヘルシンキ宣言」,「臨床研究に関する倫理指針」,「疫学研究に関する倫理指針」に基づいて行われる.研究者はこれら倫理規範を理解し,遵守する必要がある.これらの規範は研究者を規制するという側面があると同時に,研究者を守るものでもある.少なくともこれらを遵守していれば,仮にプロトコールを承認した倫理委員会と実施した研究者が非難されることはあっても,研究者だけが批判を受けることはない.

 本稿では,倫理規範に従った倫理審査を円滑に進めるために,研究者が申請前に研究計画において留意すべきポイントをまとめた.ところで,倫理審査は「倫理」のみについての審査を意味しない.科学性なくして倫理性はあり得ない.患者を対象にして非科学的なことを行うのは倫理的ではない.逆に動物実験と同じ内容の研究デザインの臨床研究が認められないように,科学的でも倫理的でない研究はあり得るが,倫理性は科学性に勝るものであるという関係がある.また,科学性に関する審査に加えて,さらに研究者がその研究を自施設で安全に実施できることも審査の対象であり,倫理性に関する審査として不可欠である.

 筆者の所属する国立国際医療センターにおける倫理審査では,倫理委員会の審査に先立ち倫理小委員会の事前審査を経なければならない.この倫理小委員会には,当該の研究の領域には通暁していない他分野の研究者が委員として参加している.研究者が倫理規範を遵守していたとしても,倫理委員会や倫理小委員会が倫理規範を遵守した審査をしなければ,臨床研究の実施施設として不備であるということである.そこで,研究者の立場になることもある倫理小委員会の委員が,予備審査において注意すべき点についても通暁しているような努力が求められている.

 ところで,研究を申請する立場の人間にとっては,研究計画書(プロトコール)のひな形があると便利であろう.しかし,個々の臨床試験は,それが現在どの開発段階にあるのか,どのような研究デザインを用いるかによって相当する倫理が異なる.個別の研究の背景を無視したひな形は有害であろう.同様にレビューアーも審査のチェックリストを欲するかもしれない.しかし,レビューのポイントはその研究計画の記述の整合性だけでなく,複数の観点も含めた読み方が重要であると考える.このあたりは審査する側,される側の裏表の関係でもあり,当面は,「何が書いてあるか」ではなくて,「どのように書いてあるか」が問題になろう.

 研究計画書(プロトコール)をまとめるにあたっての必要な視点,注意点としては以下のようなものがあり,順次,解説していきたい.

 ・そのプロトコールは誰が読むと想定するのか?

 ・プロトコールの要件

 ・プロトコールに必要な記載事項

 ・プロトコールを書く視点

 ・研究デザイン(コアな部分)

 ・「中止」のもつ意味

 ・科学性の検証

 ・プロトコール記載の落とし穴

 ・その他の細かい留意点

実践講座 麻痺肢の手術療法とリハビリテーション・4

下肢の末梢神経性麻痺 亀ヶ谷 真琴
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二分脊椎症

 二分脊椎症(spina bifida)では,脊髄の麻痺高位により将来の移動能力やそれに伴う日常生活動作が左右される.そのため,まず新生児期から乳児期においては,四肢自動運動の有無(活発かそうでないかも評価する)や,pin prick検査による知覚(痛覚)領域を評価し,運動および知覚麻痺の脊髄レベルの確認を試みる.これにより,ある程度の将来的な運動機能および歩行能力の予測が可能となる.次に,四肢の変形や関節可動域(ROM)制限の有無についても確認する.高位麻痺レベルの二分脊椎症例では,先天性股・膝関節脱臼や関節拘縮などを合併することが多い.しかし,この時点の評価ですべてを予測することは不可能であり,両親・家族への説明はあまり悲観的な内容は避けるべきである.実際に,月齢が進むにつれて,四肢の運動が活発になる例や,ROMが改善してくる例もある.

 整形外科的な治療の最終目標は,二分脊椎症児・者の移動能力およびADL(activities of daily living)の向上である.そのために必要となる手術治療およびリハビリテーションについて,われわれの経験を中心に述べる.

