臨床皮膚科 58巻9号 (2004年8月)

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Qどんなダーモスコピー所見が認められますか?

診断は何でしょう

臨床情報

 24歳,女性.10歳代に右肩に黒色斑が生じているのに気付いた.1,2年前から徐々に隆起してきた.2か月程前,近医を受診した際には径12mmの黒色隆起性病変としてみられたという.液体窒素による凍結療法を2回施行された後に,当科へ紹介された.

 初診時,右上背部に14×11×1mmの,辺縁がやや不整な黒褐色局面状皮疹が認められた(図2).この皮疹の下方部はやや灰色調を帯びていた.

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ケロイドはその発生機序がいまだ解明されず確立した治療法のない疾患であり,われわれはケロイドに対してさまざまな治療法を試みてきた.1988~2003年現在に至るまで,われわれが治療したケロイド症例は500例を超えており,現在では年間100例を治療するまでに至っている.治療は基本的にケロイドの完全切除および三層縫合,術後電子線照射,トラニラストの内服,シリコンゲルシートによる圧迫療法などを組み合わせた集学的治療を行っている.術後電子線照射療法に関して,当施設では部位によって照射線量を変えるという,ほかに報告をみないプロトコルを作成し,2003年より施行している.本論文ではわれわれの現在までの臨床研究の成果と,そこから考案された新しい治療法を紹介するとともに,今後の展望について報告する.

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7か月,男児.生後4か月頃より,掌蹠にそう痒を伴った小水ほう・膿ほうが出現した.四肢や軀幹だけでなく,顔面,特に頬部に著明な皮疹を伴っていた.膿ほう部のGiemza染色直接検鏡では,多数の好中球と,少数の好酸球・リンパ球を認めた.細菌,真菌,疥癬虫,虫卵は認めなかった.組織は,主に好中球が浸潤する表皮内水ほうであった.そう痒は抗ヒスタミン剤にて軽快した.皮疹は周期的に軽快と再燃を繰り返しつつ2歳頃までにほぼ自然軽快した.顔面の皮疹は,四肢末端部の皮疹と病勢が連動していたという点から,infantile acropustulosisに伴う皮疹と捉えることができた.

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多発する皮疹の一部が大型の黒色局面を呈したacquired perforating dermatosisの2例を経験した.いずれもコントロール不良の糖尿病を基礎疾患にもち,糖尿病性腎症に対して血液透析中であった.当初,下肢に丘疹が多発し,急速に拡大して,手拳大ないし鶏卵大までの黒色局面を形成した.病理組織像では,表皮は好塩基性の壊死物質に置き換わり,膠原線維の経表皮的排出像,真皮血管壁の膨化とリンパ球の浸潤を認めた.両者とも難治であり,高度の循環不全のため,症例1は両下腿切断術を施行され,症例2では右下腿切断術を予定したが,その後,全身状態の悪化に伴い,切断術は行えず,敗血症を併発して死亡した.

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28歳,男性.2002年6月10日感冒症状あり.9日後,両下腿に紅斑出現し,次第に紫斑や血ほうを生じてきた.13日後,腹痛が出現した.皮膚生検でleukocytoclastic vasculitisの像があった.腹部症状はさらに増強,汎発性腹膜炎の診断で緊急開腹手術を施行され,回腸末端に腸管の壊死を認めた.切除された腸管の組織学的所見では,皮膚と同様にleukocytoclastic vasculitisの像を認め,血管内皮にIgAの沈着がみられた.メチルプレドニゾロン1,000mg/日のパルス療法を施行,以後プレドニゾロン60mg/日投与し漸減した.腹部症状,全身状態は改善したが,尿所見は悪化,紫斑病性腎炎を併発した.アナフィラクトイド紫斑病は,一般的には予後良好であるが,全身性の疾患であることを再認識し,他科と連携して治療に当たる必要性があることを痛切に感じた.

