medicina 36巻3号 (1999年3月)

今月の主題 高脂血症と動脈硬化

Editorial

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●現在までに判明しているevidenceは,高脂血症治療による①総死亡を含む心血管イベントの抑制,②動脈壁隆起病変(プラーク)の進展抑制もしくは退縮,③プラーク構成細胞の機能改善などである.

●これらの事実の基盤を形成したのは,基礎的研究,薬剤の開発,臨床研究が三位一体となって進んできたことによる.

高脂血症から動脈硬化へのプロセス

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●血中LDL量が多いほど動脈硬化性疾患の発症率や死亡率が高く,逆にHDL量が多いほどこれらの疾患に罹患しにくい.

●酸化変性を受けたLDLが生体内,主として血管内皮下層の動脈硬化病変の局所に存在し,動脈硬化の発症,進展に深くかかわっていることが明らかにされてきた.

●LDLの酸化変性を抑制することによって動脈硬化を予防できることが動物実験で証明された.

●ヒトにおける臨床効果として,PTCAの再狭窄の予防にプロブコールが有効であった.

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●ヒト冠動脈硬化病変においては,時に脂質に富むlipid-rich plaqueが形成され,このlipid-rich plaqueの破裂・血栓形成が急性冠動脈症候群の一因となる.

●lipid-rich plaqueは極めて薄い線維性キャップを有しており,破裂しやすい.

●プラーク破裂とプラークびらんの両病変部位には,マクロファージやTリンパ球などの炎症性細胞の浸潤がみられる.

●急性冠動脈症候群の発症に関与するプラークの炎症性プロセス進展の一因として,酸化LDLが関与している可能性が示唆される.

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●酸化LDLは血管内皮細胞の様々な機能を変化させることで,粥状動脈硬化の発生に深くかかわっている.

●VLDLレムナントは,LDLと同様に内皮細胞障害を惹起しatherogenicに働く.

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●変性LDLの最も著明な生物学的特性は,LDL受容体に対するリガンド活性の消失と,スカベンジャー受容体に対するリガンド活性の獲得である.

●動脈硬化由来平滑筋細胞はスカベンジャー受容体やc-fmsを発現しており,変性LDLを取り込む.

●平滑筋細胞によるコラーゲンをはじめとした細胞外マトリックスの産生減少,そして泡沫化マクロファージによるマトリックス分解酵素(MMP)の分泌が線維性被膜を破れやすくするのではないかと考えられている.

臨床で必要な動脈硬化診断—脂質との接点

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●動脈硬化症は無症状のうちに進行するため,診察時には予防という観点から,危険因子についての家族歴や現病歴,身体所見を見落とさないようにする.

●血圧の左右差,上下肢差,異常な動脈拍動,血管雑音などを認めたときは,臓器の虚血症状がなくても動脈硬化症の存在を疑う.

●ほとんどの高脂血症患者は無症候であるので,日常診療においては血清脂質のスクリーニングが重要である.

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●心筋虚血所見として最も早期に出現するのは心筋血流低下で,次いで心筋代謝異常,緊張不全,収縮不全,心電図変化,狭心痛の順となる.

●負荷心エコー法は,低用量では生存心筋の壁運動の回復(心筋バイアビリティの検出),高用量では虚血心筋の壁運動低下(心筋虚血の検出)に用いられる.

●CAGは,冠動脈病変の広がりや形態を評価し,血行再建(PTCAまたはバイパス手術)の適応を決定するうえで不可欠である.

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●高脂血症患者にみられる早期動脈硬化病変の非侵襲的診断法として,エコー断層装置を用いた頸動脈壁肥厚度の計測が有用である.

●頸動脈壁肥厚度と冠動脈硬化症や脳動脈硬化症との関連性が知られている.

●抗高脂血症剤の治療効果として頸動脈壁肥厚度の進展の減少が報告されており,治療効果の評価にも有用である.

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●血管内エコー法は,冠動脈造影では得られない動脈硬化性病変の形態・性状を評価することが可能である.

●血管内エコー法は動脈硬化病変の評価のみならず,冠動脈インターベンションにおけるdeviceの選択,エンドポイントの決定などに応用されている.

●不安定狭心症や心筋梗塞の病態解明に血管内エコー法は有用である.

