臨床皮膚科 52巻7号 (1998年6月)

カラーアトラス

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患者 5歳,男児

初診 平成7年7月21日

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 74歳,男性.2年前に左上眼瞼に暗赤色の結節が出現し近医にて内服・外用治療を受け消退した.1年後,同部位に再発,左頬部・背部にも結節が多発し,平成9年当科に入院した.結節部の病理組織像では真皮内に“grenz”zoneを有する異型のリンパ球様細胞の密な増殖を認めた.腫瘍細胞は胞体内にアズール顆粒を有しており,CD2,CD4,CD3ε(DAKO),CD56,MT−1が陽性で,CD3(Leu4),CD16,UCHL−1,MB—1は陰性であった.T細胞,B細胞とも遺伝子の再構成は胚細胞型で,natural killer(NK)細胞由来の悪性リンパ腫と診断した.他に骨髄,上咽頭,リンパ節にも浸潤がみられた.治療としてCHOPを施行し寛解に至った.鼻腔原発の悪性リンパ腫の多くがNK細胞由来とされ,EBウイルスとの関係が指摘されているが,本症例ではEBウイルスは検出されなかった.

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 1996年8月から1997年3月までの8か月に宮城県の公立佐沼総合病院皮膚科を受診したアトピー性皮膚炎患者全員に対しアンケート調査を行い,これをもとにかたよりの嗜好がある場合に食事指導を行ってみた.ここで食事指導とはバランスのとれた食事の推奨を指し,アレルギー反応を生じる食品の制限をさすものではない.さらに,食事指導で良好な結果を得られたと思われる患者を無作為にA)食事療法+ステロイド外用療法,B)食事療法のみ,C)ステロイド外用療法のみの3群に分け,追跡調査を行った.大体,各群とも軽症9割,中等症1割の構成であった.その結果はA群の改善あるいは良好な状態の維持率が90%,B,C群のそれは各々28%,22%と低く,軟膏療法に食事指導を加えることがもっとも有効であった.なお,同様のアンケート調査を非アトピー性皮膚炎患者に対しても行ったが,アトピー性皮膚炎患者と比べ食事嗜好に差異は認めなかった.

今月の症例

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 41歳,男性の上・中背に2年来生じた病変が,臨床的には辺縁ないし全体がやや隆起する局面をなし,組織学的には好中球,好酸球,形質細胞,リンパ球,多核巨細胞を含む肉芽腫性炎症を示し,副腎皮質ステロイド剤外用2か月で略治したことから,本症例を壊疽性膿皮症の一亜型とされるsuperficial granulomatous pyodermaと診断した.2,3か所に壊死性血管炎もみられた.本邦既報告例3例についても検討した.

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 臨床的に日光暴露で増悪し,光線テストでも異常反応を示したアトピー性皮膚炎の1例を報告した.症例は23歳,男性.約10年前より顔面を中心とした日光裸露部に皮疹が出没していた.光皮膚科学検査でUVBのMEDが低下し,またUVB,UVAの反復照射試験で浮腫性紅斑が誘発された.照射部位の病理組織検査では,サンバーン反応はなく,真皮乳頭層の著明な浮腫と血管周囲性にリンパ球を主体とした炎症細胞浸潤が見られた.アトピー性皮膚炎において,光線過敏を客観的に示した報告は少なく,また光皮膚科学検査の結果も一定していない.しかし,露光部の皮疹の増悪をみたときは紫外線による増悪を念頭に置く必要がある.

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 アスピリン不耐症の3例を報告した.症例1は40歳,男性.症例2は28歳,男性.症例1,2ともに中毒疹様の小紅斑が長期間持続し,アスピリン内服テスト陽性で,アスピリン不耐症と診断した.サリチル酸を含む食物の制限で経過良好である.症例3は20歳,女性.グレープフルーツの摂食,市販の頭痛薬(酸性非ステロイド性消炎鎮痛剤)の内服で蕁麻疹が出現し,アスピリン内服テスト陽性であった.本症でみられる皮疹の多くは蕁麻疹であるが,小紅斑の多発例もみられており,食物中に天然に,または添加物として含まれているサリチル酸およびその他の食品添加物の制限が有効である.長期間持続する中毒疹様の小紅斑の多発例をみた場合にはアスピリン不耐症を考える必要があると思われた.

