総合診療 25巻12号 (2015年12月)

特集 外来で「複数の疾患」をもつ患者を診る─マルチモビディティの時代のプライマリ・ケア

今月のQuestion & Keyword Index
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より早く,より的確に内容をとらえるために,QuestionとKeywordによるIndexをご利用ください.

それぞれ各論文の要点を示す質問とキーワードで構成されています.

Question

Q1 たとえば糖尿病に糖尿病性腎症や網膜症を合併すれば,それは「マルチモビディティ」と言っていいですか? 1088

Q2 複数の疾患をもつ患者に診療ガイドラインを適用する際に注意すべき2つのことは? 1093

Q3 COPD患者が糖尿病を併発した場合に,留意すべきことは? 1098

Q4 糖尿病患者に併存疾患の治療で「ステロイド剤」を投与する場合の留意点は? 1103

Q5 冠動脈疾患に併存しやすい病態は? 1108

Q6 腎障害を有する患者にNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を投与する時,注意すべきことは? 1112

Q7 リウマチ性疾患で「免疫抑制療法」施行中の患者が急な発熱で受診した際に,留意すべきことは? 1116

Q8 統合失調症やうつ病,双極性障害などの「精神疾患」で治療中の在宅患者の「血圧」や「血糖管理」を,総合診療医が行うのは可能か? 1123

Q9 5剤以上の薬剤処方は,危険ですか? 1127

Q10 臨床上の意思決定を行ううえで,「倫理的に考える」というのは,どのようなことですか? 1131

ONE MORE GM
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Q1 併存疾患を有する糖尿病患者の血糖コントロールの目標を教えてください.

A1 米国糖尿病学会の『Standards of Medical Care in Diabetes-2015』では,血糖コントロールのアプローチ方法として「個々の患者に応じた目標設定」をすべきであり,個別化の要因として低血糖や薬物の副作用のリスク,罹病期間,寿命,併存疾患,既存の血管合併症,リソースとサポート体制を挙げている.低血糖や副作用のリスクが高いほど,罹病期間が長いほど,寿命が短いほど,併存疾患や血管合併症が重篤であるほど,サポート体制が限られているほど,血糖コントロールは緩やかに行うべきである.すなわち,併存疾患が多く,厳重なコントロールが難しい場合は,HbA1cの目標としては「8%未満」程度が妥当と考えられる.

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 高齢者人口が増加し,平均余命が延長していくことは同時に,「複数の慢性疾患をもつ人口」の増加につながることは容易に予想できる.特にプライマリ・ケア現場においては,こうした人たちのケアをどのように組織化していくか,ということが重要な課題として認識されている.

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「診療ガイドライン」とは

■システマティックレビューとEBMの手順で

 日本医療機能評価機構のMindsガイドラインセンターによると,「診療ガイドラインは,科学的根拠に基づき,系統的な手法により作成された推奨を含む文書」1)とされている.つまり,その作成はエビデンスをもとにしており,また一定の方法で作成することが定められている.

 一方,米国科学アカデミー(National Academy of Sciences:NAS)の医学研究所(Institute of Medicine:IOM)の報告書“Clinical Practice Guidelines We Can Trust”2)では,信頼できる診療ガイドラインの定義として「診療ガイドラインは,エビデンスのシステマティックレビューと複数の治療選択肢の利益と害の評価に基づいて,患者ケアを最適化するための推奨を含む文書である」と書かれている.その作成手順は図1のとおりである.

【併存疾患のある慢性疾患管理】

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Case

COPD診断に伴い,血糖コントロールが悪化した一例

患者:67歳,男性.現喫煙者(30本/日×47年).

主訴:労作時呼吸困難.

既往歴:糖尿病(60歳〜).COPD(65歳〜.最近2年間で,急性増悪のために5回の入院歴あり).

現病歴:現在も禁煙できておらず入退院を繰り返しており,外来受診もやや不規則.糖尿病に関しては,COPDと診断され入院を繰り返すようになってから,HbA1c 6.5〜7.0%で推移していたのが,7.5%前後から低下しなくなってきた.

 今回は,3日前から息切れの程度が普段より悪化して,自宅のトイレに行くにも休息が必要となり,喀痰の膿性化もみられ,食事の摂取量低下もあり,当院救急室を受診した.

