臨床皮膚科 57巻2号 (2003年2月)

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 患 者:13歳,男児

 初 診:2001年4月13日

 家族歴・既往歴:特記すべきことはない.

 現病歴:約8か月前より項部に爪甲大の褐色斑が出現し,徐々に軀幹に多発するようになった.自覚症状はなかった.

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 症例1:12歳,男子.6歳頃より日光曝露部に疼痛と腫脹を生じるようになった.初診の前日,旅行中に両手背に疼痛,腫脹が出現したため当科を受診.症例2:46歳,男性(症例1の父).6歳頃より光線過敏症があり,最近では遮光に努めているため,自覚症状は認めない.2例ともUVB照射にて最小紅斑量は正常範囲内,UVAでは異常反応は認めなかった.プロジェクターランプ照射にて疼痛を伴った紫紅色斑が誘発された.赤血球中プロトポルフィリン値は,症例1で1,741.8μg/dl,症例2で2,451.5μg/dlと著増していた.さらに,尿中コプロポルフィリン値が症例1は74.2μg/dl,症例2は51.3μg/dlと増加しており,肝障害を伴った骨髄性プロトポルフィリン症と診断した.家系内調査を施行したところ,症例2の母と従兄弟に赤血球中プロトポルフィリン高値を認めたが,臨床症状としての光線過敏症は明らかではなかったことから,この2例を骨髄性プロトポルフィリン症キャリアと診断した.

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 77歳,女性.サルコイド反応を伴ったSjögren症候群の1例を経験した.皮疹は環状紅斑で,組織学的には汗腺周囲に限局した類上皮細胞性肉芽腫がみられた.サルコイドーシスの合併も示唆されたが,視神経乳頭炎,ブドウ膜炎から最終的に夕焼け状眼底となりVogt-小柳-原田病の眼症状と考えられた.種々の自己免疫異常を背景にサルコイド反応を呈した症例と考えられた.

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 66歳,男性.乳癌と乳房外Paget病を同時期に併発した1例を経験した.乳癌は病理組織学的にinvasive ductal carcinomaでPaget現象はみられなかった.乳房外Paget病は外陰部の紅色局面でPaget細胞の真皮内への浸潤がみられた.CEAは乳癌で一部陽性,外陰部Paget病で陽性.C-erbB2は両者ともに陽性.エストロゲンレセプターは両者ともに強陽性.プロゲステロンレセプターはともに陰性.乳癌細胞と乳房外Paget細胞は免疫組織化学的に類似した発現パターンを示し,両者が類似した特性を有することが示唆された.

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 22歳,男性.初診2週間前から40℃の発熱が続き,1週間前から顔面に皮疹が出現したが,経済的理由から放置していた.皮疹が急激に増悪し,せん妄状態となったため,深夜救急車で来院した.初診時,顔面全体が異臭の強い黄色痂皮で覆われ,排膿を認めた.不穏,失見当識および高熱が4日間続いたが,アシクロビル,塩酸ミノサイクリンおよびホスホマイシンナトリウムの点滴静注と顔面のデブリードマンにより,5日目から解熱し,精神症状も軽快した.デブリードマンの際,痂皮を除去すると顔全体に浅い潰瘍が認められた.既往にアトピー性皮膚炎はあるが,発症時には顔面に湿疹病変はなく,治療は行っていなかったという.住所不定で不規則な生活を続けていたことが,本症の発症誘因となったと考えた.

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 27歳,男性.初診3日前より右足底に疼痛を伴う皮疹が出現.Tzanck試験陽性,水痘・帯状疱疹ウイルス抗体価の有意な上昇より右L4,5領域の帯状疱疹と診断し,アシクロビル点滴を行い軽快した.自験例は軽度の脂肪肝以外基礎疾患はなく,右足底のみに水疱がみられ,下腿には皮疹は認めなかった.脂肪肝の原因として肥満(BMI約26より)の可能性が高い.このような分布を示す例は過去の統計からみても比較的稀である.