高脂血症の診断と新たな検査法

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●血清中のコレステロールやTGはすべてリポ蛋白中に存在するので,高脂血症とは高リポ蛋白血症を意味している.

●カイロミクロンやVLDLはTGの含有量が多い.

●LDLやHDLはCEの含有量が多い.

●電気泳動法では,正常者の空腹時血清リポ蛋白はβ(LDL),pre-β(VLDL),α(HDL)分画に分離される.

●アポB/LDL-C比が高いときはatherogenicな小型のLDLの増加が疑われる.

●アポC-IIはLPLを活性化させる.

●III型高脂血症ではTGやアポC-IIIの増加に比べてアポEの増加が著しい.

●HDL-Cが100mg/dl以上の場合を高HDL血症という.

●Lp(a)の血中濃度が25〜30mg/dlを超えると動脈硬化性疾患の合併率が高い.

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●Friedewald計算式によるLDLコレステロールは,超遠心法またはβ-quantification法によるLDLコレステロールとの相関,同一性は高い.

●直接測定法は,比重1.006〜1.063のLDLコレステロールの測定については精度が高く,少なくとも基本法である超遠心法の結果とよく一致している.

●LDLコレステロールの直接測定法は精度も高く,空腹採血の必要もなく,自動分析装置での大量測定が可能であるが,脂質代謝異常のある場合の解釈には十分注意が必要である.

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 近年,血清トリグリセライド(TG)値と動脈硬化性疾患の関連性を再認識する機運が高まっている1).一方,高TG血症を呈する病態は均一でなく,同じ血清TGの増加をみる病態でも,例えば家族性III型高脂血症,家族性複合型高脂血症(FCHL)や,さらに糖尿病性高TG血症などは動脈硬化性疾患を高頻度に合併する疾患であるが,I型高脂血症や家族性IV型高脂血症では,動脈硬化性疾患の合併は正常コントロールに比して差がない.高TG血症と動脈硬化性疾患との関連性を認識するうえで,特に血清中のレムナントリポ蛋白の病因としての重要性が唱えられている2,3)

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●酸化LDLは動脈硬化を反映しているマーカーであると考えられる.

●酸化LDLに対するモノクローナル抗体を用い,血漿中に存在する微量の酸化LDLの測定が可能となり,虚血性心疾患患者の血漿中酸化LDLは健常者に比べ有意に高値を示した.

●血漿中酸化LDLの増加が動脈硬化の原因となるのか,あるいは,動脈硬化の進展に関与している因子なのかなど不明な点も多く,今後解明されていくことが期待される.

LDLの易酸化性 蘆立 恵子 , 川村 光信
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●分離・精製したLDLにおいて,各方法で感知できる酸化指標物質のbaseline値を測定するだけでなく,酸化惹起物質を加え,経時的にlipid peroxides,チオバルビツール酸反応物質や共役ジエン(CD)を測定し,これらの物質が形成される量の多寡や時間的な長短などを比較して,LDL易酸化性の指標としている.

●CDは,特に各種の抗酸化物質の動脈硬化抑制効果を検討するための実験で汎用されている.

●CD測定で得られるlag timeはLDLの易酸化性の指標として用いられているが,本当に抗動脈硬化作用の指標となりうるか否かはまだ明らかではない.

高脂血症治療のevidence

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●初発抑制試験(一次予防試験)とは,冠動脈疾患をもたない高脂血症患者にその是正を行った場合,冠動脈疾患の発生がどこまで抑えられるかを検討した試験である.

●WOS studyでは,イベント発生率が約31%低下,総死亡率が22%減少した.

●高脂血症治療の意義は,冠動脈疾患などの心血管イベントの抑制であり,単に血清脂質値だけでなく,リスクファクターに配慮した治療を行うことが必要である.

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●脂質に富み不安定なプラークが,コレステロール低下療法による脂質蓄積の抑制によって安定化し,その結果心血管イベントの発生が大幅に減少するものと考えられる.

●高脂血症治療により,プラークの安定化と内皮機能の改善を介して,心血管イベントの発症を抑制することが可能になった.

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●日本の予防試験の実績は極めて少ない.その理由は種々あげられるが,煎じ詰めるとデータに基づいた医療が必ずしも求められていなかったことによる.しかし,適正な医療を行うためには日本においても予防試験を実施していく必要がある.