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64歳,女性.2000年6月より近医にて関節リウマチに対し金チオリンゴ酸筋注を開始し,9月頃から皮疹出現したため休薬となった.12月にブシラミン内服を開始し,開始後20日で水ほうとびらんが出現した.内服中止後皮疹は消退した.その後関節症状が悪化し,内服が再開され,皮疹の再発を認めた.組織像,免疫学的所見および薬剤内服再開による皮疹再発から薬剤性落葉状天ほう瘡と診断した.抗デスモグレイン(Dsg)1抗体価と病勢に相関を認めた.ブシラミン投与開始から皮疹出現までの期間が短い点が特徴的であった.

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4歳,女児.2年前より臍周囲に限局して短期間で消退する再発性の環状紅斑,膿ほうがあった.ステロイド外用にて軽快するも,出没を繰り返していた.病理組織学的にて表皮の肥厚,角層下の好中球性膿ほうおよび表皮内海綿状膿ほうを認め,再発性環状紅斑様乾癬と診断した.発熱,上気道感染後に皮疹の増悪を認めるため,耳鼻科受診.滲出性中耳炎,慢性扁桃炎,慢性副鼻腔炎と診断される.両鼓膜チューブ挿入術,両口蓋扁桃摘出術を施行,術後一時皮疹の増悪をみたものの,大部分は色素沈着となり消退した.現在皮疹の新生はほとんどみられず経過良好である.

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61歳と64歳の女性.2症例とも顔面に対称性の皮疹を呈し,生検にて真皮に乾酪壊死を伴わない類上皮細胞性肉芽腫を認めた.さらに皮疹が出現してから数年後に完全房室ブロックを合併し,ペースメーカー植え込みを必要としたことなど共通の経過を辿った.

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47歳,女性.初診の2週間前,全身に拇指頭大までの皮下結節が多発しているのに気付く.熱感,圧痛などの自覚症状をまったく認めない.結節の一つを摘出した.病理組織学的にリンパ球,組織球および形質細胞が混在するlobular panniculitisの所見であった.全身症状に乏しいことから,皮下脂肪肉芽腫症(Rothmann-Makai症候群)と診断した.特に加療することなく経過をみていたところ,3か月後,急激に両下腿に有痛性の皮下硬結を触れる紅斑が多発した.組織学的に前回と同様,脂肪肉芽腫の所見であった.ASO,ASK上昇し,抗生剤の投与にて症状軽快したことから,溶連菌感染を契機に皮下脂肪肉芽腫症の病態が増強して現れたものと考えた.

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64歳,女性.10年前より右乳癌があり,術後7年で肺・胸膜転移を生じ,癌性胸水の貯留も認めていたが,その後化学療法により小康状態を保っていた.約1か月前より,顔面に脂漏性皮膚炎様紅斑,手指に紅色丘疹ないし結節が出現.病理組織学的に,真皮内に好酸性でスリガラス様の細胞質を持つ多核巨細胞を主体とする組織球様細胞の稠密な浸潤増殖を認め,免疫組織化学的にCD68強陽性を示し,multicentric reticulohistiocytosisと診断した.初診の1週間後には術後瘢痕近傍に乳癌の皮膚転移巣を発生,さらに癌性胸水による呼吸困難,咳嗽も出現するなど病状の悪化が示唆された.その後病状の改善に並行して皮疹も消退傾向を示した.本症がparaneoplastic syndromeの一つであることが示された.

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75歳,女性.右耳介の発赤,腫脹,疼痛を主訴に受診した.後に左耳介に同様の症状が出現し,結膜炎,膝・足首の関節炎,混合性難聴もあり,耳介軟骨の病理組織学的所見では,軟骨の好塩基性の低下,軟骨細胞の変性を認めたため,再発性多軟骨炎と診断した.患者本人の強い希望により,ステロイドの投与は行わずに無治療で経過観察した.しかし,重篤な後遺症を残すことなく症状は自然軽快し,現在再発を認めていない.今後,症状が再燃する可能性があり,注意深い観察が必要である.

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75歳,女性,右背部から肩・上腕部にかけて熱感と痒みを伴う境界明瞭な浮腫性紅斑が出現した.ステロイド外用薬で色素沈着を残し約1週間で略治した.前日に完全房室ブロックのための心臓ペースメーカー植え込み術を放射線透視下で施行され,約700mGy照射されていた.また約1か月間に,術前検査で4,400~5,700mGy照射されていることが判明し,総照射線量は5,300~6,300mGyに及んでいることが推定された.放射線を用いた検査や手術において通常行われている手技・方法でも,条件によっては,放射線皮膚炎を起こすことがあると考えられた.