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 63歳,女性.口腔内の扁平上皮癌のため口腔外科でペプロマイシンを10mg(5mg/日,2日間)の筋注を受けたところ,後頸部に水疱が出現した.さらに5mgの筋注をされたところ,37.8℃の発熱と,全身に痒みを伴う皮疹が拡大してきた.その時点で薬疹が疑われ,すべての投薬が中止された.4日後に当科を紹介され受診した.後頸部と体幹の一部に水疱があり,体幹の大部分に掻破痕に一致した紅斑,いわゆるscratchdermatitisを認めた.皮疹部の生検では真皮に多数の好酸球とその脱顆粒像とflame flguresを認めた.ペプロマイシンを含む薬剤類のパッチテストを行ったところ0.1%,1%のぺプロマイシンに対してのみ陽性反応を認めた.皮疹はステロイド外用では消退せず,プレドニゾロン1日15mg,1週間の投与で初めて軽快した.

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 テルペン系の抗潰瘍剤であるテプレノンによって生じた薬疹の1例を報告した.23歳の女性,感冒症状に対しセファクロル,塩酸クロフェダノールとともにテプレノンを投与され,約1週間後に両側の頬部の紅斑・丘疹を主体とする皮疹を生じた.抗アレルギー剤の内服と非ステロイド系消炎剤の外用にて軽快した.貼布試験,リンパ球刺激試験では投与されたいずれの薬剤も陰性であったが,内服試験にてテプレノン50mgを内服したところ両側の頬部に皮疹の再現をみた.皮疹の主体は紅斑と丘疹で強い色素沈着は伴わず,典型的ではないが過去の報告例と考えあわせ固定薬疹型の発症機序も考えられるテプレノンによる紅斑丘疹型の薬疹と診断した.

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 76歳,女性に発症した疱疹状天疱瘡の1例を報告した.躯幹,四肢に,中心部に環状配列を呈する水疱を伴う瘙痒性浮腫性紅斑が多発.組織学的に表皮内に水疱形成およびeosinophilicspongiosisを認め,蛍光抗体直接法にてIgGが表皮細胞間に顆粒状に陽性,間接法で血清天疱瘡抗体40倍陽性.また自験例は免疫プロット法では所見が得られなかったが,リコンビナント蛋白を用いたELISA法による検索で古典的天疱瘡抗原に対する抗体を検出し得た.

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 29歳,女性.初診の約3年前から冬期にのみ四肢に網状紅斑を認め,夏になると軽快していた.初診の約2か月前から手足のしびれ,全身倦怠感があり,10日前から右II指先端が壊疽となった.皮下硬結を伴った網状紅斑は,その病理組織で小動脈に血栓を伴う血管炎の所見を呈した.検査所見ではPT57,7%,APTT16.8%,抗CLβ2GP1抗体陽性,抗カルジオリピン抗体陽性,Cross mixilng test陽性,STS陽性であり,抗リン脂質抗体症候群(APS)に一致する結果を得た.また,抗核抗体陽性,抗dsDNA抗体陽性,抗RNP抗体陽性,抗SS-A抗体陽性などより全身性エリテマトーデスが疑われ,これによるsecondary APSと診断した.

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 49歳,男性.前胸部に丹毒を発症し,以後10年間に8回の再発を繰り返している.10年の経過で前胸壁は指圧痕を残さない浮腫状を呈し,ゴム様の弾力を有するようになった.CTでは皮下脂肪層の肥厚が認められたが,胸壁内には明らかな器質的異常は認められず,生検組織像でリンパ管の拡張がみられた.このことから,丹毒の再発によりリンパ管の閉塞をきたし,リンパのうっ滞,リンパ管の拡張,そしてリンパ浮腫を引き起こし,これがさらに丹毒を再発しやすくするという悪循環に陥ったものと考えた.リンパ節郭清後の四肢のリンパ浮腫に生じる丹毒は稀ならず認められるが,前胸部は稀と思われ報告した.

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 2歳,男児.97年3月初旬より左眼瞼部に瘙痒感を伴う浮腫性紅斑が出現した.眼科開業医,および内科開業医を受診したが診断がつかず,抗生剤点眼薬を処方されていた.同年4月1日,精査,治療目的にて当科受診,母親の指摘もあり注意深い診察を行ったところ,左睫毛根部に数十個のケジラミの虫卵を認めた.当初,感染経路は不明であったが,偶然判明するに至った.

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 79歳,女性.30年前より慢性関節リウマチあり.約3年前から頭部,両前腕部,両大腿部に10〜20mmの正常皮膚色から褐色を呈する扁平隆起性弾性軟の結節を計7か所認める.組織所見にて表皮直下の真皮より脂肪織にかけてアミロイドの沈着を認めた.免疫組織学的検索を行い抗AL(κ)抗体に陽性を示したので,このアミロイドはainyloid light chain κ鎖由来と考えた.全身精査の結果,特に異常所見を認めず,全身性アミロイドーシスは否定的と考えamyloidosiscutis nodularisと診断した.Amyloidosis cutisnodularis atrophicansを含めた節型アミロイドーシスの本邦報告例22例について若干の統計学的考察を行った.