●そのためには,医療者,国民の医療に関する意識を改革するとともに,予防試験を実施するための体制,研究費および人材育成が必要である.

高脂血症診療ガイドライン

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●20歳から60歳代まで(性ホルモン成熟期)は,心筋梗塞は男性で4倍以上多くみられる.

●高脂血症ガイドラインは冠動脈疾患を念頭に置いて作られている.冠動脈疾患の合併が既にある患者の二次予防には,血清CHOLは“低ければ低いほど良い”.

●高CHOL血症の管理が十分なされれば,冠動脈疾患が半減する日も遠くない.

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●米国,ヨーロッパ,日本の高脂血症,冠動脈疾患予防のためのガイドラインが出揃った.

●3地域とも,総コレステロールとともにLDL-コレステロールの指標を重視している.

●高コレステロール血症あるいは高LDL血症の基準値は日米欧で異なる.しかし,総コレステロール200mg/dl以下が冠動脈疾患の発症に対しては適正域であるという点は一致している.

ガイドラインの使いかた 江草 玄士
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●動脈硬化と最も関連の強いリポ蛋白は低比重リポ蛋白であり,血清総コレステロールで管理の判断を行うよりもLDL-コレステロール(C)値に基づくほうが的確である.

●ガイドラインの最終目標は冠動脈疾患の一次,二次予防であり,高コレステロール血症以外の危険因子の管理も重要である.

●日本人の高脂血症者数が増加し続けていることや医療経済への影響などを考えると,今後ライフスタイル是正の重要性はますます高まるといえる.ガイドラインでも食事療法の重要性が繰り返し強調されている.

心血管イベントの抑制のために

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●心血管イベントは,脂質蓄積によって生じたプラークが破綻し,血栓が形成され,急性血管閉塞が生ずることにより発症する.

●高脂血症は,食生活の欧米化や運動不足などの生活習慣の変化に伴い,糖尿病などとともに顕著に増加しており,これらの動脈硬化危険因子が集簇する病態は,腹腔内内臓脂肪の蓄積が基盤となる.

●大規模臨床試験において,薬物治療による脂質低下は心血管イベントを抑制することが明らかとなっている.

●増殖因子を用いた血管新生治療も臨床応用が既に始まっている.

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●高コレステロール血症以外の冠危険因子を十分把握する必要がある.

●生活療法に際しては,食事指導のみならず,禁煙,運動療法など広義のライフスタイルについてよく把握し,全体を好ましい方向へ指導していくことが肝要である.

●薬物療法の開始基準値を参照し,薬物選択は,副作用,薬物相互作用などにも配慮しながら柔軟に決定したい.

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●1997年10月発行の日本動脈硬化学会誌において,高TG血症の診断基準値として,早朝空腹時採血において血清TG150mg/dl以上が提示された1)

●設定値より高値が得られた場合はすぐに治療を開始するのではなく,採血前日はアルコールの飲用を避け,10時間以上の絶食を再度徹底したうえでの再検査を施行し,再び設定値より高値が得られた場合に治療を開始すべきである.その場合も,血清TG値1,000mg/dlを超える場合を除いて,2〜3ヵ月は食事療法,運動療法の励行にて観察し,いたずらに早期から薬物療法を開始することは避けるべきである.

●すべての高TG血症が動脈硬化を引き起こすとは考えにくく,治療が必要な症例の見極めも重要である.すなわち,高TG血症がもたらすレムナントの増加,HDl-C低下,small dense LDLの出現,凝固線溶異常などの代謝異常の有無や内臓肥満の合併の有無を症例ごとに綿密に検討し把握したうえで治療にあたることが望まれる.

HDLをどうするか 木下 誠
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●低HDL血症は動脈硬化症の危険因子として認識されている.動脈硬化学会では,HDL-cが40mg/dl以下の状態を低HDL血症と定めている.

●現在特異的にHDLのみを増加させる薬剤はない.したがって,低HDL血症の治療としてはその原因を排除することが第一である.

●高HDL-c血症に対して治療を行うべきか否かに関しては,まだ意見の一致をみていない.

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●心筋梗塞や脳血栓症などの原因となる動脈血栓症と深部静脈血栓症などの静脈血栓症との間には,血栓形成に関与するメカニズムに違いがみられる.すなわち前者は血小板が主体となった血栓(血小板血栓)であり,後者は血液凝固因子の関与が強い.

