臨床皮膚科 62巻13号 (2008年12月)

連載 Clinical Exercise・16

Q考えられる疾患は何か? 三宅 亜矢子
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症例

患 者:63歳,女性,イラン人

主 訴:軀幹,四肢の皮疹

家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:15年前より高血圧のためアテノロール,1年前より狭心症のためニフェジピンとニトログリセリン内服中.

現病歴:3年前より自覚症状を伴わない皮疹が出現した.徐々に拡大したため精査目的に来日した.

現 症:頭頸部,および肘窩,膝膕などの間擦部を除くほぼ全身に,境界明瞭で小豆大程度の褐色扁平隆起性丘疹が密に汎発性に存在していた.一部は融合し,軽度落屑を伴っていた.表在リンパ節は右頸部,両腋窩に小指頭大のものを数個触知した.肝脾腫なし.

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要約 40歳,女性.3年前,左膝に自覚症状のない径2.5cm大の紅色結節が出現した.各種培養,病理組織検査など施行したが確定診断には至らず,皮疹は自然消退した.その後も時折,小丘疹の出没は認めていたが,3か月前より軀幹・四肢に毛囊炎様の紅色丘疹が出現し,症状が増悪した.病理組織学的に真皮から皮下脂肪織にかけてリンパ球,好中球,好酸球,組織球よりなる稠密な細胞浸潤があり,組織球の細胞質内に無傷のリンパ球・好中球の所見(emperipolesis)を認めた.全身症状,頸部リンパ節腫脹など,節外病変は認めず,皮膚Rosai-Dorfman病と診断した.数週から数か月の経過で皮疹は平坦化し,色素沈着を残して消退した.毛囊周囲の細胞浸潤が認められ,毛囊炎に対する組織球の過剰な反応として形成された可能性が示唆された.

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要約 75歳,女性.左膝部の皮疹に対し,エンチマッククリーム®(ブフェキサマク:以下,BXM)を1~2回外用したところ,同部より紅斑を生じ,両下腿に粟粒大の紫斑が多発した.アナフィラクトイド紫斑,接触皮膚炎を疑い,入院した.安静により紫斑は速やかに消退したが,逆に外用していなかった大腿,軀幹,上肢に浮腫性紅斑が次々と拡大していった.パッチテストは本剤に陽性となり,BXMによる接触皮膚炎と診断した.汎発性紅斑を呈するようなBXM接触皮膚炎の当教室例,本邦報告例をまとめてみると,成人女性に多く,発症にはウイルスや溶連菌などの感染部位への外用が発症誘因の1つと考えられた.本症は,好発部位,皮疹の性状,病理組織,基盤の感染症などに関して,接触皮膚炎より水銀皮膚炎,acute generalized exanthematous pustulosisと共通点が多く,類似の発症機序が考えられた.

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要約 8歳,男児.近医皮膚科にて足白癬に対し,ニゾラール ®クリームを処方された.1か月間使用したが悪化し,ペキロン ®クリームに変更してもさらに悪化したため,同剤も中止した.ラミシール ®錠内服に変更したが症状は改善しないため,中止した.当科にて接触皮膚炎として治療したところ,軽快した.皮疹軽快後,パッチテストを施行した.ニゾラール ®クリームに陽性であったが,他の抗真菌薬でも陽性反応を認めた.そこで,成分パッチテストを施行したところ,基剤成分のセタノールに陽性反応を示した.また,ステアリルアルコールを含む抗真菌薬にも交叉反応がみられた.

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要約 51歳,男性.2か月間持続する紅皮症および頸部・腋窩・鼠径部の表在性リンパ節腫脹をきたしたため,悪性リンパ腫を疑われて京都大学病院を紹介された.鼠径部リンパ節生検で悪性リンパ腫は否定された.当科の検討で職業が金属洗浄業であり,洗浄液にクロムとコバルトが含まれていることが判明し,紅皮症の原因として金属アレルギーを疑った.金属パッチテストでコバルトにのみ強陽性を示した.パッチテスト4日目より全身の潮紅が認められたため,コバルトによる職業性接触皮膚炎症候群と診断した.

