臨床眼科 67巻10号 (2013年10月)

特集 第66回日本臨床眼科学会講演集(8)

原著

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要約 目的:網膜静脈分枝閉塞症に対する血管外膜鞘切開術施行後の病変静脈における長期的な血流量変化について定量的に検討し報告する。対象と方法:網膜分枝静脈閉塞に伴う黄斑浮腫の症例に対し血管外膜鞘切開術を施行し,術中に病変静脈の拡張所見が得られ,術後1年以上経過観察可能であった23症例を対象とした。血流量の変動は,LSFG-NAVI®を用いて相対的血流量(RFV)を測定し,血流量の評価には,病変静脈RFV/非病変静脈RFVの比を用いた。結果:全症例中,病変静脈RFV/非病変静脈RFVの比は,術後12か月が経過しても,17症例(74%)で上昇を認めた。結論:Sheathotomyの術後血流量増加の効果は,比較的長期間持続する可能性がある。

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要約 目的:糖尿病黄斑浮腫に対する硝子体手術術後の視力と光干渉断層計(OCT)所見との相関について検討する。対象と方法:糖尿病黄斑浮腫に対して硝子体手術を施行し,術後12か月以上経過観察を行えた症例(38例50眼)を対象とした。術前の黄斑部OCT所見により網膜膨化型,囊胞様変化型,漿液性網膜剝離型に分け,術後視力とOCT所見を検討した。結果:網膜膨化型では術後有意な視力改善を得た。囊胞様変化型と漿液性網膜剝離型ではOCTで術後中心窩網膜厚は有意に減少した。術前および術後12か月において視力は外境界膜(ELM)残存率,視細胞内節外節接合部(IS/OS)残存率と相関を認め,また,術前ELM残存率と術後12か月視力は相関を認めた。結論:視力はELMとIS/OSの残存率と相関を認めた。視力およびOCTでELMとIS/OSが保たれている段階での手術が望ましいと考えられた。

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要約 目的:Basedow病眼症による視神経症(DON)に対する眼窩減圧術の治療成績を評価した。対象と方法:神戸海星病院でDONに対し眼窩減圧術を行った9例15眼を対象に,診療録を後ろ向きに調査した。結果:9例中8例に術前副腎皮質ステロイド薬パルス療法が行われ,DON発症から眼窩減圧術までの期間は0.5~12か月(中央値3か月)であった。術前矯正視力は光覚なし~1.2(中央値0.1),最終矯正視力は0.03~1.5(中央値1.2)であった。術後矯正視力は術前矯正視力と相関性があった。結論:副腎皮質パルス療法に抵抗するDONに対して眼窩減圧術は有効で,術後矯正視力からみた治療時期の判断視力が高度に低下する前の施術が推奨される。

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要約 目的:波面センサー(KR-9000PW,トプコン社)の,角膜形状解析後に高次収差を除外した乱視成分(WF乱視)と,オートケラトメータと同じ原理での測定による乱視(AK乱視)の比較。対象と方法:白内障術前103眼のWF・AK乱視の度数と軸角度を比較し,軸角度の相違と角膜高次収差の相関を検討した。結果:WF乱視度数はAK乱視より大きかった(p=0.000072)。また両者の軸角度の相違は,乱視が小さいほど,また3次の収差が大きいほど,大きくなった。結論:両乱視で度数,軸は異なり,特に度数が小さい場合に軸の相違は顕著であった。トーリック眼内レンズの臨床において,より精緻な術前乱視の測定および手術適応の検討が重要であると考えられた。

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要約 目的:白内障手術後の残余屈折異常に対し,追加型眼内レンズ(IOL)を挿入した1症例の報告。症例:70歳男性が白内障手術を希望して受診した。23年前に両眼に放射状角膜切開術,12年前に両眼にレーザー屈折矯正角膜切除術を受けていた。所見:裸眼視力は右0.5,左0.4で,矯正視力は右0.9,左1.0であった。加齢白内障の診断で,左右眼に超音波乳化吸引術とIOL挿入術を行った。1年後の裸眼視力は右0.5,左0.5で,矯正視力は右1.2,左1.0であった。左眼に+3.0D()cyl-2.0D 65°の屈折異常があった。患者の希望により,左眼に追加型単焦点IOLを挿入した。6か月後の左眼の裸眼視力は0.63,矯正視力は1.0であり,合併症はない。結論:追加型IOLの挿入は,白内障手術後の残余屈折異常に対する治療の,1つの選択肢である。