身体所見:脈拍数90回/分,呼吸数32回/分,体温37.8℃,SpO2 87%(室内気).

 起座呼吸で,胸部聴診で両側に喘鳴があった.心音はS3・S4は聴取せず.腹満および四肢に浮腫なし.

血液検査:WBC 12,000/μl,CRP 5.6mg/dlと,炎症反応の上昇がみられた.血糖値は220mg/dlで,HbA1cは7.6%であった.心電図は洞調律で,STの変化なし.

胸部単純X線:過膨張があって横隔膜の平低下がみられたが,新しい陰影はなし.

喀痰塗抹:膿性な喀痰で,グラム染色でグラム陰性球桿菌が多数あり,貪色像もみられた.

診断:インフルエンザ桿菌の感染によるCOPDの急性増悪.

退院時の対応:肺炎球菌ワクチンの接種.禁煙外来への案内.家族とともにCOPDと糖尿病の状態が不安定であることを再確認し,チームで治療に取り組むことと,かかりつけ医をもって専門医との2人主治医制とすることを理解してもらった.

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Case

糖尿病のコントロール悪化が診断の契機となったIgG4関連疾患の一例

患者:60歳,女性.

家族歴:特になし.

現病歴:42歳時に糖尿病と診断され,経口血糖降下薬を開始した.60歳時,4カ月間で8kgの体重減少をきたし,血糖コントロールが急激に悪化したため(HbA1c 6→8%),当院を紹介受診した.身体診察にて涙腺・唾液腺の腫脹を認め,腹部超音波にて膵臓のソーセージ様の腫大を認めた.唾液腺生検にて「IgG4関連疾患」と診断し,プレドニゾロン30mgから治療を開始.治療前のインスリン分泌は著明に低下しており,血糖コントロールも一時的に悪化したため速効型インスリンを導入したが,数カ月後にはインスリン分泌は改善,血糖コントロールも良好となった.

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慢性心不全の併存疾患

Case

眠れないことを主訴に受診した陳旧性心筋梗塞の既往がある高齢女性

患者:82歳,女性. 主訴:夜間に眠れない.

既往歴:認知症,高血圧,糖尿病,陳旧性心筋梗塞.

現病歴:2年前に前壁中隔心筋梗塞を発症し,急性期病院にて経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行された.退院後は,近医である当診療所に通院中であった.

 1カ月に1度の定期外来で,「ここ数日,夜間に眠れない」と訴えた.同居する嫁の話では,「最近,トイレ歩行時に呼吸が苦しそうにしており,食欲も低下している」とのことであった.身体所見では,SpO2 89%(室内気.普段は95〜97%),呼吸音で湿性ラ音,下腿浮腫を認めた.「うっ血性心不全」の疑いで急性期病院に搬送し,入院となった.

 入院後の追加問診では,最近「労作時に胸部の重い感じ」は認めていたが休むと楽になったため放置していたことと,近所の人と一緒に漬けた「漬物」がおいしく,毎回食卓に出すようにしていたとのことであった.

 心不全の急性期治療のあと,経皮的冠動脈造影検査を施行したところ,右冠動脈にも新たな狭窄を認めたため,同部位に冠動脈ステント挿入術を行った.

内服薬:

●バイアスピリン100mg

 1錠・分1・朝食後

●ネキシウム20mg 1錠・分1・朝食後

●ブロプレス4mg 1錠・分1・朝食後

●メトグルコ250mg 3錠・分3・毎食後

●リピトール10mg 1錠・分1・夕食後

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Case

鎮痛薬の投与とアンジオテンシン阻害薬の増量にて腎障害をきたした慢性腎臓病の一例

患者:60歳台,男性.

既往歴:高血圧,高コレステロール血症,慢性腎臓病,膝変形性関節炎で近医受診中.

現病歴:ここ数週間で,「全身倦怠感」「運動時呼吸困難」「両下肢の浮腫」が増悪し,地域中核病院の総合内科初診外来を受診.

 過去5年間,ロンゲス10mg,リピトール10mg,モービック5mg屯用にて安定していた.しかし3カ月前から,転倒を機に膝の痛みが悪化し,モービック5mg×3に増量.その後,次第に血圧が上昇し,ロンゲス20mgに増量されていた.