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56歳,男性.青年期に頭部に座瘡様皮疹と脱毛斑が出現し,徐々に拡大した.初診時,頭頂部を中心に手拳大の不整形脱毛斑があり,辺縁部ではtufted hairに加え,粟粒大の丘疹と膿ほうを認めた.膿ほうからの一般細菌培養にて黄色ブドウ球菌が検出された.病理組織学的に複数の毛包が単一の開大した毛孔から表出し,毛包周囲には小円形細胞浸潤と著明な線維化を認めた.特異的な臨床像と組織像よりtufted hair folliculitisと診断した.ミノサイクリン内服と硫酸ゲンタマイシン軟膏の外用で毛包炎は消失したが,脱毛斑,tufted hairは残存している.

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47歳,男性.2002年8月11日頃,38℃台の発熱とともに右大腿部に有痛性の浮腫性紅斑が出現した.徐々に増大潰瘍化したため,当科を紹介され,精査加療目的で入院した.入院時約40℃台の発熱を認め,CRP28.8mg/dl,白血球数44,100×107/lであった.血液内科にて白血病は否定され,また,BUN43mg/dl,Cre4.3mg/dlと腎不全が認められた.皮膚生検の結果,真皮深層まで多数の好中球浸潤を認め,敗血疹と診断された.抗生物質,γ-グロブリンの投与により解熱,皮膚腫瘤は縮小,腎機能も改善し,第21病日に退院となった.自験例は迅速な組織学的検討により敗血疹の診断に至り,早期の加療により救命しえた症例と考えた.

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65歳,男性.1996年,性風俗店での性交渉後,梅毒に罹患しペニシリン内服で治癒した.2001年2月,前回と同じ性風俗店で性交渉あり.同年5月,外陰部の皮疹を主訴に当科を受診.陰茎背面に,辺縁が堤防状に隆起する径3cm大の環状紅色局面を認めた.軀幹四肢には,わずかに浸潤を触れる径5mm~2cm大の淡紅色紅斑が散在性に多発していた.病理組織学的に真皮浅層部のリンパ球,組織球,形質細胞を中心とした稠密な細胞浸潤を認めた.RPR1倍,TPHA5,120倍と乖離を認めたため希釈血清で再検するとRPRは陽性となり,プロゾーン現象による偽陰性と判断し,再感染梅毒と診断した.アモキシシリン内服で治癒.自験例では再感染に伴って抗体産生にブースター効果が生じ,プロゾーン現象がみられたと推測された.

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76歳,男性.鼻背の擦過傷後に生じた皮膚ノカルジア症の1例を報告した.初診時,鼻背左側に小指頭大の暗紅褐色結節を認め,1か月後,右鼻翼に結節の新生をみた.病理組織像は非特異的慢性炎症所見を呈し,組織内・膿汁内に菌要素は証明できなかった.培養と菌の生理学的性状から原因菌はNocardia brasiliensisと同定され,臨床よりリンパ管型と診断した.治療は各種抗生剤の投与では効果がなく,ST合剤に変更したところ8週間で軽快した.自験例を含めN. brasiliensisによる原発性皮膚ノカルジア症の47例について検討した.

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67歳,女性.皮膚毛包虫症の臨床像としては珍しい眉毛部の脂漏性湿疹類似の鱗屑と,睫毛の脱落と乱生を伴う眼瞼縁の炎症を生じた.鱗屑には無数の虫体がみられ,眼脂中にも数虫体を検出した.イベルメクチン内服が眼瞼縁炎に有効であった.5年以上にわたるステロイドの断続的外用と,脱毛を恐れるあまり眉毛部の洗浄を避けていたことが発症の誘因となっていると思われた.

