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椎間板ヘルニアの原因遺伝子
池川 志郎
1
1理化学研究所ゲノム医科学研究センター 骨関節疾患研究チーム
pp.544-546
発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102109
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椎間板ヘルニア遺伝子を取り巻く全体像
1 . 椎間板ヘルニアとは
椎間板は脊椎(いわゆる背骨)の椎体と椎体の間に存在し,ゲル状の軟骨様組織である髄核と,それを包む線維輪といわれる線維性の組織で構成される.脊椎の“クッション”のような役割を担っている組織である.椎間板ヘルニアは,この椎間板が変性し,髄核が線維輪を突き破って飛び出したり,線維輪が膨隆したりすることによって発症する.椎間板ヘルニアは頸椎や胸椎にも起こるが,特に腰椎の下部に多い.腰椎椎間板ヘルニアは骨・関節の疾患のなかで最も頻度の高い疾患の一つである.腰痛,座骨神経痛,足の麻痺,感覚障害などさまざまな厄介な症状を引き起こす.また,20~40歳の青壮年期に好発する.このため,労働生産性の低下などの社会的な問題も引き起こしている.
このように椎間板ヘルニアは医学的にも,社会的にも重要な問題なのだが,その発症の根本的な原因や病態はわかっていない.そのため有効な治療法がないのが現状で,病態の解明,画期的な治療法の開発が待ち望まれている.
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