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 72歳,男性,沖縄県出身.数年前より四肢に紅斑が出現.その後,上肢のしびれ感と両肘の腫瘤を伴うようになった.肘部の腫瘤より皮膚生検施行.病理組織学的に非乾酪壊死性肉芽腫を認めた.Ziehl-Neelsen染色およびFITE染色で,組織球内に紅染する桿菌が認められ,抗フェノールグリコリピッド抗体染色で肉芽腫細胞強染.PCR法でらい菌DNA増幅.近年本邦ではハンセン病患者は減少の一途を辿っているが,在日外国人の増加などにより皮膚科医が遭遇する可能性のある疾患として留意すべきと考える.

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 53歳,女性.仙骨部褥瘡の壊死組織除去後,塩化リゾチーム軟膏(リフラップ(R))を約50gを貼布したとろ,外用2時間後に全身の膨疹を生じ,血圧は測定不能でショック状態になった.卵白アレルギーの既往はないが,プリックテストでは塩化リゾチーム(HEL)で陽性を示した.卵白皮内テストおよび卵白IgE-RASTスコア(卵白RAST)も陰性を呈し,HELヒスタミン遊離試験では濃度依存的にヒスタミンの遊離が増大する傾向を示した.卵白RAST陰性でもHELに感作された患者にHELを外用をすることで,アナフィラキシーショックを起こす可能性があり,注意が必要である.

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 52歳,男性.1999年12月29日に感冒症状が出現し,所持していたセラペプターゼ製剤(バザロイン(R))をはじめとする数種の感冒薬を内服した.翌日より手背にそう痒感が出現し,その後,両手足に水疱を伴い,口腔内,陰部にびらんが出現したため当院救急外来を受診した.セレスタミン(R)6T処方されるも改善されず,2000年1月4日当科を受診した.初診時現症と内服歴より,薬疹や水疱性類天疱瘡を疑い即日入院の上,精査を行うとともにプレドニン(R)40mgにて治療を開始した.速やかに皮疹の新生がなくなり,3週間で軽快退院した.病理組織学的所見では表皮下水疱と表皮全層にわたる壊死がみられた.退院後,内服薬のパッチテストを施行し,セラペプターゼ製剤30%pet.にて陽性所見を認め,自験例をセラペプターゼ製剤による薬疹と診断した.

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 68歳,女性.12年前,Wells症候群と診断され,プレドニゾロン10mg内服にて軽快した.2000年5月頃から両前腕から手背,手指にかけて熱感を伴う浮腫性紅斑,腹部・両下肢・足背・足底に浸潤を触れる紅斑,水疱が出現.末梢血好酸球34.5%.病理組織学的には好酸球の稠密な浸潤とflame figureを認め,Wells症候群の再燃と診断した.DDS 75mgの内服を開始したところ皮疹は顕著に軽快したが,その後38℃台の発熱,CRPの上昇,胸部CT検査にて両肺野に浸潤陰影,気管支肺胞洗浄液,肺胞生検組織にて好酸球の著明な増加を認め好酸球性肺炎と診断した.プレドニゾロン40mgの内服にて軽快した.

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 19歳,女性.13歳より汎発性膿疱性乾癬を発症.エトレチナート内服,外用PUVA療法にて改善し,エトレチナートは漸減,中止した.メトキサレンによる光毒性皮膚炎を生じ外用PUVA療法を中止したところ,2000年12月頃より皮疹再燃,拡大傾向を認めた.ステロイド剤を投与するも無効で,エトレチナート再投与にて軽快するも減量に伴い皮疹再燃した.シクロスポリンへの切替え療法を行うとともに,カルシポトリオール軟膏の外用を併用したところ,寛解状態を維持することができた.シクロスポリンの副作用として,多毛を認めた.

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 49歳,女性,1993年より頭頂部から後頭部にかけて,膿疱,びらん,痂皮,脱毛を伴う紅色局面が出現した.病変は,過角化,表皮肥厚,真皮全層のリンパ球,好中球,好酸球,形質細胞よりなる炎症性細胞浸潤を示した.臨床経過,組織所見よりerosive pustular dermatosis of the scalpと診断し,潰瘍性大腸炎の合併もあったためプレドニゾロン内服を開始したところ,瘢痕性脱毛を残し治癒した.本疾患は自己免疫性疾患に伴って発症することが知られているが,潰瘍性大腸炎との合併例はわれわれの知る限りいまだなく,最初の報告例である.