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要約 目的:原発開放隅角緑内障に対するSchlemm管外壁開放術併用線維柱帯切開術(LOT+SIN)の長期成績の報告。対象と方法:有水晶体眼で初回LOT+SINを施行した90例90眼で上方群17眼,下方群73眼の手術成績を比較した。平均術前眼圧は上方群21.2,下方群20.3mmHg,平均観察期間は上方群9.9,下方群7.5年であった。結果:術後平均眼圧は術後5年上方群14.2,下方群15.3,術後10年上方群14.7,下方群14.9mmHg,Kaplan-Meier生存解析の20mmHg生存率は上方群0.88,下方群0.82,16mmHg生存率は上方群0.42,下方群0.27,14mmHg生存率は上方群0.11,下方群0.18で,両群間に有意差はなかった。結論:LOT+SINは術後長期でも眼圧下降効果が持続し,上方群と下方群の間に術後成績に差はなかった。

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要約 目的:開放隅角緑内障と落屑緑内障でのTrabectome単独手術と強膜深層切除併用線維柱帯切開術単独手術(LOTD)の臨床経過についての検討。対象と方法:対象は3か月以上経過観察できた原発開放隅角緑内障(広義)と落屑緑内障である。症例は,67例75眼(Trabectome),46例50眼(LOTD)である。両群の背景には差がなかった。結果:眼圧下降率は,LOTD群で,全体の症例群,術前眼圧が20mmHg以上の群,落屑緑内障群でTrabectome群よりも有意に高かった。術後の併発症ではLOTD群が有意に術後血液逆流の頻度が高かった(p=0.0005)。その他の併発症には差がなく重篤なものはなかった。結論:LOTDが眼圧下降効果は大きいが,症例によってはTrabectomeも選択されるべき手術であると思われる。

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要約 目的:分層黄斑円孔に対し,ガスタンポナーデを用いない硝子体手術を行った成績の報告。対象と方法:過去54か月間に硝子体手術を行った分層黄斑円孔14例14眼を対象とした。男性3例,女性11例で,平均年齢は59歳である。ガスタンポナーデを用いず,20Gカッターで硝子体を切除し,内境界膜を剝離した。光干渉断層計(OCT)で術前後の所見を観察し,平均26か月の術後経過を追った。結果:術後のOCT所見は12例(86%)で改善し,2例(14%)で不変であった。改善するまでの術後期間は,平均4週であった。改善した症例のうち1例で,閉鎖後1年後に黄斑円孔が再発した。結論:分層黄斑円孔に対し,ガスタンポナーデを用いない硝子体手術で,高率の円孔閉鎖が得られた。

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要約 目的:特発性黄斑前膜に対する日帰り硝子体手術の成績と安全性の報告。対象と方法:2012年2月までの15か月間に当科で日帰り硝子体手術を行った黄斑前膜30例30眼を対象とした。男性7例,女性23例で,年齢は54~78歳,平均67歳である。これらの症例は,同期間内に硝子体手術を行った黄斑前膜全症例の50.8%に相当する。手術にはフローティングレンズまたは広角眼底観察システムを用い,25Gシステムで行った。結果:手術中の合併症はなく,術後合併症として一過性の低眼圧または高眼圧が3例にあった。広角眼底観察システムを使うことで,網膜裂孔の有無が容易に確認できた。結論:特発性黄斑前膜に対する日帰り硝子体手術は有効で安全であった。

