検査と技術 36巻6号 (2008年6月)

病気のはなし

メイ-ヘグリン異常 國島 伸治
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サマリー

 メイ-ヘグリン異常(May-Hegglin anomaly)は,巨大血小板,血小板減少,白血球封入体を特徴とする先天性血小板異常症である.白血球封入体はデーレ様小体(Döhle-like body)とも呼ばれ,顆粒球細胞質に1ないし数個認められ,紡錘形,メイ-ギムザ染色(May-Giemsa stain)などで青色に染色される.最近,本疾患はミオシン重鎖遺伝子MYH9の異常が原因で起こることが判明した.類縁疾患と考えられていた他の先天性巨大血小板性血小板減少症〔セバスチャン症候群(Sebastian syndrome),フェクトナー症候群(Fechtner syndrome),エプスタイン症候群(Epstein syndrome)〕の原因もMYH9異常であることがわかり,包括したMYH9異常症が提唱されている.従来,メイ-ヘグリン異常は血液学的異常のみを呈すると考えられていたが,アルポート症候群(Alport syndrome)様の症状(腎炎,難聴,白内障)を合併することもあるため十分な経過観察が必要である.白血球封入体にはミオシン蛋白の異常集積があり,新規鑑別診断法としてミオシン免疫蛍光染色の有用性が報告されている.

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はじめに

 原子,イオン,分子などの粒子から構成される物質は,ある条件下の温度や圧力において固体(solid),液体(liquid)あるいは気体(gas)のいずれかの状態をとりうる.また,分子は熱エネルギーを受けると解離して原子になり,さらに熱エネルギーを受けるとその原子の電子殻は基底状態から,よりエネルギー凖位の高い励起状態をとる.例外もあるが,一般的には温度が高くなると化学反応度は速くなる.このように自然科学で取り扱われる普遍化された現象には温度が関与するものが多いが,同時に圧力などの他の因子が加わることもある.本稿では臨床化学領域で温度がかわる法則を挙げ解説したい.

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新しい知見

 セルブロックの併用による細胞診は診断精度の向上,免疫染色ならびに特殊染色の実施,種々の遺伝子検索,細胞診の自己学習,容易に再利用可能な形での検体の半永久的保存による患者の潜在的な利益の確保など,いくつもの利点がある.ここでは電気泳動用のアガロースを利用した簡便なセルブロックの作製法について解説する.改良アガロース法と名づけた本法は特別な試薬や機器を必要とせず,作業工程が短く,コスト面でも利点が多い.

技術講座 血液

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新しい知見

 フォン・ビルブランド因子(von Willebrand factor,VWF)は,その機能が低下すると出血症状が出現し,亢進すると血栓症が出現する二面性をもっている.従来VWFは,出血症であるフォン・ビルブランド病(von Willebrand disease,VWD)との関連でのみ注目されていたが,心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症の増加に伴い,これらの動脈血栓症との関連で検査されることも多くなった.また最近,VWFを特異的に切断する酵素であるADAMTS13(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin type1 motif13)の活性が著減すると,血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura,TTP)が発症することが明らかとなり,VWF測定はさらに重要な検査となっている.

疾患と検査値の推移

骨粗鬆症 稲葉 雅章
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はじめに

 骨粗鬆症の診療分野での最近の最も大きな変化は,エビデンスに基づいた強力な骨折抑制効果を有する薬剤使用が可能になったことである.実際,大規模臨床試験によって,椎体骨折の約50%,大腿骨頸部骨折の約25%が早期治療により予防できることが明らかとなった.また,骨粗鬆症の診断基準は,以前は骨量減少のみによる診断であったが,骨量に加えて骨質を考慮したものに変更された.骨質劣化の規定因子として過度の骨代謝回転亢進や低下が主たる要因として規定されたため,骨代謝マーカー測定時の異常上昇・低下は,骨量測定とは独立した骨折リスクの危険因子と認識されている.日本人のCa代謝異常の特徴としてCa欠乏が特に挙げられる.したがってCaバランスに関する検査も重要となる.本稿では,これら骨粗鬆症の診療分野で頻用される骨代謝マーカーとカルシウム代謝検査について詳述する.