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要約 42歳,男性.多発性硬化症(MS)による筋力低下のため,7年前よりベタフェロン ®を自己投与していた.MSの悪化のため入院し,ステロイドパルス療法を受けた.不眠のためレンドルミン ®を内服していたところ,左大腿,左手背に類円形の紅斑,水疱が出現した.病理組織学的所見では基底層に液状変性,個細胞壊死を認め,固定薬疹と考えた.初診3か月後,MSの症状が再び悪化し,再入院した.ステロイドパルス療法の施行とともにレンドルミン ®の内服をしていたところ,前回出現した同じ部位に加え,背部に水疱を伴う紅斑が出現した.レンドルミン ®のリンパ球刺激試験が陽性であり,病歴よりレンドルミン ®による固定薬疹と診断した.本剤による固定薬疹はきわめて稀である.

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要約 76歳,男性.初診の約1か月前から全身に掻痒を伴う紅斑が散発し,口腔内に水疱,びらんが生じてきた.紅斑は水疱となり,口腔内症状が悪化したため,当科を受診した.皮膚生検で表皮下水疱を認め,蛍光抗体直接法で表皮基底膜部にIgG,C3の線状沈着がみられ,粘膜類天疱瘡と診断した.ステロイド投与を開始したが口腔内水疱の新生が続き,ステロイドを増量したところ,水疱の新生は減少したが,減量とともに再燃し,鼻腔内のびらん,鼻出血も生じてきた.シクロスポリンを併用したが効果はなく,治療に難渋した.1M食塩水剝離皮膚を基質とした蛍光抗体間接法では真皮側にIgGが反応し,精製ラミニン5を用いた免疫ブロット法ではγ2サブユニットに反応を示した.以上の結果より,抗ラミニン5粘膜類天疱瘡と診断した.

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要約 73歳,女性.2年前より軀幹,四肢に掻痒の強い紅斑,丘疹,びらんが出現し,数か月ごとに再燃,寛解を繰り返していた.最近になって一部に小水疱を呈するようになった.病理組織は棘融解を示し,臨床症状と合わせてpersistent acantholytic dermatosisと診断した.抗アレルギー薬内服,ステロイド外用にて3か月後に皮疹はほぼ完全に消退した.皮膚炎として長期間治療されていた症例が水疱を呈したことで診断に至った.

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要約 3歳,男児.家族歴なし.両手掌,足底に出生時より徐々に増悪する過角化性局面を認める.確定診断のため,左手掌部より生検術を施行したところ,角質増殖,表皮肥厚に加えて限局的かつ軽微な顆粒変性が認められた.ケラチン9遺伝子の解析を行ったところ,1A領域の479番目の塩基にアデニンからグアニンへの点突然変異が同定され,160番目のアミノ酸がアスパラギンからセリンへ置換されていたため,Vörner型先天性掌蹠角化症と診断した.臨床像は典型的であったが,本症に特徴的であった組織像と遺伝子変異との関係について,若干の考察を加え報告した.

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要約 38歳,女性.2007年3月,自律神経失調症に対し,星状神経節ブロックを約1か月行ったところで,掌蹠を除く頸部以下に米粒大までの紅色丘疹が出現した.近医で中毒疹と診断され,プレドニゾロン(PSL)を投与されたが改善なく,当科を紹介された.顔面,頸部,前胸部,掌蹠を除く,ほぼ全身に粟粒大から米粒大までの鱗屑を伴う紅色丘疹ないしは紅斑を播種状に認め,褐色斑も混在していた.触診上,皮疹を認めない部位に発汗過多を認める一方,皮疹部は著明な乾燥傾向を示した.病理組織学的所見で,汗管周囲に細胞浸潤を認めたことから,発汗異常に関連して生じた慢性苔癬状粃糠疹と診断した.ステロイド外用を直ちに中止するとともにPSL内服も漸減,中止し,十分量の保湿剤(25g/日)のみを外用させたところ,皮疹は約8週間の経過でほぼ消退した.発汗異常に関連して本症が発症した機序につき,組織学的検討を含め若干の考察を加えた.