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 70歳,女性.視野に黒点を自覚していたが,胸部,背部,上肢に小丘疹が播種状に多発し,口渇感も伴ったため当科を受診した.背部の組織所見では真皮上皮層に小型の非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が集簇していたが,真皮中下層では主にその肉芽腫は汗腺・汗管周囲に認められた.BHLは認められなかったが,眼科的に肉芽腫性虹彩炎,耳下腺造影では耳下腺導管の拡張,狭窄像,Gaシンチグラフィーでは両涙腺,耳下腺,左顎下腺に異常集積像を認めた.血液検査では血清Ca値,ACE値は正常範囲内であった.なお,諸検査にてSjögren症候群を否定できたことから,臨床症状はすべてサルコイドーシスによるものと考えられた.また,皮膚サルコイドーシスは苔癬様型であった.プレドニゾロン30mg/目内服にて治療開始し,皮膚症状,口渇感,眼症状,検査所見ともに著明に軽快した.

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 88歳,男性の臀部に発症した筋肉内粘液腫の1例を報告した.初診の約10年前より臀部の腫瘤に気づくも放置.徐々に増大したため,家人に指摘され受診.右臀部に14×6×4cmの境界明瞭な弾性軟腫瘤.MRIで腫瘤は大臀筋から皮下脂肪織にかけて増殖し,T2画像で強調される多嚢胞性腫瘍であった.同側の坐骨には骨病変を認めた.生検時,腫瘍は筋膜で包まれゼラチン様物質に富んでいた.病理組織では間質はピアルロニダーゼ処理にて消化されるムコ多糖体に富み,血管に乏しく,腫瘍細胞は小型で異型性に乏しく,免疫組織化学でvimentin陽性,S−100蛋白,desminは陰性であった.以上より筋肉内粘液腫と診断した.同側の坐骨に骨病変を認め,かつ高齢であることより術後における骨盤の病的骨折が危惧されたため,切除せず経過観察とした.

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 症例1は56歳,女性.初診の約2年前に,両足底の皮下腫瘤に気づいた.症例2は69歳,女性.初診の約半年前に,左足底の皮下腫瘤に気づいた.両者とも圧痛を伴うようになったため近医を受診し,当科に紹介された.腫瘤は皮下に存在し正常腱膜に連続して認められ,病理組織学的には膠原線維の増生と,その間に線維芽細胞の増殖が認められた.治療は足底腱膜の亜全摘術を施行した.両者とも糖尿病の合併,同部位の外傷の既往はなく,手掌その他の部位に硬結,腫瘤は認めなかった.

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 過去12年間に経験した顆粒細胞腫3例を報告した.症例1は37歳,女性.項部の皮下結節で皮様嚢腫,石灰化上皮腫を疑われた.症例2は63歳,男性.右臀部の皮下結節で血管脂肪腫を疑われた.症例3は46歳,男性.右上腕内側の結節で,悪性リンパ腫を疑われた.3例とも切除し,組織学的には胞体内に多数の好酸性顆粒を有する典型的な顆粒細胞腫であった.術前診断とその存在部位につき検討した.

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 43歳,男性.約1年前より左こめかみの小さな盛り上がりに気づいた.その後,徐々に拡大してきたため当科を受診.切除し,組織学的にいわゆる皮膚混合腫瘍と診断した.さらに,上皮性成分の性格を免疫組織学的に,間質成分の性格を組織化学的に検索した.その結果,自験例の上皮性成分はエクリン汗器官由来で,真皮内導管から分泌部の性格を有し,間質成分は上皮性腫瘍細胞から誘導されたと考えた.

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 21歳,男性.初診の約10年前より臀部に指頭大,表面が疣状の扁平な結節を認めていたが,自覚症状や増大傾向はみられなかった.切除標本の組織像では,真皮上層から下層にかけて線維性の間質に囲まれた多数の管腔と嚢腫様構造が存在し,一部が表皮と連続していた.管腔壁は2層の腫瘍細胞からなり,一部は管腔内に向かって突出している像がみられた.腫瘍内に断頭分泌や正常の汗腺分泌部の所見は認められなかった.腫瘍細胞はCEA陽性,一部ではS−100蛋白およびEMAに陽性所見を示した.以上より,本症をpapillary eccrine adenomaと診断した.