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要約 目的:加齢黄斑変性(AMD)に対するラニビズマブ硝子体内注射(IVR)の導入期における反応不良例の検討。対象と方法:2010年10月~2012年3月の間にAMDに対してIVRを施行され,導入期治療終了時に視力が不変もしくは悪化した28例28眼。反応不良症例の病型,治療前の病変最大直径(GLD),IVR前の治療歴,発症から治療までの期間などについて検討した。結果:同時期にIVRを施行した反応良好例と比較して,病型としてはポリープ状脈絡膜血管症(PCV),網膜血管腫状増殖(RAP)が多かった。PDTなどの治療歴のある症例も多い傾向にあった。反応不良例ではGLDの直径が有意に大きく(p<0.01),発症からの期間も有意に長かった(p<0.01)。結論:IVRの反応不良例では,PCVやRAPの占める割合が多く,GLDの大きさや治療歴,発症からの期間も関係する可能性が示された。

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要約 目的:ぶどう膜炎と緑内障が併発した強皮症の1例に行われた白内障手術後の長期経過の報告。症例:77歳女性が右眼視力低下で受診した。右眼視力は幼児期から不良で,麻疹のためとされていた。7年前から強皮症で加療中であった。所見と経過:矯正視力は右0.01,左0.7で,両眼に前房内の炎症所見,豚脂様角膜後面沈着物,硝子体混濁があった。眼圧は右48mmHg,左54mmHgであった。薬物投与でぶどう膜炎と高眼圧は軽快した。初診から14か月後に,右眼の白内障に超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入術,その2か月後に左眼も同様の手術を行った。術中と術後に問題はなく,4年後の現在,右0.03,左0.9の視力を維持している。結論:ぶどう膜炎と緑内障が併発した強皮症患者の両眼に超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を行い,以後4年間の経過が良好であった。

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要約 目的:角膜ジストロフィに対する治療的角膜切除術(PTK)の治療成績について検討する。症例:臨床的に顆粒状角膜ジストロフィと考えられ,角膜実質浅層にびまん性の混濁を有する症例に対しPTKを施行し6か月以上経過観察できた16例31眼で,手術時平均年齢67.3±10.6歳,術後平均観察期間26.0±25.0か月であった。結果:31眼中23眼(74%)に2段階以上の視力の改善を認めた。術後6か月の平均屈折値は術前と比べ+0.72D遠視化し,術後比較が可能であった平均コントラスト感度はすべて改善した。結論:PTKは角膜実質浅層の病変に対して有効な治療法であると考えられた。

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要約 目的:当科での翼状片に対して行った手術の成績の報告。対象と方法:術後6か月以上経過観察できた,瞳孔領に及ぶ初発翼状片13例14眼を対象とした。片側9眼,両側5眼で,男性9眼,女性5眼であり,平均年齢は57歳であった。全例に翼状片切除,有茎結膜弁移植,羊膜移植を行った。結果:術後6か月の平均視力は,片側例で有意に改善し(p<0.05),膜乱視の平均値は,両側例で有意に減少した(p<0.05)。両側例2眼(14%)で翼状片が再発し,これら2眼では大きさと厚みのスコア合計が大きかった。結論:広範囲な翼状片に対し,切除,自己有茎結膜弁移植,羊膜移植による手術法は有効であった。

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要約 目的:全層角膜移植後に悪性症候群を発症したParkinson病の1症例の報告。症例:69歳,男性。Parkinson病のためアマンタジン塩酸塩の内服加療中であった。左水疱性角膜症に対して,全身麻酔下で左全層角膜移植術,水晶体囊外摘出術および,眼内レンズ挿入術を施行した。術後,多量の発汗,振戦,筋強剛,意識障害が出現し術後せん妄が疑われた。治療開始したが改善せず,術後15日目から血清クレアチンキナーゼ値の上昇を認め悪性症候群と診断された。ダントロレンナトリウムの投与を開始したが,全身状態の改善なくショック状態となり,術後28日目に心肺停止となった。結論:Parkinson病患者における全身麻酔施行後には,悪性症候群を発症する可能性があり,全身管理に注意が必要である。