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要約 34歳,女性.先天性副腎過形成症候群にて出生時よりステロイドを内服している.5年前より両下腿に皮下結節が出現し,徐々に増数してきた.初診時,両下腿前面に径2cm大までの結節が孤立性または多発癒合していた.病理組織学的所見では,薄い線維性の被膜に覆われた脂肪細胞の壊死融解像を認め,一部に膜囊胞性病変や石灰化も伴っていた.自験例では以前より下腿にしばしば皮下出血を認めていた.したがって,血行障害を起こしやすい部位である下腿に,打撲などの外的刺激を繰り返し受けたことにより強い血流障害が生じ,脂肪組織が壊死に陥った結果生じたと考えた.また,ステロイドの長期内服が自験例での多発性病変の形成に関与したものと推察した.

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要約 39歳,女性.身体疾患を装う虚偽性障害をきたすミュンヒハウゼン症候群にて当院精神科通院中,腎前性腎不全にて当院腎臓内科に入院し,右前腕より末梢持続点滴が開始された.自己の便を隠し持っていたシリンジにつめて,三方活栓より点滴ルート内に挿入した.翌日より,発熱・留置針刺入部の熱感・腫脹・疼痛が出現した.抗生剤を投与したが改善せず,留置針刺入部に壊死,周辺に水疱・紫斑が出現し,壊死性筋膜炎に至り,敗血症とDICを併発した.広範囲デブリードマンと抗生剤変更により症状は改善し,後日メッシュ分層植皮術を施行し,治癒した.デブリードマンされた壊死組織の培養からは,複数の腸内細菌が検出された.

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要約 63歳,女性.約10年前に右側頭部に紅色結節が出現し,多発するとともに徐々に拡大して,頭部の広範囲に黄褐色局面を形成してきた.局面内には毛細血管の拡張,紫斑を認めた.頭部皮疹の皮膚生検組織像では,真皮上層から脂肪織にかけてびまん性に淡好酸性の無構造物質の沈着を認めた.この沈着物はCongo-red染色,Dyron染色にて橙赤色を呈し,偏光顕微鏡下にて黄緑色の偏光を呈した.また,免疫組織化学染色や過マンガン酸カリウム処理後の結果より,沈着物はamyloid light chain (AL)蛋白由来であると考えられた.全身検索にて全身性アミロイドーシスは否定され,皮膚限局性結節性アミロイドーシスと診断した.ステロイド外用療法にて,皮疹は平坦化してきている.

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要約 61歳,女性.初診の1か月前より右大腿部に誘因なく5mm大ほどの紅色結節が出現した.掻痒が強く,徐々に拡大したため,近医を受診した.外用ステロイド薬で加療されたが改善なく,当科を紹介された.初診時,右大腿部に12×17mm大の紅色結節を認めた.掻痒が強く,周囲には搔破痕がみられた.病理組織学的所見にて,真皮のほぼ全層にわたりリンパ球浸潤像を認め,大小不同のリンパ濾胞構造が散見された.CD3染色像は濾胞構造の周囲に一致して陽性,CD20染色像は濾胞構造内に一致して陽性所見を示した.以上より,lymphadenosis benigna cutisと診断した.

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要約 64歳,女性.2003年2月より右側頭部に結節が出現,徐々に拡大したため,2004年8月受診した.右側頭部に12×10mm大の半球状に隆起した弾性やや軟の褐色の単発性結節を認め,表面に黒色点が散在し,頂部に痂皮が付着していた.病理組織では,表皮より連続性または不連続性に好塩基性の基底細胞様細胞が充実性の胞巣を形成し,腫瘍辺縁では索状に配列していた.間質との間には裂隙を形成し,囊腫状・角化構造なども認めた.全摘し,再発は現時点ではない.潰瘍形成のない有茎性ないし半球状を呈した基底細胞癌の過去の本邦報告59例を集計し,基底細胞癌全体の統計との比較・検討を行ったところ,発症部位の分布に差異が認められた.

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要約 70歳,男性.初診の3年前に陰囊左側の結節に気付いた.当科初診時,陰囊左側に14×11×5mmの弾性軟で透光性がある結節を認めた.ダーモスコピーではarborizing vessels,leaf like structures,blue gray ovoid nestsがみられた.病理組織学的には表皮と連続した囊腫構造を認め,囊腫の壁を好塩基性の腫瘍細胞が構成していた.以上より,囊腫型の基底細胞癌と診断した.外陰部の基底細胞癌は比較的稀である.また,基底細胞癌の組織型は充実型が多くを占め,囊腫型の頻度は低い.自験例は発生部位,組織型とも稀な症例と考えた.