オピニオン

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 臨床検査技師が磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging,MRI)検査を担当していると聞くと,昭和に教育を受けた臨床検査技師は“えっ どうして?”と思われる方も多いのではないでしょうか.生理検査に関する政令改正で1993年にはMRIも臨床検査技師が実施できるようになりました(しかし,まだまだ画像診断に関しては診療放射線技師だけの領域であるという認識が強いようで,同じ医療職の人たちにも理解されていないようです).時を経て今では臨床検査技師がMRIを担当する施設が増えているのではないでしょうか.しかし,まだ認知されていないと思われますので,本稿では現在,私が携わっているMRIの仕事について述べたいと思います.

 私が勤務している施設では1996年のMRI導入に当たり,人員の効率的運用ということで,放射線科と検査科が共同で検査業務を行うことになりました.私は3人目の臨床検査技師として従事しています.初めてMRI室に足を踏み入れたとき,これまで扱ってきた機器とは比べものにならない装置の大きさと音に圧倒されました.

ワンポイント・アドバイス

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 血友病Aは血液凝固第VIII因子(factor FVIII,FVIII)の異常によって引き起こされる出血性疾患である.この疾患の出血傾向は患者血中の因子活性(FVIII:C)とよく相関し,5%以上の因子活性を有する場合を軽症と称する.FVIIIは,産生された少量のトロンビンによる活性化を受け,止血に十分なトロンビンバーストを引き起こす重要な補酵素(増幅因子)として機能する.したがって5%以上の活性を有する本疾患は日常生活に支障をきたす出血傾向を認めないことが多い.しかし,このことは診断の遅れや患者の病識不足につながりやすく,時として大出血による重篤な状態に至ることがある.

 血友病Aの診断はスクリーニングとしての活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time,APTT)と,確認試験としてのFVIII定量の2段階で行われている.すなわち,APTTで延長が確認され,その後のFVIII:C測定で明らかな低値(一般的に約30%以下)が確認された場合に血友病Aの診断に至る.わが国におけるFVIII:C測定はAPTTに基づく凝固一段法によって行われる場合がほとんどであることから,血友病Aの診断には2回のAPTTが関与することになる.APTTは内因系凝固機構を調べる検査であり,内因系のスクリーニングはもちろんのこと,凝固因子定量,抗リン脂質抗体症候群の診断,抗凝血薬のモニターなどにも繁用されるが,試薬が多様性に富み,用いる試薬によって結果が異なる“トリッキー”な検査としての認識をもつ必要がある.また,精密度も決して良好な検査ではない.日常の生活では明らかな出血傾向を認めない場合も多い本疾患では,このようなAPTTの問題もあり,診断に至っていないケースもあると推測される.

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はじめに

 アポトーシスの組織化学的証明法として,ヌクレオソーム単位のDNA断片化を検出するterminal deoxynucleotidyl transferase-mediated deoxyuridine triphosphate-biotin nick end labeling(TUNEL)法,in situ nick translation法や単鎖DNA免疫染色が広く利用されてきた.しかし,これらの証明法は,固定を含めた標本作製過程や標本採取時の影響により偽陽性・偽陰性反応を生じやすいだけでなく,再現性を高めるための前処理(増感法)を含めた技術論にも不安定な側面を有している1,2)

 近年,アポトーシス誘導因子,実行因子の同定とシグナル伝達経路の解析が盛んに行われ,アポトーシスにおいて生じる生化学的・形態学的変化の多くは,システインプロテアーゼの一種であるcaspasesによる特定蛋白質の限定分解に依存することが解明された.なかでもcaspase3はアポトーシス実行過程における中心的酵素であり,活性化されたcaspase3(cleaved caspase3,c-caspase3)を検出することで,組織・細胞内のアポトーシスをDNA断片化よりも早い段階から捉えることができる.加えてc-caspase3免疫染色は技術的に安定しており,感度および再現性に優れた組織化学的アポトーシス検出法である1,2)

