文庫の窓から
『蘭室秘蔵』
中泉 行弘
1
,
林 尋子
1
,
安部 郁子
1
1研医会
pp.1774-1777
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410104956
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弟子・羅天益が出版した東垣の病門別医書
李東垣の残した治験記録は1249年までしかなく,『蘭室秘蔵』の成立は著者李東垣の亡くなった年,1251年とされている。『蘭室秘蔵』とは『素問』『霊枢』にみえる「霊蘭之室」という黄帝の書庫を指す言葉から作られた名であるが,真柳誠氏は『和刻漢籍医書集成』第6輯所収「『内外傷弁惑論』『脾胃論』『蘭室秘蔵』 解題」の中で,「本書名の謂は,東垣の「霊蘭の室」に秘蔵されていた書である。もちろん自らを黄帝に比すなど,たとえ東垣でもあろうはずはない。ならば本書の序に,「吾師弗自私蔵,以公諸人」と記す天益が,この書名を付けたと考えられる」と述べている。また,「先師」という言葉を使ってその治療について述べている部分を指摘して,この本は李東垣の命を受けた最後の弟子である羅天益が,師の死後1266年ごろまでにまとめ上げて1276年に刊行した書物である,と解説されている(参考文献2)。
当館には3つの『東垣十書』があり,それぞれ『蘭室秘蔵』を収載している。
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