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要約 21歳,女性.右鼠径リンパ節腫脹で某医院を受診した.右鼠径リンパ節生検で転移性悪性腫瘍を疑われ,当科を紹介された.S-100蛋白,HMB45,Melan-Aの免疫染色は陰性であったが,MITF免疫染色が腫瘍細胞に陽性であり,悪性黒色腫の転移と診断した.問診で,2年前に右足背皮膚腫瘍を摘出していたことが判明した.その病理組織像では,表皮内病変はなく,真皮内に腫瘍細胞を認め,免疫染色ではリンパ節の病理組織像と同様の染色性を示した.また,FDG-PETなどの画像検査では,他臓器に病変は認めなかった.右鼠径リンパ節郭清術を施行したところ,転移リンパ節は合計3個であった.以上より,右足背のdermal melanoma,TXN2bM0,stageⅢbと診断した.術後,DAV-felon療法6クールを施行中である.

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要約 44歳,女性,ブラジル人.2006年に来日後,自覚症状のない紅斑が出現した.臨床経過および病理所見,抗酸菌染色,皮膚スメア検査よりWHO分類で多菌性型,Ridley & Jopling分類でBL型Hansen病と診断し,WHOの多剤併用療法を開始した.経過中にらい反応による皮疹の増悪,全身症状を生じた.プレドニゾロン投与により軽快するものの,漸減するたびに再燃を繰り返した.この理由として免疫再構築症候群と類似の病態を考えた.

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要約 肥育牛舎で働く19歳,女性.牛との直接接触が考えがたい右大腿に生じたTrichophyton verrucosumによる体部白癬がいったん治癒と判定した後,約2か月を経て再感染した1例を経験した.スキムミルク添加マイコセル培地を用いて37℃で発育した菌はサイアミン,イノシトール添加により発育が促進された.再感染時にはテルビナフィン内服とルリコナゾール外用により皮疹は速やかに治癒した.

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要約 44歳,女性.ホタルイカを数回摂食した後,右腰部に疼痛と掻痒を伴う,線状に伸長する紅斑が生じたため,近医を受診した.寄生虫疾患を疑われ,当科を紹介された.初診前日より疼痛・掻痒感ともに消失していたが,右側腹部から臀部にかけて拇指頭大までの紅褐色斑がS字状に配列し,一部に浸潤を伴い,色素沈着を混じていた.血液検査では好酸球増多以外に異常はない.酵素抗体法にて患者血清は旋尾線虫抗原に陽性反応を示した.伸長する紅斑の先端部より生検を行い,真皮上層から中層に好酸球を認めたが,虫体は検出できなかった.以上より,旋尾線虫幼虫typeXによるcreeping eruptionと診断した.無治療のまま,色素沈着を残して軽快した.ホタルイカに寄生する旋尾線虫幼虫は,適切な加熱・冷凍処理により死滅する.本疾患の予防には,ホタルイカの取り扱いに関する行政の指導と,一般消費者への注意の喚起が重要と考える.

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要約 28歳,女性.家族で日本海側の海岸でタコを釣っていたところ,マダコに咬まれて受傷した.家で処置をしていたが,受傷部の腫脹と痛みが増強し,受傷3日後に当院を受診した.右前腕に直径4cmの紅斑を認め,中央部には1cm大の潰瘍が存在し,潰瘍周囲は白色に変色していた.周囲には吸盤による紫斑がみられた.マダコ咬傷と診断し,外用処置と抗生物質,非ステロイド系抗炎症薬内服を行った.受傷1か月後に潰瘍は略治した.タコによる咬傷の6件の本邦報告例では,全例で創部に難治性潰瘍または持続性の炎症性変化が生じている.マダコ咬傷は検索した限りでは報告されていない.マダコ咬傷においても難治性潰瘍が形成されることに注意が必要である.