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要約 目的:エタンブトール(以下,EB)視神経症の発症頻度およびその経過についての検討。対象と方法:最低3か月以上経過観察できたEB内服患者405名(男性218名,女性187名平均58.4歳)を対象とした後ろ向き研究。全例で視力および中心フリッカ値(以下,CFF値)を測定し,一部の症例で色覚および視野について検討した。結果:EB視神経症発症者は405例中7例で発症頻度1.73%であった。男性3例,女性4例で,平均年齢は72.4歳(61~81歳)であった。いずれもEB中止となり徐々に視力とCFF値は改善したが,2例3眼では高度の視力障害が残存した。これらは,投与中止までに時間がかかった症例であった。結論:EBは時に重篤な視神経障害を生じることがあるので,早期に発見し投薬中止の検討をすることが重要である。

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要約 目的:原田病の経過中に生じた脈絡膜新生血管に対し,ベバシズマブ硝子体注射(IVB)が奏効した症例の報告。症例:35歳女性が5週前からの霧視で受診した。矯正視力は右0.8,左1.2で,両眼に慢性化した前眼部炎症と夕焼け状眼底があった。原田病と診断し,両眼をステロイド薬で治療した。以後4回の再燃があり,1年後にステロイド大量療法を行った。左眼視力が0.5に低下し,歪視が生じた。左眼黄斑部に脈絡膜新生血管と漿液性網膜剝離があった。3回のバシズマブの硝子体注射で,視力は1.0に改善した。以後6か月後の現在まで経過は良好である。結論:遷延化した原田病に併発した脈絡膜新生血管に対し,ベバシズマブの硝子体注射が奏効した。

連載 今月の話題

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 強度近視という病態は,眼科画像診断解析に非常に適した病態ではないだろうか。以前からインドシアニングリーン赤外蛍光眼底造影(IA)などにより,強度近視眼では,網膜脈絡膜の高度な菲薄化に伴い,正視眼では観察できない強膜内および球後血管が観察されることが知られていた。最近の光干渉断層計(OCT)の進歩に伴い,強度近視眼では眼球深部構造を明瞭に可視化することが可能となり,強度近視眼の病態解明が進んだだけでなく,正視眼では観察できないレベルの深部構造の可視化という大きな意味をもつ。さらに微細構造の可視化にとどまらず,3D MRIを用いた眼球形状の解析は,生体において,眼球そのものの形を3次元的に捉えるという新たな画像診断の領域を切り開いた。今後,病的近視において,後天的な眼球変形がいかに網膜・視神経を障害するかが明らかとなり,それに基づき視覚障害が生じる前に未然に是正する治療の確立へと結びつくと期待される。

連載 何が見える? 何がわかる? OCT・第10回

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Point

◎脈絡膜は近視が強くなるほど,年をとるほど,薄くなる。

◎中心性漿液性脈絡網膜症の脈絡膜は正常眼と比較して厚い。

◎中心性漿液性脈絡網膜症の脈絡膜は光線力学的療法後に薄くなる。

連載 基礎からわかる甲状腺眼症の臨床

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はじめに

 前回,甲状腺眼症の斜視は下直筋が罹患筋として最も多いとお話ししました。上下直筋の斜視手術は水平斜視の手術より手技的に難しいだけでなく,高度な症例ほど回旋偏位を伴っています。回旋偏位は外眼筋の線維化や癒着と関係しているのですが,その対応には苦慮します。今回は,高度な症例にどのように対応するか,どう考え術式を組み立てているかについて教科書には載っていない工夫を,症例を呈示しながら解説いたします。

連載 つけよう! 神経眼科力【最終回】

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神経眼科の最近のトピックス

若倉(司会) みなさん,本日はお忙しいところを,また中馬先生にはネットでご参加いただきまして,どうもありがとうございます。

 3年半にわたって掲載されてきました「つけよう!神経眼科力」もついに最終回を迎えました。そこで,今回は神経眼科の魅力を執筆陣に語っていただこうと思います。座談会を行うにあたって,事前にアンケートを行いました。回答数はわれわれ5名と医局員2名の計7名分です。質問内容は多岐にわたりますが,まずは「神経眼科の最近のトピックス」(表1)をイントロダクションとして,回答数の多い順にそれぞれ専門の先生からご説明いただきたいと思います。1位は5名が挙げた「抗アクアポリン(aquaporin:AQP)4抗体」または「抗AQP4抗体陽性視神経炎」です。たしかにこれは神経眼科領域で今後重要なキーワードになってきます。そのことについて,中馬先生に口火を切っていただきたいと思います。

