巻頭言
理学療法と理学療法士の将来
半田 一登
1
1社団法人日本理学療法士協会
pp.729
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101301
- 有料閲覧
- 文献概要
2008年2月13日に平成20年度の診療報酬の概要が示されました.2007年6月に始まったこの改定作業段階における厚生労働省保険局医療課での交渉のなかで,さまざまな問題を感じました.それらは単に診療報酬の問題ではなく,理学療法や理学療法士の根幹的な問題と思われることが多くありました.今回の診療報酬改定作業からみえてくる理学療法と理学療法士の将来について考えてみます.
以前とは異なり,現在のリハビリテーション料は疾患別の項目となっています.それゆえに,今後はさまざまな類似した治療手技などがこのなかに放り込まれてくる可能性があります.診療報酬で言うところの「リハビリテーション」の定義や枠の論議をまず始める必要を感じます.ここの押さえをしっかりとしなければ,何もかもリハビリテーション料に押し込んでリハビリテーション料の伸びが大きくなり,リハビリテーション料単価を引き下げることになってしまいます.また,リハビリテーション料のなかに「理学療法料」の項目がなくなったのは,専門職理学療法士としては尊厳の問題と言えるほど大きなものです.そして,レセプト上は単位の範囲内であれば,理学療法でも作業療法でも言語聴覚療法でも構わないという考え方は容認できるものではありませんし,完全なる専門性の否定と捉えています.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.