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 85歳,女性.75歳時,外陰部Paget病のため切除縫合術を受けた,当科初診の2か月前,左腋窩の紅斑と腫瘤に気づき,初診時には,右腋窩にも浸潤性紅斑を認めた.両側とも病理組織学的にPaget細胞を認め,triple extramammaryPaget病と診断した.腋窩のリンパ節を含めリンパ節転移はなかった.複数部位に発生した乳房外Paget病の女性の本邦報告例は非常に少なく,外陰部と腋窩の乳房外Paget病としては本邦で初めての女性例である.

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 65歳,女性の仙骨部に生じた悪性線維性組織球腫を報告した.腫瘍は大臀筋の一部および仙骨部に広く接していた.仙骨の一部と大臀筋の一部を含め拡大切除術を施行した.鼠径リンパ節郭清は行わなかった.術後約2か月で鼠径部リンパ節に転移,両鼠径部リンパ節郭清術を施行,化学療法を追加した.治療後10か月経過,再発,転移はみられない.

連載

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 125 プロトテコーシスについて正しくないのはどれか.

  ①本症の原因菌の多くはPrototheca wickerhamiiである.

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インターネットからのいろいろの情報

 私は時間の許す限りにインターネットを楽しんでおりますが,英語では“surfing the net”という表現があります.つまりサイトを渡り歩くわけです.インターネットも,以前とは言っても3年前あたりは週に1つ位の割で新しいニュースサイトが誕生していましたが,最近では毎日何千何百と誕生しており,その全部をリストアップするのは不可能に近いものがあります.しかしそんな中で似たような英語の単語をリストアップしてあるサイトを見つけました.以下のような単語たちです.ingeniousとingenuous. quantitativeとqualitative. insidiousとinvidious. prevaricateとprocrastinate.ここで少しヒントを差し上げましょう.私は決して皆様にprevaricate(ごまかす)することはありませんがprocrastinate(遅延する)はあるかもしれません.まあこういった具合です.次にaffectation,affection,infectionはいかがでしょうか.これは興味深い関係にありますね.つまり最初のaffectationは残り2つとの相互関係はありませんが,2番目と3番目は感情的に大変近い関係にあるわけです.さてここで最後のペアです.Afflictedとconflictedはいかがでしょうか.

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要約 患者は59歳,男性.1990年に臀部左側に生じたクロモミコーシスに対してテルビナフィン内服にて治療した.1996年10月頃より当該部の紅斑が隆起し瘙痒が出現しため当科を受診した.臀部左側に扁平隆起性紅色局面があり,表面に鱗屑,痂皮を付着していた.臨床所見,鱗屑の直接検鏡,病理組織学的検査,真菌培養検査の結果よりFoticecaea Pedrosoiによるクロモミコーシスの再発と診断した.4か月にわたる局所温熱療法にて皮疹は著明に改善するも完治に至らなかったため,炭酸ガスレーザー治療を行った.メディレーザ30AF®で1Wのdefocused beam連続照射法にて真皮中層までを蒸散させた.治療部位は10週の経過にて上皮化し,以後5か月間再燃をみていない.

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 「臨床皮膚科」52巻3号,268頁,1998の竹田潮先生・他の論文「陰嚢に生じたproliferatingtrichilemmal tumorの1例」を興味深く拝読しました.

 70歳男性の陰嚢に生じた有茎性腫瘍ですが,図2の腫瘍全体像の組織所見をみますと,図が小さいため確かではありませんが,全体としては嚢腫状になっておらず,U字型やV字型の構築を形成しつつ,外へ向かって開放型の外毛根鞘性角化をしているようにみえます.もしそうであれば,この腫瘍はproliferating trichilemmaltumorではなく,verrucous trichilemmal tumor(Morioka et al1))やtricholemmal keratosis(Headington2))に一致することになります.

御意見に答えて 竹田 潮
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 御指摘ありがとうございます.

 腫瘍の全体像(図2)の写真からははっきり分からないかもしれませんが,大小様々な腫瘍胞巣が島状あるいは乳頭状に認められます.腫瘍胞巣は3層構造を呈し,最外層ではbasaloid cellからなり,内層に向かってclear cellとなり,中心部ではtrichilemmal keratinizationを認めています1).つまり,verrucous trichilemmal tumor2)やtrichilemmal keratosis3)と異なり,外方へ向かっての開放型のtrichilemmal keratinizationは認めておりません.

基本情報

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臨床皮膚科
52巻7号 (1998年6月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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