 腎機能は,血清クレアチニン(Cr)3.51mg/dl,血中尿素窒素(BUN)61mg/dl(半年前はCr 0.96mg/dl,BUN 18mg/dl)と「腎障害」を呈していた.

 この患者の腎障害の成因は何であろうか?

※本例は『JAMA internal medicine』のhigh value care(米国Choosing Wiselyキャンペーンの一環に関する連載「teachable moment Less is More」1)の一例を参考にした.

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Case

関節リウマチの治療中に発熱・呼吸困難をきたした一例

患者:73歳,男性.

既往歴:65歳時,前立腺癌で放射線小線源治療を受けた.71歳時,左下肢静脈瘤手術,脂質異常症.

家族歴:特になし.

現病歴:48歳時に「関節リウマチ」と診断され,他院でメトトレキサートの投与を受けていた.

 X年1月頃より発熱・盗汗の症状が出現し,その後半年で約5kgの体重減少がみられた.同年5月初旬,自宅で右下腿を打撲し,その後創部に発赤・熱感が出現した.同月20日に,近くの皮膚科医院で外用剤を処方された.その後,発熱・悪寒が出現し,階段昇降時に呼吸困難を訴えるようになったため,同月23日に当院救急外来を受診された.

血液検査所見:WBC 2,600/μl,Hb 11.3g/dl,Plt 38万/μl,BUN 23.7mg/dl,Cr 0.79mg/dl,AST 93IU/l,ALT 210IU/l,LDH 902IU/l,ALP 604IU/l,T-Bil 4.8mg/dl,CK 41IU/l,CRP 7.17mg/dl.

画像所見:胸部単純X線では右中肺野に網状影,造影CTでは右頸部・両側腋窩・鼠径部にリンパ節腫脹,肺には両側上葉に小葉撒布性の病変を認めたほか,胆囊胆石と肝腫大も認められた.

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Case

未治療の精神疾患が身体疾患の内服コンプライアンスに影響していた一例

患者:51歳,男性.独居.生活保護受給.

現病歴:1カ月前,「脳梗塞」を発症し,救急病院に搬送.血栓溶解療法を施行され,軽度の顔面麻痺以外は目立った症状もなく退院.フォローアップは,自宅近くの診療所に紹介された.

 「糖尿病」「高血圧」も合併していた.外来診療を開始すると,どちらもコントロールは不良.退院後に導入された訪問看護からの情報では,食事は不規則かつ偏食で1日1〜2食.食事をとらない時は処方薬を内服していないことが判明した.

 内服治療について本人への説明を試みたところ,初診時は無口・無表情で「はい」と返答するのみであったのに,「薬の説明の仕方が悪い」「なぜ訪問看護を導入した?」などと一方的に訴え,会話がかみ合わなかった.受付でも妄想的なまでの一方的な苦情が続いたため,生活保護担当者も交えて本人を説得し精神科へ紹介したところ,治療中断中の「統合失調症」または「アスペルガー症候群」と判明し,向精神薬の治療が開始された.

【スペシャル・アーティクル】

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Case

よくみられる高齢者のポリファーマシーの一例

患者:84歳,男性.

現病歴:肺炎のため1カ月の入院治療のあと,自宅へ退院.廃用が進み,臥床状態となったため,訪問診療の依頼となる.病院からの紹介状では,高血圧・糖尿病・脂質異常症・前立腺肥大症・睡眠障害に対する薬剤7剤が処方されていた.加えて,他院整形外科からは鎮痛薬・胃薬・抗不安薬・湿布,眼科から白内障の点眼薬,かかりつけ医院からは認知症治療薬が処方されていた.

 そこで,高血圧・糖尿病・脂質異常症などの予防目的で投薬されている優先度の低い薬から段階的に減薬を行った.睡眠薬・抗不安薬を中止したところ排尿障害も改善し,最終的には内服薬はすべて中止となり,湿布のみとなった.減薬後ただちに食欲が改善し,リハビリテーションにも積極的に取り組めるようになった.退院3カ月後には端座位保持も可能となり,歩行訓練が始まっている.

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Case

内視鏡検査を受けることに拒否的態度を示している貧血のある女性の一例

患者:88歳,女性.