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緒言

 Superior segmental optic hypoplasia(SSOH)はKimら1)により提唱された特殊な視神経低形成の概念で,視力は良好であるものの,視神経乳頭に4つの特徴がみられるほか,下方に大きな視野欠損が認められる症例と定義されている。視神経乳頭の4つの特徴とは,superior entrance of central retinal artery,superior scleral halo,superior disc pallor,superior nerve fiber layer lossで,国内においてはそれぞれ,網膜中心動脈の視神経乳頭入口部の上方偏位,視神経乳頭上部のハロー,蒼白な視神経乳頭上部,網膜神経線維層の上方欠損などと翻訳されている2)

 近年,疫学調査などの結果からSSOHはそれほど珍しい疾患ではないことがわかってきた3)。しかしながら,今日まで遺伝的な背景については,ほとんど知られておらず,家族内発症の報告もわずかである2)。今回筆者らは,別々の診療所でSSOHとして経過観察されていた母と娘の所見を偶然,照合することができたので報告する。

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 症例は52歳,女性。前交通動脈瘤破裂によるくも膜下出血から1か月半後に当科初診。右矯正視力は眼前手動弁,硝子体出血で眼底透見不能。左矯正視力は0.06,眼底は多彩な層に出血が散在していた。画像は初診時の左眼底写真(a)と光干渉断層像(optical coherence tomograph:以下,OCT)である。黄斑部下方にニボーを形成した出血(☆)がある。同部位のOCT垂直スキャン(b)では,膜様組織がドーム状に隆起し,ニボーの上方に比べ下方は高反射で後方組織は測定光ブロックにより描出されていない。以上から,内境界膜血腫が発生し血液が沈降した所見と考えられる。下方に垂れ流れたような形(→)は,内境界膜下から後部硝子体膜下へと出血が移動した所見である。視神経乳頭と大血管周囲に網膜出血や淡い網膜下出血が散在している。中心窩耳側の半乳頭径大の出血(*)は,OCT斜めスキャン(c)より密閉された空間内にある内境界膜下出血で,網膜神経線維層以下の各層が圧排されているものと推察した。中心窩下には網膜色素上皮から外顆粒層へ広がる高反射像を認め,網膜外層の微細な出血と考えられた。

 撮影はトプコン社製眼底カメラTRC-50LX,9カットのパノラマ合成画像。OCTはカールツァイスメディテック社製シラスHD-OCTを使用した。

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 「試験が学習をプロモートする」のは,古今東西問わず,真実である。

 もちろん試験には,合否を問う総括的評価としての性質が大きい。が,学習によって獲得した知識を整理し,足りないところを補う形成的評価としての意義もある。医師国家試験,専門医試験はいずれも合否を決定する試験ではある。しかし,それらをめざして学習することは,決して受験生に無益なものではなく,ステップアップに有用な手段にもなりうる。

やさしい目で きびしい目で・166

ストレス調和法 石田 恭子
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 皆さんのストレス解消法はなんですか? 先日,本を読んでいたらこんなことが書かれていました。「生きていくこと,仕事をすることはストレスとの調和を図ることである」と。確かにストレスを溜め込みすぎると心身ともに不健康になりますが,適度なストレスはやる気や行動力を生みだす源にもなります。例えば,原稿の締め切りが近づいてきたのでがんばろう,学会の抄録締め切りに間に合うようにデータをまとめよう,等々。結局ストレスをため込まず適度に発散することが一番で,そのために皆さんは何をしていますか? StressにはSTRESSで対処するのが一番のようで,①Sleep,②Travel,③Recreation,④Eat,⑤Sportsが良いようです。