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要約 81歳,男性.上行結腸癌とその肺転移がある.初診の4日前から頭痛が出現し,前日から全身倦怠感と38℃台の発熱とともに顔面,体幹,四肢に紅暈を伴う径約2mm大の小水疱が多数出現した.血液検査所見ではVZV抗体価(CF)256倍,VZV-IgM0.41,VZV-IgG1,180であった.アシクロビル750mg/日の点滴を5日間行い,皮疹は比較的速やかに痂皮化し,重篤な全身症状なく軽快した.3か月後の血液検査所見では,VZV抗体価128倍,VZV-IgM0.36,VZV-IgG468とVZV-IgGの低下がみられた.

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 感染症診療においてはすでに定番書となっている『レジデントのための感染症診療マニュアル』が改訂,出版された.著者の青木眞先生は,公私において私の恩師の一人であり,緒方洪庵の適塾の門下生で種痘の普及に尽くした湯浅芳斎の末裔でもある.

 私の専門の一つは集中治療であるが,感染症を制するものが集中治療を制すると言っても過言ではないほど,感染症診療は多くの臨床診療科においてかなり重要な位置づけを占める.しかし残念ながら,日本では臨床感染症という領域はかなりの長期間軽視され続けてきた.

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 医師が患者とよくコミュニケーションをとり,適切に病状と治療の方向性などを説明し患者の理解と同意を得たうえで,検査や治療を行うことはがん医療の基本である.また,医師と患者のコミュニケーションは人対人のものであり,そこには個人の性格や考え方が反映されることは当然である.患者とのコミュニケーションのなかでも「悪い知らせの伝え方」については,さまざまな研究がなされており,欧米では確立された理論に基づくトレーニングが行われている.

 一方,わが国ではそのような教育や訓練を受けたことのある医師はほとんどなく,約半数が「悪い知らせを伝えている医師に立ち合った」程度の“教育”しか受けていない.すなわち,患者とのコミュニケーションは経験に基づくものという考え方が中心になってきていた.しかし,それではやっていることが正しいか否か誰も自信はもてないとともに,いたずらに患者の不安感をあおったり,逆に過度の希望を抱かせたりしていることも多いと推定される.というのは,医師が自信のない場合は,患者にとって好ましくない情報についての議論を避けたり,根拠のない楽観論をせざるをえないことによる.結果的に医師は疲弊し,ますますストレスを感じる状態に陥ってしまう.

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あとがき 天谷 雅行
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 今月の投稿規定より,掲載論文1ページ目の最下段に記載される「連絡先」が「論文責任者(corresponding author)」に変更される.連絡先は,投稿された論文の審査に対するやりとりをする著者,論文が掲載されたのちに別刷りを請求する著者の意味で用いられてきた.ところが,最近めっきり別刷り請求の頻度が低下している.海外の雑誌ではそのほとんどが電子化されており,私たちの施設でも基本的に別刷りを購入することをやめ,PDF化したファイルを必要な時に印刷して使うようになった.PDF化したファイルは保存にも場所をとらずに便利である.医学書院でも,雑誌の電子化に取り組み,「臨床皮膚科」も平成21年1月より電子版が利用可能になる.現時点で連絡先の多くは,筆頭著者が兼ねている.ところが,実際に掲載された症例に関して連絡をとろうと思うと,すでにその施設にはいなくなっており連絡がとれないことも少なくない.そこで,編集委員会でこれらの現状と問題点を話し合い,「連絡先」を「論文責任者(corresponding author)」に変更することとした.論文責任者は誰がなるべきか.論文責任者とは,基本的に論文の掲載内容,症例に関して,責任をもつ著者である.筆頭著者が十分にその責務を果たすのであれば,従来通り筆頭著者が兼ねてもよい.しかし,論文は複数の著者の貢献により完成するものであり,論文指導を行っている著者がいる場合には,指導者がなるのでもよい.必ずしも,その施設の責任者がならなくてもよく,実質的な指導を行っている著者がなるべきであろう.できるだけ現状に即した投稿規定にすべく,今後も改善できることは改善していきたい.ご意見があれば,ぜひ編集部までご連絡ください.

基本情報

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臨床皮膚科
62巻13号 (2008年12月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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