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 要旨:回復期リハビリテーション病棟における脳卒中のクリニカルパス作成の指標とするために,Barthel Index(BI)の下位項目について自立達成期間,自立達成期間の症例間変動(幅),自立達成順序を,入院時ADL重症度別(軽度群,中等度群,重度群)に検討した.対象は発症から60日以内の脳卒中初回発作患者237名であった.運動能力,知的能力ともに重症度が3群で異なり,3群を機能的に同一に扱うことはできないと考えた.BI下位項目の検討では,各重症度群におけるBI下位項目の獲得順序は一定と想定することができ,難易度に従って低い順に項目を配列すると,食事,車いす,整容,便禁制,尿禁制,更衣,移乗,トイレ,歩行,入浴,階段の順であった.しかし,重症度が重度になるほど自立達成期間は長く,症例間変動が大きくなった.回復期リハビリテーション病棟のクリニカルパス導入にあたっては,入院時のADL重症度群で層別化して,ADL課題の順序性を考慮したADL獲得目標を設定し用いることが望ましいと思われた.

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 要旨:〔目的〕RA患者のADLに影響を与える要因について検討した.〔対象〕50歳代女性のRA患者84名である.〔方法〕年齢,圧痛関節数,腫脹関節数,CRP,DAS 28(CRP),骨破壊関節数,プレドニゾロン量とmHAQの関係について検討した.圧痛関節数と腫脹関節数はACRコアセットに用いる68関節を評価した.骨破壊は全身44関節のX線をLarsen法にて評価し,grade 2以上を骨破壊ありとした.骨破壊関節数は骨破壊ありとした関節の総数とした.統計学的な検討は,mHAQを目的変数とした重回帰分析にて行った.〔結果〕変数間の相関係数行列を考慮し,説明変数を全骨破壊関節数(mHAQとの相関係数0.54),DAS 28(CRP)(0.36),プレドニゾロン量(0.41)とした.この重回帰モデルの決定係数は0.44だった.そのうち0.33は全骨破壊関節数で説明された.〔結論〕RA患者のADLを保つには,関節炎を抑えることが有効であるが,最も重要なことは骨破壊を防止することであると考えられた.

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 要旨:〔目的〕培養細胞に温熱刺激を与え,三次元様に増殖する過程を調べ,細胞レベルで温熱効果を検討することを目的とした.〔対象〕培養細胞はマウス線維芽細胞と正常ヒト線維芽細胞を用い,また細胞が三次元様に増殖するための足場としてハイドロキシアパタイト(HA)と平面絹を用いた.〔方法〕マウス線維芽細胞とHAあるいはヒト線維芽細胞と平面絹を混合培養し,37・40・43・45℃で各10分間の温熱刺激を与え,三次元様増殖の形成過程を10週間観察した.〔結果〕ヒト線維芽細胞と平面絹の実験では,温熱処理後2週間目の三次元様増殖のできかけの割合が,40℃10分間群で非温熱処理群の3.2倍,43℃10分間群では8.6倍の高率となり,それぞれ有意差がみられた(p<0.05).〔結語〕本研究結果は,温熱療法の最適有効量を決定するための基礎となり,温熱療法の効果判定を細胞生物学的に示すための重要な知見になると考えられる.

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 要旨:新しい上肢運動機能評価法・Wolf Motor Function Test(WMFT)の日本語版を作成し,その信頼性と妥当性について検討した.WMFTは運動項目6項目と物品操作項目9項目の計15項目からなり,それぞれの動作に要する時間等を測定し,上肢運動機能を客観的に評価する.日本語版は,基準化された翻訳手順に従って作成した.信頼性・妥当性の検討を,脳卒中による片麻痺患者28例を対象として行った結果,内的整合性・検者間信頼性,共に高い信頼性を認めた.また,上肢運動機能評価法であるBrunnstrom Stageの上肢・手指,さらにSTEF(Simple Test for Evaluating Hand Function)との間において,有意な相関が認められ,基準連関妥当性の高い評価方法であることが示された.さらに,WMFTはSTEFに比べ,より重度の症例において上肢運動能力を詳細に評価することが示された.WMFTの臨床的有用性は高く,今後,本邦のリハビリテーション分野においても広く活用されることが期待される.

連載 新しい義肢のパーツ

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 前号では,さまざまな機構を用いた義足膝継手について紹介したが,今号ではこれらの機構にコンピューターを組み込み,遊脚相,立脚相制御を実現した膝継手のいくつかを紹介する.

連載 印象に残ったリハビリテーション事例

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プロローグ

 移植は,「提供者(ドナー)」から「受給者(レシピエント)」に組織や臓器を移し植える医療である.わが国では,1997年10月に「臓器の移植に関する法律(通称,臓器移植法)」が施行されたことで,脳死での臓器提供による移植が可能になり,10年が経過した.この間に270名のレシピエントが移植を受けたが(2008年4月7日現在),海外に比較すると少数にとどまっている.

