Japanese
English
特集 高齢障害者の機能維持
「仮の要介護状態」とその対応
Clinical management of“quasi-in-need-of-care state”.
山田 深
1
Shin Yamada
1
1杏林大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Kyorin University, School of Medicine
キーワード:
介護保険
,
維持期
,
地域連携
Keyword:
介護保険
,
維持期
,
地域連携
pp.749-754
発行日 2008年8月10日
Published Date 2008/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101305
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はじめに
「仮の要介護状態(quasi-in-need-of-care state;QUINOCS)」とは,介護が必要ないわゆる要介護状態にあっても,適切なリハビリテーション介入を行えば,ADL(activities of daily living)や介護負担度が改善する余地のある,いわば見せかけの要介護状態を指す1).
高齢者が在宅環境において,仮の要介護状態に陥ってしまうのは,①急性期,回復期のリハビリテーションが不十分であるまま自宅へ退院し,そのままの状態で介護サービスを利用している場合,あるいは,②廃用や疾病の発生,増悪によって機能や能力が低下し,適切なアセスメントがなされないまま本来改善されるべき運動障害が放置されている場合などが想定される(図1)1).
高齢者における運動機能の低下は,「加齢」に伴う不可避なものとして見逃されがちであるが,本来は介護サービスの利用を検討する前に,潜在的に到達可能なレベルまで機能や能力を高めるためのリハビリテーション介入がなされているべきである(リハビリテーション前置主義の実践).仮の要介護状態に対する対応は,運動機能の低下に伴う廃用の悪循環を断ち,機能と能力の維持を図れる体制を構築するためにも必要不可欠である.
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