 癌治療においてもアポトーシスは抗腫瘍効果発現に重要な役割を担っており,化学療法および放射線療法はアポトーシス誘導因子として理解されている.したがって,本稿では化学療法・放射線療法によって誘導されるアポトーシス経路におけるc-caspase3の位置づけについて概説する.次いで,癌臨床に連携した免疫組織化学の視点から治療の効果判定,治療効果・患者予後の予測におけるc-caspase3検出の意義について言及する.

一般検査室から私の一枚

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 気管支鏡後,洗浄液中に出現した細胞です.無染色で鏡検すると,線毛が必死に動き,生きている! まるで「私はここにいるよ」と訴えているようでした.思わずステルンハイマー(Sternheimer)染色をして,写真を撮ってしまいました.

今月の表紙

左房粘液腫 信岡 祐彦
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 今回は左房粘液腫の1例を提示する.

 【症例の概要】

 症例は15歳,女性.腹痛,下痢,発熱を主訴に近医を受診.当初なんらかの炎症性腸疾患が疑われたが,消化管に異常所見なく精査目的で当院を受診した.血液検査所見では,白血球数の増加とC反応性蛋白(C-reactive protein,CRP)の強陽性化に加え,血清蛋白γグロブリン分画の増加,血沈1時間値の亢進などの炎症所見と軽度の貧血が認められた.心電図所見は,心拍数80/分の正常洞調律で,不完全右脚ブロックの所見を認めた.

ラボクイズ

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はじめに

 グルコース非発酵グラム陰性桿菌(non-fermenting gram-negative rod,NF-GNR)はゲノム解析によりPseudomonas属と,ホモロジーの類似している各種の菌群に分類されている好気性菌である1~3).基本的にはグルコース(ブドウ糖)を嫌気的環境で発酵しないグラム陰性桿菌の総称で,臨床材料から分離される腸内細菌群と大別される.腸内細菌群は文字どおり人および動物の腸管内に生息する細菌群で,一部環境からも分離されるが,NF-GNRの多くは水,植物,土壌などの環境から分離されることが多く,院内感染の原因菌,敗血症,高齢者の肺炎や心内膜炎,新生児の髄膜炎,手術創や褥瘡などの皮膚・粘膜障害,各種カテーテル留置などの感染防御バリアの破綻した状態で特に感染しやすい4~6).本稿は,「検出菌の臨床的意義に関する問い合わせ―グルコース非発酵グラム陰性桿菌」というテーマで,当院で分離したNF-GNRの臨床サイドへの対応を,分離菌の傾向,感受性動向,投薬のシミュレーション,院内感染対策を基に解説を加える.

Laboratory Practice 〈臨床生理●脳波検査のステップアップ・7〉

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はじめに

 脳波検査は脳機能を評価し,診断を補助する検査として受け入れられ,実施が容易で,侵襲がなく,繰り返し施行できる点でも有用な検査法である.成人の脳波検査依頼の目的や対象疾患は,意識障害,脳の器質障害,炎症性疾患,てんかんなど多岐にわたる.臨床脳波の診断基準は健常成人脳波を基本とし,それからの偏りが一定範囲内にある脳波像を正常としているので,健常成人の脳波パターンを熟知することが肝要である.本稿では成人脳波の基礎活動と加齢による変化,高齢者の脳波を中心に述べる.