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 56歳,女性.紅斑の辺縁に小水疱が環状に配列し,Duhring疱疹状皮膚炎様の臨床像を呈していた.病理像は好酸球性海綿状態,好酸球を含む表皮内水疱,免疫組織所見は蛍光抗体直接法(DIF),間接法(IIF)とも表皮細胞間にIgG の沈着を認めた.免疫ブロット法(IB)では患者血清は天疱瘡抗原(130kD蛋白,160kD蛋白)に反応しなかったが,ELISA法では抗デスモグレイン(Dsg)1抗体価が157.0と高値で,抗Dsg3抗体価は0.5と陰性であった.以上より本例をherpetiform pemphigusと診断した.DIFで表皮真皮境界部にIgG,C3の線状沈着を認めたが,IBで患者血清が類天疱瘡抗原(230kD蛋白,180kD蛋白)に反応しなかったことより,類天疱瘡との合併は否定的であった.また,興味深いことに抗Dsg1抗体価は病勢に並行して推移する傾向があった.

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 難治性潰瘍を併発した混合性結合組織病(MCTD)患者2例を報告した.症例1は44歳,女性で更年期障害の治療目的に低用量ピルを内服し,その約2週間後,左示指に壊疽,潰瘍が出現した.症例2は63歳,女性.特に誘因なく足,趾部に潰瘍が出現.症例1はPGE1製剤の点滴で潰瘍の上皮化を認めたが症例2では改善を認めず,最終的に切断術を施行した.症例2では血中抗カルジオリピン抗体価が高値であり,潰瘍形成とその難治化にカルジオリピンによる血栓形成の関与が示唆された.

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 68歳,男性.間質性肺炎を合併したamyopathic dermatomyositisの1例を報告した.両上眼瞼の紅色皮疹で初発し,顔面,頚部,胸背部,手背に浮腫性紅斑と多型皮膚萎縮局面を散在して認めた.筋症状はごく軽度であった.抗核抗体640倍陽性で低酸素血症があり,間質性肺炎の特異的マーカーである血清KL-6値が高値の間質性肺炎を合併していた.胸部CTでは,両下肺野に間質性変化を認めた.プレドニゾロン60mg/日にてCT所見に改善ないため,メチルプレドニゾロン1,000mg/日のステロイドパルス療法を3日間行ったところ皮疹は著明に改善し,両下肺野の間質性変化も消失,KL-6も低下した.KL-6は間質性肺炎の診断・病勢評価において有用なマーカーであると考えた.

片側性Schamberg病の1例 太田 智秋
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 13歳,男児.約1年前から特に誘因なく右下肢に自覚症状のない色素斑が出現し,徐々に拡大・増数してきた.右足背から大腿遠位部にかけて,豌豆大から鶏卵大の大小不整形の紅色調を混じた茶褐色色素斑を多数認め,色素斑ならびにその周辺部には点状出血を伴っていた.血液・尿検査所見にて特に異常を認めず.病理組織学的に,真皮乳頭から真皮上層を中心に血管周囲性のリンパ球浸潤と,赤血球の血管外漏出ならびにへモジデリンの沈着がみられるが,明らかな血管炎の所見を認めない.臨床像,病理組織学的所見などから小児の片側性に発生したSchamberg病と診断した.治療として,酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン軟膏が奏効したが,中止により再燃をみた.lichen aureusとの鑑別について考察を加えた.

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 29歳,男性.2000年9月,左乳頭部の圧痛あるしこりに気付いた.徐々に増大し,右乳頭部にも同様のしこりが出現したため同年11月当科を受診した.初診時,左乳頭部にクルミ大,右乳頭部にそら豆大の弾性軟,境界明瞭な皮下結節を認めた.問診上,5月からの半年間で13kgの体重減少をきたし,6月からは手指の振戦と多汗を認めていることがわかった.臨床症状および血液検査より甲状腺機能亢進症を疑い,当院内分泌内科を紹介し,抗甲状腺剤による加療が開始された.甲状腺ホルモンの正常化に伴って,乳頭部のしこりも消退した.甲状腺機能亢進症は女性化乳房の原因の一つであるが,自覚症状が少ないため,甲状腺機能亢進症が発見される例は稀である.

