- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
新年度を迎えた後のあわただしさが一段落するころでしょうか.臨床検査にとっての新年度を飾るニュースの一つに,診療報酬改定があります.このたびの2008年度の改定においては,多少ながらも,評価されるべき検査サービスに光が当たったという感があります.「医療の根幹をなす各種検査は診断や治療に必須のものであり,その質の確保は重要な課題」と明記されたうえで,外来における検査の迅速性や,24時間対応が可能な体制について重点的な評価がなされました.患者に役立ってこその検査ということだと思います.検査は日進月歩であり,絶え間ない勉学が必要ですが,一方で,患者へのフィードバックという視点も忘れることなく,本誌においても新しい情報をお伝えできればと思っております.
さて,季節もよくなり,本格的な勉学シーズンの到来でしょうか.本号も,その材料を満載できていると思います.まず,“病気のはなし”では,國島伸治先生の「メイ-ヘグリン異常」が登場します.國島先生は,本疾患の発症にかかわる遺伝子異常を明らかにされるとともに,検査診断への応用を追求されています.今回,その成果を大変わかりやすく記述いただきました.“技術講座”は本格的なものが3本揃いました.「臨床化学基礎技術シリーズ」は,今回は温度がテーマです.この重要なパラメーターが,日常検査にどのように関係するか,プロの視点から解説されています.病理からは,アガロースを利用した簡便なセルブロック作製法という,実際的な解説をいただきました.また,血液からは,フォン・ビルブランド病という出血性疾患だけでなく,血栓症や血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の発症にも関与するフォン・ビルブランド因子の測定が解説されています.三者三様ですが,いずれも,執筆者の先生方のご尽力により,素晴らしい“技術講座”が構成できたと思っております.また,各連載欄もいつになくバラエティに富んでいると感じており,本号も大変充実した内容になっております.ぜひ,ご一読くださり,皆様の知識のアップデートにお役立てくださることをお祈りしております.
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.