病気のはなし
メイ-ヘグリン異常
國島 伸治
1
1国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター止血血栓研究部病因研究室
pp.470-474
発行日 2008年6月1日
Published Date 2008/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102088
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サマリー
メイ-ヘグリン異常(May-Hegglin anomaly)は,巨大血小板,血小板減少,白血球封入体を特徴とする先天性血小板異常症である.白血球封入体はデーレ様小体(Döhle-like body)とも呼ばれ,顆粒球細胞質に1ないし数個認められ,紡錘形,メイ-ギムザ染色(May-Giemsa stain)などで青色に染色される.最近,本疾患はミオシン重鎖遺伝子MYH9の異常が原因で起こることが判明した.類縁疾患と考えられていた他の先天性巨大血小板性血小板減少症〔セバスチャン症候群(Sebastian syndrome),フェクトナー症候群(Fechtner syndrome),エプスタイン症候群(Epstein syndrome)〕の原因もMYH9異常であることがわかり,包括したMYH9異常症が提唱されている.従来,メイ-ヘグリン異常は血液学的異常のみを呈すると考えられていたが,アルポート症候群(Alport syndrome)様の症状(腎炎,難聴,白内障)を合併することもあるため十分な経過観察が必要である.白血球封入体にはミオシン蛋白の異常集積があり,新規鑑別診断法としてミオシン免疫蛍光染色の有用性が報告されている.
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