●心血管イベントの再発予防に対する抗血小板療法の効果は既に確立されたものと思われる.

●抗凝固療法のモニター法も変化がみられ,国際的にはワルファリンの効果の判定に標準化されたプロトロンビン時間比(INR)を用いる方向にある.

高脂血症薬の使いかた

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●総コレステロール値を下げることにとどまらず,複数の危険因子をできるだけ少数の薬剤でコントロールするために,個々の症例の脂質代謝異常の特徴をつかんだ的確な薬剤選択の重要性が,今後一層増していくと考えられる.

●LDL-C低下効果,服薬コンプライアンスなどから考えて,スタチン系を第一選択とするのが適当と考えられる.

●IIb型の治療では,TC,LDL-CをIIa型と同様に降下させるだけでなく,TGの値も150mg/dl程度を目標に低下させる必要がある.

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●高脂血症の治療において単剤で効果が不十分な場合でも,併用により強い効果が期待できる.

●高コレステロール血症に対してはHMG-CoA還元酵素阻害剤,高トリグリセリド血症にはフィブラート系薬剤を中心に併用し,組み合わせにより特徴があるが,第2剤は比較的少量でも効果がみられる場合がある.一方,併用にあたっては横紋筋融解症,肝・腎機能障害などの危険性が増すので,十分な注意が必要である.

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●スタチン系薬剤との相互作用を考える場合,チトクロームP450の薬物代謝に注意する。

●フィブラート製剤とスタチンの併用時,腎機能増悪と黄紋筋融解症の発現に注意する.

●ニセリトロールは耐糖能を増悪させる場合があり,経口糖尿病薬やインスリンの使いかたに注意する.

合併する他の危険因子のコントロール

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●遺伝素因を背景として,ライフスタイルの急激な変化,特に動物性脂肪の摂取の増加,運動量の低下といった体内のエネルギー収支のアンバランスが,糖尿病や高脂血症の大きな原因となっている.

●糖尿病は,シンドロームXや死の四重奏とともに冠危険因子を重複する代表的な病態であり,この際に主役となる高脂血症はトリグリセリドの増加とHDLの低下である.

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●高脂血症を伴う高血圧患者では血圧管理が重要であるが,血圧管理のみでは動脈硬化性心疾患の予防は十分に達成できない.

●外来血圧は年齢にかかわらず140/90mmHg未満を降圧目標とし,非薬物療法による血圧の経過観察は半年を限度にする.

●α1遮断薬は脂質代謝を改善する.ACE阻害薬,カルシウム拮抗薬,AII受容体拮抗薬,ISAまたはβ1選択性を有するβ遮断薬,半綻のサイアザイドは脂質代謝への影響は少なく,少量多剤併用療法を考慮すべきである.

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●肥満のなかでも内臓脂肪型肥満は,高脂血症をはじめ耐糖能異常,高血圧などのマルチプルリスクを合併する動脈硬化易発症状態である.

●脂肪細胞はアディポサイトカインと呼ばれる様々な生理活性物質を分泌しており,体脂肪蓄積による病態の発症にも関連していることがわかってきた.

●内臓脂肪蓄積による病態の改善には,運動療法,食事療法を積極的に行い,内臓脂肪の減少を試みる.

クリニカル・ワークショップ

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 寺本(司会) 1997年の暮れにわが国の動脈硬化学会のガイドラインが発表されました.その背景には,薬剤の開発による治療法の進歩があると思いますが,もとをたどれば,高脂血症の病態解明そのものがだいぶ進んだということもあります.治療法の開発の結果,高脂血症の治療が動脈硬化の予防につながるといういくつかのevi-denceが出てきていて,今回のガイドラインはそれに基づいた形で作成されています.

 ところでガイドラインというのは,基本的には一般診療における指針を明確かつ簡便に記したものです.しかし,それを実際にどう使うかとなると,やはり個々の症例において考えていかざるを得ません.つまり実際の臨床では,目の前の患者さんにガイドラインのどこに当てはめて,どう考えていくかとなると,なかなかうまく合わない部分もあるわけです.そこで本日は,具体的に症例をみながら,実際の診療でどうマネジメントしていくかについて,先生方にご意見を伺っていきたいと思います.