 私は元来旅行好きで,私にとってのストレス解消法の1つが旅行です。学生時代,医員時代は,1週間程度の休みが取れるときは海外旅行に出かけていましたし,海外に住んでみたい気持ちが高じて米国留学も経験しました(留学中は国立公園めぐりなどもしましたが,それなりに研究もしていました。念のため)。しかしながら,勤務年数が増すにつれて,責任も仕事も増え,最近はまとめて休める機会がほとんどありません。が,実は②,③,④が経験できるよい仕事があります。それは学会参加です。日中は発表や講演聴取など勉強(公的)に時間を使いますが,夜は医局や他病院の先生方とおいしいご飯を食べ,お酒を飲んで楽しく過ごせます。また,東京での学会参加時は夜にミュージカルやコンサートにも出かけることができます(←これも私のRecreationの一つです)。さらに良いのが海外の学会で,一般的に海外の学会はスケジュールがあまり密に組まれていないことが多く,その土地の名物を食べ,観光する時間も十分あります。ちなみに私の学会参加地Best 3は,ウイーン,フロリダ,パリです。実は私自身が海外の学会発表を行えるような研究をする理由の1つが,仕事であるにもかかわらず②,③,④を経験できるよい機会が得られるからです(もちろん研究に対する純粋な興味もあります。これも念のため付け加えておきます)。

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要約 目的:黄斑下血腫と黄斑円孔が続発した網膜細動脈瘤6例の報告。症例:過去40か月間に硝子体手術を行った網膜細動脈瘤6例6眼を対象とした。男性1例,女性5例で,年齢は76~82歳である。手術は推定発症日から2週以内に行った。所見:6眼すべてに網膜細動脈瘤と連続する網膜下出血と黄斑円孔があった。中心窩から網膜細動脈瘤までの距離は1.2乳頭径以内であった。5例で0.5以上の最終視力を得た。結論:網膜下出血を伴う網膜細動脈瘤では,黄斑円孔は必ずしも視力予後の不良因子ではない。黄斑円孔は網膜下出血により圧出された可能性がある。

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要約 目的:ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者のサイトメガロウイルス(CMV)感染症に対する治療の報告。対象:過去66か月間にバルガンシクロビルの全身投与を受けたHIV感染者35例を対象とした。男性34例,女性1例で,年齢は26~67歳,平均44歳である。15例ではCMV感染症がすでに発症し,20例では発症していなかった。12例では網膜炎があり,3例では肺炎などの全身症状があった。結果:バルガンシクロビル投与により,発症例である15例中12例(80%)で再発はなく,未発症の20例では発症は皆無であった。CMV抗原陽性率は80%から3%に減少した。CMV抗原陽性細胞数は8.0±21.1個から0.09±0.52個に有意に減少した(p=0.00002)。骨髄抑制1例,白血球減少3例,腎障害3例の合併症があった。結論:バルガンシクロビルの全身投与は,HIV感染者のCMV感染症と抗原血症に有効である。全身の副作用には留意する必要がある。

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要約 目的:両眼に視神経症が発症した肥厚性硬膜炎の症例の報告。症例:65歳女性が3週前からの視力低下と視野狭窄で受診した。所見:矯正視力は右0.2,左手動弁であった。ガドリニウム造影磁気共鳴画像(MRI)検査で前頭部を中心に脳硬膜の肥厚があり,視神経周囲に高信号があった。硬膜の生検で炎症細胞の浸潤があり,肥厚性硬膜炎と診断した。ステロイドパルス療法とこれに続くプレドニゾロン内服で,硬膜の肥厚は減少し,視力は4か月後に1.0に回復し,視野狭窄も軽快した。結論:高齢者の球後視神経炎が肥厚性硬膜炎によることがある。診断には造影MRI検査が有用であった。