Laboratory Practice 〈血液〉

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はじめに

 臨床検査の標準化と聞いてすぐに思い浮かぶのは,臨床化学検査の標準化である.検体検査では臨床化学検査が最も長い歴史をもち,標準化も群を抜いて進んでいる.国際度量衡局(International Bureau of Weights and Measures; Bureau International des Poids et Mesures,BIPM)の下部組織である「臨床検査医学におけるトレーサビリティ合同委員会(Joint Committee for Traceability in Laboratory Medicine,JCTLM)」が承認した基準測定操作法と標準物質の多くは,化学量論的に計量学的トレーサビリティ(metrological traceability)がつながる臨床化学分野のもので,その測定結果は国際単位系(International System of Units; Systeme International d'Unites,SI)の基本量(base quantity)である重さ(または物質量,モル)につながっている.しかしながら血液学検査とりわけ血球計数では,測定対象が物質ではなく物体(細胞,または細胞に準じるもの)であることが,標準化を困難なものとしている.

 2005年の11月にパリのBIPMで開かれたJCTLM Meetingで,国際血液学標準化委員会(International Council for Standardization in Haematology,ICSH)のサイトメトリーパネル(expert panel on cytometry)の一員であるシスメックス社のFujimotoが,「Blood Cell Counting Standardization」1)と題し,赤血球数,白血球数,血小板数,ヘモグロビン濃度,ヘマトクリットの基準測定操作法と,6社の血液分析装置の測定値の比較結果についてプレゼンテーションを行った.このプレゼンテーションのなかで,特に赤血球数の基準測定操作法の詳細とその測定不確かさ(measurement uncertainty)を示したことが契機となり,血球計数(blood cell counting)についても国際測定標準としての基準測定操作法を検討する機運が高まった.翌2006年の11月に英国のテディントンで開かれたJCTLM Meetingで,同社のShirakamiが,「Standardization in Blood Cell Counting - Current Status and Future Direction」と題し,血球計数の計量学的トレーサビリティの現状と,基準測定操作法を検討する必要性を訴えた.現在,JCTLMの15番目のレビューチームとして血球計数のチームが立ち上がろうとしている.

Laboratory Practice 〈一般●精度管理・1〉

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はじめに

 精度管理は重要な業務であり,すべての検査項目が該当する.しかしながら,用手法で行われる検査については軽視される傾向がある.内部精度管理では測定値管理のみではなく,検査技術・試薬ロット管理など広範囲にわたる検査業務について実施する必要がある.2005年から開始された日本適合性認定協会(The Japan Accreditation Boards for Conformity Assessment,JAB)によるISO15189臨床検査室認定では,検査室要員に対して検査を実施する力量をもつことが求められている1).鏡検者の力量により結果に及ぼす影響がある形態検査は,内部精度管理の実施が必要不可欠である.本稿ではISO15189を踏まえて,簡易的な検査である尿定性検査や,形態検査である尿沈渣検査に必要な内部精度管理について概説する.

Laboratory Practice 〈生化学〉

亜鉛測定の自動分析 日暮 和彦
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はじめに

 亜鉛(Zn)は,生体内に広く分布し,多くの金属酵素の重要な構成成分として存在する1).生体内のさまざまな機能が亜鉛によって維持されており,亜鉛欠乏の検出は疾患の治療に結びつく重要な情報の一つとなる2)

 わが国の臨床検査においては,血清亜鉛のほとんどは原子吸光法,一部が除蛋白操作を必要とする用手法試薬にて測定されてきた.このような現状と,昨今の亜鉛測定の簡易化への要望の高まりに応じて,われわれはキレート剤を用いた亜鉛比色測定試薬「アキュラスオートZn」を開発した.本法は,除蛋白操作を必要としない,わが国初の直接比色法による自動分析装置用亜鉛測定試薬である.本稿では,本法の特性とともに亜鉛測定の特性についても論ずる.