理解のための18題

カラーグラフ 内科医が知っておきたい眼所見・6

硝子体疾患・網膜剥離 樋田 哲夫
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硝子体の病変

 硝子体は視機能に影響する病変の主体となることは少ない.炎症や出血など2次的な変化が多い一方,種々の網膜病変の誘因となることがしばしばある.

連載

目で見るトレーニング

図解・病態のメカニズム 胆道疾患・5

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病態

 1.胆道における細菌感染の発生と進展

 胆管炎,胆嚢炎はともに胆汁がうっ滞し,細菌感染が発生したために生じた病態と考えられる.しかし,どのような経路で細菌感染を生じて胆管炎および胆嚢炎を完成させるのであろうか.胆道系の細菌感染経路についてすべての病態にあてはまる一定した説は必ずしもなく,原因疾患に依存することが多いといわれている。原因疾患別にみてみると,胆管炎では総胆管の結石症が大半を占めているという報告や,悪性胆道閉塞と総胆管結石による胆管炎が半分ずつ占めているという報告もあり,この頻度については地域差や施設による違いが非常に多いようである.

 胆嚢炎については原因のほとんどが結石による閉塞であり,腫瘍により閉塞して生ずるものは非常に少ない.無石胆嚢炎というものが報告されているが,これはおそらく小さな胆石の存在を確認できないか,あるいは膵液の胆嚢内への逆流によって生じているともいわれている.

続・アメリカの医学教育 スタンフォード大学病院レジデント生活(最終回)

コンサルタント 赤津 晴子
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コンサルタントチーム

 内科レジデントのトレーニングの3年間には,消化器,腎臓,内分泌,呼吸器,感染症,リウマチ,血液など,内科の各専門分野のほとんどすべての科を約1ヵ月間ずつローテーションする.専門内科のローテーションでは,一般内科や集中治療室で主治医として患者を直接担当するという立場とは違い,その専門分野のフェロー,アテンディングに混ざってコンサルタント医という立場から患者のケアに携わる.

 病院内には各専門内科チームが,コンサルタントチームとして24時間勤務にあたっている.そのコンサルタントチームはアテンディング,フェロー,レジデント,医学生からなる.例えば呼吸器内科であれば,呼吸器内科専門のアテンディング1人,呼吸器内科フェロー1人,内科レジデントが1人,そして医学生が1人ないし2人といったところが平均的なチームである.コンサルタントチームの役割は,病院の様々な科から要請のあった入院患者を診,ケアのアドバイスを与えることである.一般内科,集中治療室にとどまらず,外科,産婦人科など多岐にわたる科からコンサルタントの要請を受ける.

医道そぞろ歩き—医学史の視点から・47

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 フレミングがペニシリンの発見でノーベル医学賞を授与されたのは,太平洋戦争に日本が敗れた1945年のことである.当時,日本では肺炎や気管支炎で年間14万人も死んでいたが,ペニシリンが手に入り始めて数年のうちに4万人程度に減った.ペニシリンの効力はまさに奇跡であった.ロンドンのペディントンのセントメリー病院には,フレミングの実験机や実験道具,ペニシリンかびが生えた培養皿が当時のまま保存されている.

 スコットランド人で,エアシア郡ロックフィールドの農家に生まれたフレミングは,8人の同胞の第6子であった.遠い道を歩いて通学していた10歳のころ,転んで鼻を骨折し,一生ボクサーのような鼻をしていた.14歳のとき医者をしていた兄を頼ってロンドンに出て,17歳で船会社に書記として就職した.1901年におじの遺産が入り,医学を志したフレミングは,ロンドン大学奨学生になり,セントメリー病院に進学した.

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 宮坂(信)(司会) 読んで字のごとく,免疫というのは病気から免れるメカニズムということで,これまでの人類の感染症との闘いのなかで免疫学も進歩してきました.また,昨今は免疫学単独ではなく,分子生物学,遺伝子工学といった様々な分野とのドッキングが行われ,その成果は次々と臨床に応用されています.

 しかし「免疫学の地図」となると,既に書き込まれた部分についても,それがいつまでも正しいわけではなくて,常に書き換えが必要です.また,ある部分についてはまだ全くの白紙の状態であり,これについてはこれからどんどん書き込まれていくであろうと思います.

基本情報

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medicina
36巻3号 (1999年3月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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