医道そぞろ歩き—医学史の視点から・47
ペニシリンを発見したフレミング
二宮 陸雄
1
1二宮内科
pp.540-541
発行日 1999年3月10日
Published Date 1999/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905966
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フレミングがペニシリンの発見でノーベル医学賞を授与されたのは,太平洋戦争に日本が敗れた1945年のことである.当時,日本では肺炎や気管支炎で年間14万人も死んでいたが,ペニシリンが手に入り始めて数年のうちに4万人程度に減った.ペニシリンの効力はまさに奇跡であった.ロンドンのペディントンのセントメリー病院には,フレミングの実験机や実験道具,ペニシリンかびが生えた培養皿が当時のまま保存されている.
スコットランド人で,エアシア郡ロックフィールドの農家に生まれたフレミングは,8人の同胞の第6子であった.遠い道を歩いて通学していた10歳のころ,転んで鼻を骨折し,一生ボクサーのような鼻をしていた.14歳のとき医者をしていた兄を頼ってロンドンに出て,17歳で船会社に書記として就職した.1901年におじの遺産が入り,医学を志したフレミングは,ロンドン大学奨学生になり,セントメリー病院に進学した.
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