けんさ質問箱

銀鏡反応について 吉村 忍
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Q.銀鏡反応について

染色で,結合組織の染色であるPAM(periodic acid-methenamine-silver)染色や,真菌を染め出すグロコット(Grocott)染色がありますが,銀液を使用したときに起こる銀鏡反応とはどのようなものですか.またどうしてそのような反応が起こるのですか.銀液に使用する器具の洗浄を十分に行うのも銀鏡反応と関係しているからなのでしょうか.また,廃液をどのように処分したらよいか教えてください.(福島 A.K.生)

A.吉村 忍

 「けんさ質問箱」に鍍銀染色における銀鏡反応の原理に関する質問と,銀液の廃棄に関する質問が同時期に寄せられてきたとのことなので,少し系統立てて銀染色に関する解説をします.

 銀を用いる染色法として,現在広く用いられている手技としては細網線維と膠原線維を染め分ける鍍銀染色,基底膜を染め出す過ヨウ素酸-メセナミン銀(PAM)染色,真菌の被膜を染め出すグロコット染色などが思い浮かびますが,銀染色は神経を染め出す手技に端を発しています.

トピックス

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椎間板ヘルニア遺伝子を取り巻く全体像

 1 . 椎間板ヘルニアとは

 椎間板は脊椎(いわゆる背骨)の椎体と椎体の間に存在し,ゲル状の軟骨様組織である髄核と,それを包む線維輪といわれる線維性の組織で構成される.脊椎の“クッション”のような役割を担っている組織である.椎間板ヘルニアは,この椎間板が変性し,髄核が線維輪を突き破って飛び出したり,線維輪が膨隆したりすることによって発症する.椎間板ヘルニアは頸椎や胸椎にも起こるが,特に腰椎の下部に多い.腰椎椎間板ヘルニアは骨・関節の疾患のなかで最も頻度の高い疾患の一つである.腰痛,座骨神経痛,足の麻痺,感覚障害などさまざまな厄介な症状を引き起こす.また,20~40歳の青壮年期に好発する.このため,労働生産性の低下などの社会的な問題も引き起こしている.

 このように椎間板ヘルニアは医学的にも,社会的にも重要な問題なのだが,その発症の根本的な原因や病態はわかっていない.そのため有効な治療法がないのが現状で,病態の解明,画期的な治療法の開発が待ち望まれている.

過冷却促進物 藤川 清三 , 春日 純
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はじめに

 水溶液を氷点下温度で長期間にわたり過冷却させることができれば,凍結では変成してしまう生物・医療材料などを,氷点下温度で低温保存することができ,一般的なプラス温度での低温保存に比べてより長期の保存が可能となる.しかし,現在のところ過冷却状態で材料を氷点下温度で長期間保存する試みはほとんど行われていない.この理由は,過冷却という現象が,あくまでも物理的に安定な状態ではないことによる.さらに,既存の過冷却促進物質は種類が非常に少なく,過冷却活性も比較的低いため,実用化は図られていない.しかし最近,寒冷地に成育する樹木において,-40°C付近の低温下で数週間以上にわたり細胞内の水分を過冷却により液体状態に保ったまま越冬する細胞から,これまでに知られている物質のなかで最大の活性をもつ,新規の過冷却促進物質が単離された.本稿では,これらのトピックを含めて過冷却促進物質について紹介する.

コーヒーブレイク

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 前回のコーヒーブレイクをどれほどの方にお読みいただいたか私にはわかりませんが,その2としまして続きを綴ってみたいと思います.