現病歴:「高血圧」「心房細動(NVAF:非弁膜症性心房細動)」「2型糖尿病」に長年罹患しており,CHADS2-VAScスコアは6点である.そのため現在,かかりつけの内科医院からNOAC(新規経口抗凝固薬)の処方が行われている.

 一方,「変形性膝関節症」の持病があり,ADLに著しい制限はないが疼痛に悩んでいた.整形外科からは人工関節置換術を勧められていたが,「いまさら手術をするのはこわい」ため手術は見送っていた.現在,同整形外科よりCOX-2阻害薬,アセトアミノフェン/トラマドール,プロトンポンプ阻害薬の処方が行われている.

 今回偶然受けた健診検査で,昨年はHb 11.2g/dlだったが,今年は9.8g/dlになっていた.かかりつけの内科医は,上部消化管の「潰瘍」もしくは「悪性腫瘍」があるのではないかと仮説している.潰瘍であれば,COX-2阻害薬の中止やNOACの中止を検討するべきだし,何よりもとりあえずは上部消化管内視鏡検査をすべきであるため,患者に対して「胃カメラをしたほうがよいです」と説明したが,患者は「何年か前に胃カメラで死ぬようなこわい思いをしたので,もうこりごり.やりたくないです」と答えた.

Editorial

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 いよいよ総合診療が19の基本専門領域の1つとして認められることになり,「総合診療専門医」が日本に誕生する道筋がつくられることになった.

 日本の総合診療の特徴は,診療所をフィールドとする「家庭医」と,病院をフィールドとする「病院総合医」のハイブリッドとして考えられているということである.こうした“ハイブリッド型”の専門医像は,世界的にみてもあまり例がない.そして,地域のニーズに合わせた活動の場の多様性に,その特長がある.

What's your diagnosis?[156]

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病歴

患者:79歳,男性.

主訴:胸水貯留,低Na血症の精査依頼.

現病歴:4年前に左S6肺腺癌に対し区域切除術および術後化学療法を施行された.11カ月前に転倒し臀部を打撲,仙骨骨折のため入院となった.入院中に低Na血症をきたし,高張NaCl投与で補正された.仙骨骨折は保存的に加療されたが,ADLが低下し自立歩行も困難なために,6カ月前に介護施設へ入所となった.入所後,下肢拘縮が進行し,寝たきりの生活となり,どうしても必要な場合のみ2名の介助で車椅子に移乗して移動していた.入院当日,呼吸器外科の定期外来において低Na血症,胸水貯留が認められ,総合内科にコンサルテーション後,入院となった.

陰性症状:頭痛,胸痛,腹痛,背部痛,口渇感,多飲,呼吸困難.

既往歴:30歳台;胃潰瘍.78歳時;仙骨骨折.

家族歴:兄と姉が結核.

内服歴:アゾセミド,ランソプラゾール,レバミピド,ポラプレジンク,NaCl 3g/日,L-アスパラギン酸K 900mg/日.

アレルギー:なし.

嗜好歴:喫煙;30本/日×60年間,飲酒;日本酒1合/日.

Dr.徳田と学ぶ 病歴と診察によるエビデンス内科診断・16

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徳田:みなさん,こんにちは.この連載では「臨床疫学」を用いた診断ロジックを学びます.症例に基づきながら,レジデントのみなさんとの対話形式で進めていきます.

 今回のケースは,「手のふるえ」感を主訴とする患者さんです.手のふるえの原因には,さまざまな鑑別疾患があります.高齢人口の増加によって「パーキンソン症候群」が増えていますので,その診断と治療に習熟することは重要です.

 では,今回の症例をみてみましょう.

Dr.山中のダイナマイト・レクチャー・14

問題19・20 山中 克郎 , 寺西 智史
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問題19 「身元不明」の次の患者の蘇生について,適切なのは①〜④のどれか?

身元不明の男性.道路で倒れているところを通行人が発見し,救急要請した.明らかな外傷などはなし.

救急隊接触時には,心肺停止,初期波形asystole.心肺蘇生を行い,病院へ到着した.

救急隊によりlaryngeal(LT)チューブが挿入されているが,胸郭挙上が乏しい.さて,次にとるべき行動は?

❶胸郭挙上が乏しいので,気管挿管に変更.

❷身元不明のため,LTチューブのまま.