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 遺伝性対側性色素異常症の母子例を報告した.症例1:9歳,男児.症例2:39歳,女性(症例1の母親)いずれの症例も,手足の末梢優位に萎縮傾向のない不整型の色素斑と脱色素斑を,また顔面に萎縮傾向のない雀卵斑様の色素斑を認めた.また症例2では前胸部にも雀卵斑様の色素斑を認めた.問診により,常染色体優性遺伝形式で4世代にわたる家族歴が認められた.臨床症状,家族歴より遺伝性対側性色素異常症の典型例と考えられた.本症の病態について文献的考察を加え,報告した.

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 66歳,男性.2年前に血糖500mg/dl以上の糖尿病を指摘された.インスリン注射による入院治療で改善したが,退院後血糖は再上昇した.約2週間前から急に全身に自覚症のない発疹性黄色腫を多発した.黄色腫は大豆大以下で口腔内,手掌,足底,外陰部,包皮にも皮疹を認めたが,癒合傾向,大型結節はみられない.血清は10時間静置後も清澄でクリーム層形成もみられず,血清脂質はトリグリセライド,カイロマイクロン,Pre・βに上昇をみた.病理組織学的所見には泡沫化細胞の集塊が菲薄化した表皮にじかに接してみられ,Grenz-zoneはみられなかった.Touton型巨細胞も多数存在し,組織球,リンパ球など黄色肉芽腫にみられるような炎症細胞浸潤を混じた.糖尿病のコントロールに加え,プロブコールを内服し,ほとんどの皮疹は改善傾向を示したが,顔面,特に口囲のものは1年以上も改善傾向のみられぬまま残存した.糖尿病に黄色腫を発生するのは0.1%以下と稀で,さらに1年以上も抗療性に残存する例は極めて珍しい.

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 70歳,女性.心不全症状より始まり,皮疹の病理組織で初めて確定診断された全身性アミロイドーシスの1例を報告した.初診の9か月前,定期健診で心電図の異常を指摘され,心不全と診断された.治療に抵抗性で胸水の貯留も出現した.前胸部,上肢に紫斑,紅斑,掻破痕を認めた.組織学的に真皮浅層にアミロイドの沈着を認め,ダイロン染色,コンゴーレッド染色で陽性所見を示した.大腸の組織でもアミロイドの沈着を認めた.免疫組織染色でAA抗原陰性,プレアルブミン陰性,β2ミクログロブリン陰性であり,ALアミロイドーシスと考えた.

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 52歳,男性.2001年4月,右頚部下部に結節性病変が出現し,放置しておいたところ5月30日には4.5×3.5×2.5cmの腫瘤となった.6月,近医にて部分摘出され,上皮系悪性腫瘍が疑われた.残存病変が増大したため,当科紹介受診となった.摘出標本組織像では,真皮から皮下脂肪組織に浸潤する腫瘍細胞が,分葉状あるいは柵状の胞巣を形成していた.胞巣の辺縁は基底細胞様の暗色調細胞,中心部は細胞質の明調な細胞より構成されていた.腫瘍細胞は大小不同で核異型が強く,胞巣の中心部には外毛根鞘性角化を認めた.免疫組織化学的に腫瘍細胞はサイトケラチン(CK)10,CK19,インボルクリンが陽性で外毛根鞘への分化が認められ,malignant proliferating trichilemmal tumorと診断した.頚部CT,頚部MRIにて腫瘍は僧帽筋さらには内頚静脈付近にまで浸潤していた.手術適応はなく,ドセタキセル投与と放射線照射にて加療した.