 1995年6月5日,長野県長野市に開院した長野市民病院に勤務しはじめました.日々雇用職員という待遇を承知のうえで10年余り勤めた公務員生活にピリオドを打ち帰省して生活する選択をしたのです.外来採血業務や輸血検査,一般検査を兼務することとなり,今までとは違った環境となりました.細胞診業務はしていたものの,生の標本を見る機会の多い一般検査はわからないことばかりでした.また当時は検査のシステム化に伴うリアルタイム検査業務の導入により圧倒的に血液検査が多く,尿検査は少なかったように思います.翌年からは正規職員となりましたが,運命なのか(?)またまた傷病休暇をいただく羽目になり,現場の方々には計り知れない負担を掛けてしまいました.その後2,3年は血液検査,微生物検査を担当し,1999年秋から再び一般検査を主とした検体検査業務を担当してきました.このころより両肩の傷病のため3,4年不自由な身で周囲の方には迷惑をかけながら勤務を続けていました.余りの辛さに何度も仕事を辞めようと思いました.尿沈渣検査にも自動化の波が押し寄せ,当院でも導入されましたが,効果的な運用に漕ぎ着けるまで相当苦労しました.一般検査を経験していると形態検査の自動化がいかに大変か思い知らされますが,自動化を推進する人々には理解が得にくい部分があったからです.しかし,自動化機の導入で疑問点を抱き,それを少しずつ解決することで自身の鏡検技術は向上していったと思います.色々な意味で辛かったこの期間が今の私を支えているとも考えられます.

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 これまで「捨てる」ことにスポットを当てて考えてきました.物が捨てられるようになれば,整理収納の問題は解決に向かいますが,捨てるという部分だけを見ていただけでは,本当の解決にはなりえません.

 なぜなら,物には常に流れというものがあるからです.例えば,家を大きな箱と考えてください.この箱にはさまざまな物が入ってきます(IN).入ってきたものは,箱の中に置かれます(STOCK).そして,消費されたりゴミとなって外に出ていきます(OUT).箱の外に出さない限り,STOCKは膨らんでいきます.物にはすべて,このIN-STOCK-OUTという流れがあるのです.

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 「地域の研修会」…皆さんは参加する機会がありますか?

 2007年度の日本臨床衛生検査技師会(以下,日臨技)福島県いわき支部の臨床化学研究班では,データ共有化とメタボリックシンドローム健診についての勉強会を,メーカーの学術部の方の協力を得て開催しました.5月は「臨床検査標準化の動向」をテーマに,10月は「脂質異常症」をテーマに行いました.

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あとがき 矢冨 裕
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 新年度を迎えた後のあわただしさが一段落するころでしょうか.臨床検査にとっての新年度を飾るニュースの一つに,診療報酬改定があります.このたびの2008年度の改定においては,多少ながらも,評価されるべき検査サービスに光が当たったという感があります.「医療の根幹をなす各種検査は診断や治療に必須のものであり,その質の確保は重要な課題」と明記されたうえで,外来における検査の迅速性や,24時間対応が可能な体制について重点的な評価がなされました.患者に役立ってこその検査ということだと思います.検査は日進月歩であり,絶え間ない勉学が必要ですが,一方で,患者へのフィードバックという視点も忘れることなく,本誌においても新しい情報をお伝えできればと思っております.

 さて,季節もよくなり,本格的な勉学シーズンの到来でしょうか.本号も,その材料を満載できていると思います.まず,“病気のはなし”では,國島伸治先生の「メイ-ヘグリン異常」が登場します.國島先生は,本疾患の発症にかかわる遺伝子異常を明らかにされるとともに,検査診断への応用を追求されています.今回,その成果を大変わかりやすく記述いただきました.“技術講座”は本格的なものが3本揃いました.「臨床化学基礎技術シリーズ」は,今回は温度がテーマです.この重要なパラメーターが,日常検査にどのように関係するか,プロの視点から解説されています.病理からは,アガロースを利用した簡便なセルブロック作製法という,実際的な解説をいただきました.また,血液からは,フォン・ビルブランド病という出血性疾患だけでなく,血栓症や血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の発症にも関与するフォン・ビルブランド因子の測定が解説されています.三者三様ですが,いずれも,執筆者の先生方のご尽力により,素晴らしい“技術講座”が構成できたと思っております.また,各連載欄もいつになくバラエティに富んでいると感じており,本号も大変充実した内容になっております.ぜひ,ご一読くださり,皆様の知識のアップデートにお役立てくださることをお祈りしております.

基本情報

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検査と技術
36巻6号 (2008年6月)
電子版ISSN:1882-1375 印刷版ISSN:0301-2611 医学書院

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