❸蘇生処置を中止する(身元不明だし,心肺停止だし,助かる可能性も低い).

❹アドレナリンは使用しない.

Dr.加藤の これで解決!眼科Q&A相談室・3

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●今月のQuestion

CRAO(網膜中心動脈閉塞症)は見逃したくないと思っています.CRAOを疑うポイントを教えてください.また,どのような治療をして眼科医に送ったらよいのでしょうか? 注意点も併せて教えてください.

血液内科学が得意科目になるシリーズ・21

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 日本の新規HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染者数は,2008年まで増加の一途をたどり,以後,年間1,000件を超える状態が続いています.また,強力な抗ウイルス療法により,HIV感染者の余命は大幅に延長されました.現在問題になっているのは,HIV感染者における「悪性腫瘍」の増加です.今回は,HIV感染と血液疾患について考えてみましょう.

レジデントCase Conference

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◆意識障害の原因は多彩であるが,手順を追って鑑別を挙げていくことで,その原因を見つけることは可能である.さらに入院中の変化には,治療行為が影響を与えていないかも考慮すべきである.

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 「診断の達人」として知られる米国を代表する内科医であるローレンス・ティアニー氏が『JIM』(現『総合診療』)の公開収録に登場.「臨床医学は症例から学ぶしかない」という持論のもと,徹底した検討を加え診断を導く,ティアニー氏による症例検討の様子を実況中継風にお届けする.

 通訳および司会は日本を代表する診断医である徳田安春氏,症例呈示は綿貫聡氏にお願いした.

みるトレ

Case 95 佐田 竜一
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Case 95

患者:65歳,男性.

主訴:発熱,頭痛,難聴.

現病歴:3日前から悪寒戦慄を伴う38.7℃の発熱が出現した.2日前から強い頭痛が出現し軽快しないため,1日前に近医を受診し下記内服薬を処方された.しかし,症状が改善しないばかりか,夜から難聴も出現したため,当院を歩いて受診した.

生活歴:ADL自立.喫煙歴は30本/日×45年,飲酒歴は日本酒3合/日.

既往歴:特記事項なし.

内服歴:1日前からアジスロマイシン,ロキソプロフェン.

身体所見:体温37.2℃,呼吸数24回/分,血圧148/82mmHg,脈拍数92回/分,SpO2 97%.

GCS(Glasgow Coma Scale)=E4 V5 M6=15点.項部硬直,Kernig徴候を認める.胸腹部に明らかな異常なし.耳に明らかな異常なく,Weber試験は右に偏倚,Rinne試験は両側陰性.その他明らかな神経学的異常なし.

検査所見:髄液穿刺を施行したところ,グラム染色で図1のような所見が得られた.

憧れのジェネラリストが語る「努力はこうして実を結ぶ!」・12

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 はじめまして,寺澤佳洋と申します.この連載を執筆された歴代の先生方とは異なり,憧れを受ける存在ではありませんが,憧れの先生方からいただいた口伝などを書き連ねました.ご笑読いただけたら幸甚です.

シネマ解題 映画は楽しい考える糧[102]

「地獄に堕ちた勇者ども」 浅井 篤
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最終回は,巨匠ヴィスコンティの世界へ!

 最終回は,巨匠ヴィスコンティ監督の157分の現代史絵巻.原題は「永久に地獄に落とされた者」「呪われた者」「地獄の亡者」,などの意味です.しばしば絢爛,耽美,倒錯,退廃などと形容される作品ですが,親族間の権力争い,ナチスの悪とその“美しさ”,家族の愛憎,企業と国家権力などが描かれ,実に多面的な見方ができる作品に仕上がっています.

 医療とも生命倫理とも,ほとんど関連する場面はありません.ただ何よりも,読者のみなさんがこのような作品を観る時間的余裕と,一連のヴィスコンティ作品を楽しむ心のゆとりをもてることを願ってやみません.疲れていたり時間が気になっていたりイライラしていては,過剰・遠大・鮮やかなヴィスコンティの世界にはとても入っていけないでしょう.とにかく時間をつくって観てください.倫理は人と人との間のルールです.そして,本作はまさに,人間を家族関係・社会との関係のなかで描いており,この意味で「最終回」にふさわしいと思います.

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基本情報

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総合診療
25巻12号 (2015年12月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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