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54歳,男性.悪性リンパ腫で放射線治療中,発熱とともに左下腿に水ほうと出血を伴った紅斑が出現した.水ほう蓋の下には深い潰瘍がみられ,水ほう内容の細菌培養ではPseudomonas aeruginosaが分離された.動脈血培養ではPseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coliが検出され,敗血症を併発した壊疽性膿瘡と診断した.さらに陰嚢にも黒色壊死性痂皮を被る小潰瘍が多発し,患者は下腿の皮疹発生から4週間後に悪性リンパ腫の全身転移で死亡した.皮膚科領域における緑膿菌による壊疽性膿瘡の成人報告例は少ないが,エイズの流行や強力な癌化学療法の進歩とともに,今後増加すると考えられるため,本疾患に対する再認識が必要と考えられる.

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63歳,男性.2002年5月頃より背部・前胸部に紅色小丘疹が出現し,その後全身に拡大したため精査目的で来院.受診時全身に小指頭大までの紫紅色の浸潤を触れる小丘疹・結節が多数認められた.組織学的には真皮全層の膠原線維間に密に浸潤する核に切れ込みのある大型の異型細胞が認められ,myeloperoxidase染色が陽性であった.骨髄生検では過形成および大型で核に切れ込みのある単球系の異型幼若細胞が15%認められ,MDSの一型であるCMMoLの診断に至った.化学療法を施行中に急性転化を生じたが,化学療法は奏効し皮疹は消退した.

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66歳,男性.18年前発症の菌状息肉症患者.8年前,当科初診時にstage IVaと診断され,化学療法や電子線照射にて一時寛解したが,その後も再燃を繰り返した.最近,典型的な菌状息肉症の紅色腫瘤のほかに,軀幹を中心に著明な角化を示す複数のくるみ大の黒褐色結節が認められた.これらは臨床的に脂漏性角化症を疑わせたが,病理組織学的には著明な角化を伴う典型的な菌状息肉症の像を呈した.

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41歳,女性.27歳時に右前腕悪性黒色腫と診断され,治療を受けた既往がある.3年前に右上腕に皮下腫瘤を自覚し増大したため,2001年12月当科を受診した.生検にて悪性黒色腫の転移と診断し化学療法(DAC-Tam),放射線療法を施行したところ80%の縮小を示し,右上肢の機能温存が可能と判断し切除術を行った.術後化学療法(DAC-Tam+Feron)を追加し,外来にて経過観察中である.悪性黒色腫において転移病巣が10年以上後に出現するlate recurrenceは比較的稀であり,また自験例のようにDAV療法後,長期間経って再発をきたした症例に対しては,DAC-Tam療法は有効な治療法の一つであると考える.

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19歳,男性.生来「ほくろ」が多かったが,最近増加するとのことで当科を受診した.一部切除した黒色斑の病理組織からdysplastic nevusと診断し,全身の黒色斑の切除を施行した.家族歴および病理組織学的所見から,Kraemer分類のtype Aのdysplastic nevusと診断した.また,悪性黒色腫の発症に関与するといわれているp16遺伝子異常についても,SSCP法による変異の解析およびp16遺伝子近傍のマイクロサテライトを用いたアレル欠失の解析を行ったが,遺伝子異常は認められなかった.

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84歳,女性.1年ほど前より左環指と鼻根部に腫瘍があった.徐々に増大するため当科を受診した.病理組織学的検査で有棘細胞癌の診断を得た.切除目的で大学病院を紹介したが,精神症状などから家族の意志で受診しなかった.このような患者に対してMohs surgeryを行い,局所的には比較的良好な結果を得たが,治療5か月後には右鎖骨部に転移病巣を生じ患者は死の転帰を取った.

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本論文は抹消されました。

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要約

 頭部白癬の4例に,テルビナフィンの間歇投与(常用量を2週間内服して2週間休薬することを反復)を行った.うちblack dot ringwormの3例(原因菌は,Trichophyton glabrum,T. violaceum,培養不成功が各1例)では,病的毛髪は投薬開始から8週後までに消失し,真菌培養は8~9週で陰性化した(1例は陰性のまま).一方,Microsporum canisによる頭部浅在性白癬の1例では,臨床所見と真菌学的所見は投薬開始から12週後まで不変だった.しかし,グリセオフルビンに変更後は速やかに治癒した.少なくともTrichophytonに起因する頭部白癬には,テルビナフィンは間歇投与で十分有効である可能性がある.

基本情報

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臨床皮膚科
58巻9号 (2004年8月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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