文庫の窓から

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弟子・羅天益が出版した東垣の病門別医書

 李東垣の残した治験記録は1249年までしかなく,『蘭室秘蔵』の成立は著者李東垣の亡くなった年,1251年とされている。『蘭室秘蔵』とは『素問』『霊枢』にみえる「霊蘭之室」という黄帝の書庫を指す言葉から作られた名であるが,真柳誠氏は『和刻漢籍医書集成』第6輯所収「『内外傷弁惑論』『脾胃論』『蘭室秘蔵』 解題」の中で,「本書名の謂は,東垣の「霊蘭の室」に秘蔵されていた書である。もちろん自らを黄帝に比すなど,たとえ東垣でもあろうはずはない。ならば本書の序に,「吾師弗自私蔵,以公諸人」と記す天益が,この書名を付けたと考えられる」と述べている。また,「先師」という言葉を使ってその治療について述べている部分を指摘して,この本は李東垣の命を受けた最後の弟子である羅天益が,師の死後1266年ごろまでにまとめ上げて1276年に刊行した書物である,と解説されている(参考文献2)。

 当館には3つの『東垣十書』があり,それぞれ『蘭室秘蔵』を収載している。

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欧文目次

第31回眼科写真展 作品募集
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 第67回日本臨床眼科学会(パシフィコ横浜)会期中の2013年10月31日(木)~11月3日(日)に開催される「第31回眼科写真展(日本眼科写真協会発足30周年記念写真展)」の作品を募集します。

べらどんな 鶏眼
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 年をとると皮膚がなんとなく薄くなる。足の裏も同じらしい。

 子供の頃から家の中ではいつも裸足のままでいた。当時は革靴がなかったので,学校に行くときには下駄を履いた。この癖がずっと続いていて,いまでも家の中ではスリッパではなく,裸足で歩いている。

べらどんな 馬の目
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 ウマの眼球は,クジラを別にすると哺乳類の中ではいちばん大きい。なにしろ眼軸長が45mmもあるのである。キリンがその次で41mm,そしてアフリカゾウが35mmとなっている。

 ライオンの眼球は意外に小さく,ゾウなみの35mmである。どうも,動物の身長と眼球の大きさとは,必ずしも相関しないということらしい。

ことば・ことば・ことば 飛虻症
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 英和辞典には出ているけれども,あちらの英英辞書にはいくら大きくても,まず載っていない単語があります。「まず」というのは,「調べた限りでは」という意味ですが,かなり自信があります。Myodesopsia「飛蚊症」がそれです。

 「目の前にゴミが見えること」は,硝子体混濁のような病的な場合だけでなく,生理的にも存在します。これを英語で表現するには,さりげなくseeing fliesで済みますが,すこし学がある人だと,mouches volantesとフランス語にするか,muscae volitantesというラテン語を使うことも可能で,どちらも眼科医仲間には十分に通じます。

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11号(増刊号)予告

12号(11月号)予告

あとがき 根木 昭
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 本号が刊行される頃には横浜で清水公也教授会長のもと日本臨床眼科学会が開催されていると思います。首都圏での開催では参加者が8,000人規模になり眼科医の約2/3が出席する大学会です。最近では春の日本眼科学会総会の参加者数も6,000人を上回り春秋の2大学会が定着しました。このような盛況は何と言っても魅力あるプログラムによるところが大きく,プログラム委員会が両学会を見通した連続的な企画を建てている事は賞賛されるべき事です。特に以前と比較すると教育に重きが置かれ,日本眼科学会では現在の標準診療に沿った教育コース,日本臨床眼科学会では各施設やグループでの特色を加味したインストラクションコースが人気です。一方で学会の主役である一般講演も,緊張感が漂い聞き応えが有ります。限られた時間内でのface to faceでの質疑応答は,その背景にある問題の核心をあぶりだします。春秋2回の大学会のあり方が問われていますが,最新の眼科学の急速な進歩を網羅的にキャッチアップするには春秋の2回の学会は必須と思います。

 さて,この学会が終わるといよいよ来年は世界眼科学会です。日本開催は37年ぶりですが,この間,眼科学は奇跡的ともいえる進歩を示し,我が国もその過程に大きく貢献してきました。来年の学会を新しい出発点にして,さらに格段の発展を願うものです。ホストとして快晴と満開の桜で迎えられるよう皆で祈りましょう。

基本情報

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臨床眼科
67巻10号 (2013年10月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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