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 75歳,女性の頭部および顔面に生じた原発性皮膚B細胞リンパ腫の1例を報告した.頭部には表面平滑な紅色の小結節,顔面には表面に鱗屑を伴う浸潤性紅斑を認めたが,病変は皮膚に限局し,皮疹部には病理組織学的に胚中心細胞様細胞やリンパ上皮性病変を認め,免疫グロブリン重鎖遺伝子の再構成が検出された.頭部および顔面の皮疹は,電子線照射後に消退した.近年,MALTリンパ腫の皮膚での相当病変として,SALT(skin-associated lymphoid tissue)からリンパ腫が発生する可能性が指摘されており,SALT関連B細胞リンパ腫という名称が提唱されている.

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 全身に特異疹である紅斑と丘疹を認めた65歳,男性の慢性型ATL.エトレチナートとIFN-γの併用投与により末梢血異型リンパ球は減少し皮疹も軽快したが,背部に血痂を付す紅斑,次いで39℃の発熱,肝機能障害,右鼠径リンパ節腫脹が出現した.リンパ節と皮疹部の組織所見および培養により,Cryptococcus neoformansの感染が確認された.アンホテリシンBが奏効し,イトラコナゾールの投与を継続して再発は抑制された.クリプトコックス症発症後ATLの特異疹が増悪したが,軽快すると末梢血異型リンパ球は減少し,特異疹も消失したことから,クリプトコックス感染がATL細胞に増殖刺激を与えた可能性が考えられる.一方,皮膚クリプトコックス症周囲ではATLの特異疹が欠如していたことは,細胞性免疫が賦活化され,腫瘍細胞が消退したためと考えられる.

連載

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出題と解答:水谷仁(三重大学) 237 治療に用いられるサイトカインの引き起こす副作用の正しい組み合わせはどれか?

①Capillary leak syndromeはIL-2治療時に起こる重篤な副作用で浮腫,胸腹水,肺水腫を起こす.

②IFN-βは間質性肺炎のほか抑うつや自殺企図を起こすことがある.

③G-CSFの自己注射では注射部に皮膚潰瘍が生じやすい.

④乾癬の増悪はIFN-α,-β,-γいずれでも引き起こされる.

⑤IL-2は壊疽性膿皮症を誘発する.

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 カナダにおける研究・教育活動

 1. 研究室の設立

 最近日本でも北米と同様,患者さん自身のQOLの改善を目指したところの医療が求められてきている.このことは,医療の正しい基本であり,われわれ医師はこのことに最善を尽くすべきである.一方,日常の外来診療・臨床を行う場合,このことは,患者さんへの説明を含め充分な時間と余裕を持った診療を必要とさせる.したがって,大学などのアカデミック・スタッフが日常の診療・臨床活動に割かれる時間は毎年増えてきている.米国およびカナダを含め全世界的に,皮膚科アカデミック・スタッフが研究と臨床活動を平行して行うということは,非常に困難な状態となってきている.さらに,この傾向を悪化させる大きな背景因子の一つとして各国に共通することは,大学病院などの各診療科が独立採算制を強いられたり,一定の収入を日常の診療活動からあげることが求められていることである.つまり,「臨床に追われて研究をする時間がない」ということが現状であろう.問題はこういった時間的制約のなかでいかにしてbasic scienceを行うかということである.

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 シクロスポリン(CYA)の既存薬剤サンディミュン(R)3.0mg/kg/日(分2)で治療している乾癬患者6症例を対象として,新しいMEPC製剤(ネオーラル(R))への切りかえ前後のCYAの12時間血中動態を観察した.その結果,トラフレベルは約1.2倍,血中濃度-時間曲線下面積は約1.7倍,最高血中濃度は1.8倍と上昇した.PASIスコアは6例中5例で改善を認めた.サンディミュン(R)からネオーラル(R)への切りかえにより,さらなる治療効果が期待できる可能性が示唆された.また,両薬剤の薬物動態を観察した結果,サンディミュン(R)からネオーラル(R)への切りかえ後の用量として,約20~30%の減量が可能であると思われた.一方,同用量での切りかえ直後は,CYA血中動態の変化に伴い副作用が出現しやすくなる可能性があり,血清Cr値を含む一般検査を行い,副作用の出現に注意を要すると思われた.

基本情報

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臨床皮膚科
57巻2号 (2003年2月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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