臨床医からの質問に答える
検出菌の臨床的意義に関する問い合わせ―グルコース非発酵グラム陰性桿菌
源 不二彦
1
,
鈴木 正人
1
,
柴田 浩子
1
1東京大学医科学研究所附属病院検査部細菌検査室
pp.533-540
発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102107
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はじめに
グルコース非発酵グラム陰性桿菌(non-fermenting gram-negative rod,NF-GNR)はゲノム解析によりPseudomonas属と,ホモロジーの類似している各種の菌群に分類されている好気性菌である1~3).基本的にはグルコース(ブドウ糖)を嫌気的環境で発酵しないグラム陰性桿菌の総称で,臨床材料から分離される腸内細菌群と大別される.腸内細菌群は文字どおり人および動物の腸管内に生息する細菌群で,一部環境からも分離されるが,NF-GNRの多くは水,植物,土壌などの環境から分離されることが多く,院内感染の原因菌,敗血症,高齢者の肺炎や心内膜炎,新生児の髄膜炎,手術創や褥瘡などの皮膚・粘膜障害,各種カテーテル留置などの感染防御バリアの破綻した状態で特に感染しやすい4~6).本稿は,「検出菌の臨床的意義に関する問い合わせ―グルコース非発酵グラム陰性桿菌」というテーマで,当院で分離したNF-GNRの臨床サイドへの対応を,分離菌の傾向,感受性動向,投薬のシミュレーション,院内感染対策を基に解説を加える.
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