連載
海外生活16年―出会った人・学んだこと(26)
神保 孝一
1
1札幌医科大学皮膚科
pp.205-209
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412101169
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カナダにおける研究・教育活動
1. 研究室の設立
最近日本でも北米と同様,患者さん自身のQOLの改善を目指したところの医療が求められてきている.このことは,医療の正しい基本であり,われわれ医師はこのことに最善を尽くすべきである.一方,日常の外来診療・臨床を行う場合,このことは,患者さんへの説明を含め充分な時間と余裕を持った診療を必要とさせる.したがって,大学などのアカデミック・スタッフが日常の診療・臨床活動に割かれる時間は毎年増えてきている.米国およびカナダを含め全世界的に,皮膚科アカデミック・スタッフが研究と臨床活動を平行して行うということは,非常に困難な状態となってきている.さらに,この傾向を悪化させる大きな背景因子の一つとして各国に共通することは,大学病院などの各診療科が独立採算制を強いられたり,一定の収入を日常の診療活動からあげることが求められていることである.つまり,「臨床に追われて研究をする時間がない」ということが現状であろう.問題はこういった時間的制約のなかでいかにしてbasic scienceを行うかということである.
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