 私は,わが国初の脳死片肺移植患者であるYさんの術前後1年間のリハビリテーションに立ち合う機会があった.Yさんは,私が経験した最初の肺リンパ脈管筋腫症(LAM)患者,脳死片肺移植患者であり,率直な会話や手記を通じてリハビリテーションを受ける患者側の気持ちを素直に伝えてくれた人であった.Yさんとの日々は,医師としての在り方を常に深く考えさせられた.

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 ルノワールの次男で映画監督としても有名なジャン・ルノワールが1962年に発表した『わが父ルノワール』(粟津則雄訳,みすず書房)には,リウマチに悩まされた晩年のルノワール(1841~1919)の姿が描かれている.ルノワールのリウマチが発症したのは1897年,56歳の頃であるが,その後病状は進行し,車いすでの生活を余儀なくされていた.しかし,それから5年後の1912年,71歳になったルノワールは一人の医師に出会う.この医師は,絵のことなど何一つわからなかったが,実に生き生きとした人物で聡明な眼をしていた.ルノワールはこの医師が気に入り,医師のほうも数週間で脚を使えるようにしようと約束した.

 果たせるかな,この医師の強壮療法は奏効し,ルノワールは1か月もすると随分元気になったような気がした.医師がルノワールを車いすから立ち上がらせると,ルノワールはこの2年来初めて立つことができたのである.ルノワールは大喜びで周囲を見回し,一歩,また一歩と歩みを進めて,イーゼルの周りを一回りして車いすのところに戻った.そしてルノワールは立ったままで医師に言った.「やはり諦めることにしますよ.これじゃ私の意志の力はみな取られてしまう.描くための意志力など残らなくなってしまいそうでね.(中略)描くのと歩くのとどちらを選ぶかとなると,やはり描く方が好きなんですよ」.

Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション

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 私は和泉聖治の大ファンである.ピンク映画監督の父を師と仰ぎ,青春物やホームドラマ,ヤクザ物から極道Vシネマとなんでもこなせる職人監督である.野球で言えば,1~2回を確実に0点に抑える中継ぎ投手である.注目度は低いが,ハズレなしなのだ.

 そして,ここへ来て和泉の新作は大型刑事物エンターテイメントの「相棒―劇場版―」.設定は変えてあるものの,04年のイラク人質バッシング事件をモデルにしていることが容易にわかる骨太な社会派サスペンスである.ライバル関係にある「踊る大捜査線 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(03年)が男女共同参画を揶揄する保守路線だとすれば,本作は「自己責任」というフレーズでバッシングをあおった政治家やマスコミ,さらにはあおられた国民を指弾するプロテスト路線である.

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 少子化,周産期医療の進歩や自立支援法の制定など社会情勢の変化により,障害児をとりまく環境は大きく変化してきています.障害児療育は障害の重度重複化,多様化,発達障害児の増加,被虐待児など家族関係の崩壊や核家族化を背景とした育児能力の低下など多くの課題を抱えており,障害児療育に係るものは時代の流れを敏感に察知し,対応することが求められています.近年,子育てを支援する社会のセイフティネットとしての療育の役割はますます重要となってきており,それぞれの地域で地域の特長を生かした療育が実践されてきています.

 そのようななかで,早くから障害種別を越えた地域療育を実践し,近年の発達障害児の増加に対して横浜市の地域療育の中心となって先進的な療育を実践してきた横浜リハビリテーション事業団スタッフの方々が,20年間培ってきた療育技術の集大成として,療育の現場で役立つように具体的にまとめ上げたのが本書「発達障害児のリハビリテーション」と言えましょう.

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文献抄録

編集後記
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 近年,高齢者の身体機能向上に関する研究でユニークだと思うものに,太極拳を用いたものがあります.転倒予防などに対する効果が報告されており,先日のリハ医学会の講演でも触れられていました.私も先日,ある方に「やってみないか」と誘われました.太極拳は「中道(極端に走らない中正の立場,広辞苑)に生きる」ことを理論としているそうで,身体のみならず精神面の鍛錬にもよさそうです.高齢者の機能維持・向上のために,自治体で太極拳を推進しているところもあります.例えば,福島県喜多方市では「太極拳のまち」宣言を行い,講習会やフェスティバルを企画したり,地元のラジオ局で毎朝35分間の音楽を放送しています.北九州市でも「介護予防太極拳」を開発したようで,これは椅子に座ってでもできるそうです(市政だより,2008年2月15日号).このような介護予防事業継続のためのユニークな取り組みが実を結ぶのを祈りたいと思います.ところで,私の太極拳参加は思案中です.習い事を続けるのが苦手なこともありますし,まだ若いもので…….

基本情報

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総合リハビリテーション
36巻8号 (2008年8月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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